隈研吾とは?

- 1954 横浜に生まれる
- 1979 東京大学大学院修了
- 1979 日本設計就職
- 1990 隈研吾建築都市設計事務所設立
- 1997 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2009 東京大学教授に就任
隈研吾とは、木材をふんだんに使用した和風建築を数多く手がけることで知られている、日本を代表する建築家である。
代表作としては、国立競技場・那珂川町馬頭広重美術館・浅草文化観光センターなどが挙げられ、どの建築にも必ずと言っていいほど木材が使用されている。
街中で、木のルーバーや木のパネルがくっついた建築物を見かけたら、高い確率で隈研吾が設計した建築作品だと思っていいだろう。(笑)
最近の隈研吾建築は、木材を建物に貼り付けただけのような、安っぽいものも多くなってしまっている感じがするが、定期的に周囲を圧倒するような作品も手掛けるため、油断は禁物である。
今回は、そんな隈研吾の建築作品22選をご紹介したいと思います。
隈研吾の建築作品22選【代表作~出世作まで】
1.那珂川町馬頭広重美術館【栃木県】

- 設計:隈研吾
- 住所:栃木県那須郡馬頭町馬頭
- 竣工:2000年3月
- 用途:美術館
- URL:建築詳細ページ
那珂川町馬頭広重美術館は、江戸時代の浮世絵師「歌川広重」の作品を収集・展示するために建てられた美術館である。
コンセプト「広重の芸術と伝統を表現する、落ち着きのある外観」
このコンセプトを基に、日本家屋特有の切妻屋根を持った建物を細い木製ルーバーが覆う、伝統的ながら芸術性のある建築物が完成している。
建築詳細ページ

2.サニーヒルズ【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都港区南青山
- 竣工:2013年12月
- 用途:店舗(物販)
- URL:建築詳細ページ
サニーヒルズは、東京都南青山という大都会の裏道に突如として現れる、パイナップルケーキを専門とする店舗である。
「地獄組」といわれる日本伝統の木組みによって構成される外観は、日本らしい雰囲気をつくりながら、南青山の裏道にシンボル性をもたらしている。
この地獄組は、障子などの伝統建具に用いられる構造であり、一度組むとなかなか外れないことからこの名前が付けられている。
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3.TOYAMAキラリ【富山県】

- 設計:隈研吾
- 住所:富山県富山市西町
- 竣工:2015年4月
- 用途:複合施設
- URL:建築詳細ページ
TOYAMAキラリは、旧百貨店の敷地に再開発ビルとして建設された複合施設である。
再開発ビルという堅いイメージのものに対して、「ゆるい」再開発ビルにすることを隈研吾は目標とした。
建築としては、3種類のパネルによるきらきらとした外観、スギルーバーによって囲われた斜めに伸びる吹き抜け空間などが特徴的である。
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4.高尾山口駅【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都八王子市高尾町
- 竣工:2015年4月
- 用途:駅舎
- URL:建築詳細ページ
京王線高尾山口駅は、東京西側の聖地である「高尾山」の最寄りに建つ駅舎である。
高尾山の自然豊かな環境と調和するように、スギをふんだんに利用した大屋根とコンコース空間が特徴的である。
木のぬくもりを感じる大屋根は、人を迎え入れる高尾山の門のような役割を果たしている。
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5.国立競技場【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都新宿区霞ヶ丘町
- 竣工:2019年11月
- 用途:競技場
- URL:建築詳細ページ
国立競技場は、2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとして、隈研吾氏によって建てられた建築物である。
このような巨大スポーツ施設は、日本に限らず世界的に見てもコンクリートや鉄による、どこか機械的な構造物が多い傾向がある。
しかし、この国立競技場では、積み重なる4層の軒庇+軒下の木ルーバーという構成によって温かく優しい、日本的な空間がつくられている。
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6.アオーレ長岡【新潟県】

- 設計:隈研吾
- 住所:新潟県長岡市大手通
- 竣工:2012年2月
- 用途:複合施設
- URL:建築詳細ページ
アオーレ長岡とは、新潟県のJR長岡駅の近くにある、市庁舎・ホール・アリーナなどを併設したシティーホールプラザである。
最大の特徴は、地場産のスギルーバーによって囲われた「ナカドマ」という大空間。
この「ナカドマ」は、市民の生活と市役所などの公共空間が一体的に使用されることを目指し設計が行われた。
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7.浅草文化観光センター【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都台東区雷門
- 竣工:2012年2月
- 用途:観光案内所
- URL:建築詳細ページ
木造住宅が7つ積み重なったような、シンボリックな外観を持つ浅草文化観光センター。
隈健吾氏の建築によく見られる、木製ルーバーもふんだんに使われ、「和風」な空間がつくられている。
この特徴的な外観から、浅草という伝統のある街並みに溶け込みつつ、観光の拠点となるランドマークの役割を果たす建築となっている。
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8.根津美術館【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都港区南青山
- 竣工:2009年2月
- 用途:美術館
- URL:建築詳細ページ
東京港区という大都会の中にある緑豊かな根津美術館。ルーバーと深い軒によって構成されるアプローチ空間がとても魅力的な建築となっている。
このアプローチ空間は、都会から自然の中へ、賑わいから静寂へ、気分を徐々に変えられるように考えデザインされている。
さらに、隈研吾氏が頻繁に用いるルーバーは木製のものが多いが、ここでは木材ではなく竹を使用しているという点も注目である。
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9.高輪ゲートウェイ駅【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都港区港南
- 竣工:2020年3月
- 用途:駅舎
- URL:建築詳細ページ
高輪ゲートウェイ駅は2020年に開業した山手線の新駅である。山手線の駅としては、西日暮里駅以来49年ぶりの新駅となり、かなり注目を集めた。
通常の駅の場合、ホームとコンコース(駅内のホールを兼ねた広い通路)が別空間になっていて、ホームには低い屋根がかけられている。
しかし、高輪ゲートウェイ駅は、ホームとコンコースが吹き抜け空間によってつながっており、大きな一つの空間内に収まっている。
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10.スターバックス リザーブ ロースタリー東京【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都目黒区青葉台
- 竣工:2019年2月
- 用途:飲食店・工場
- URL:建築詳細ページ
スターバックス リザーブ ロースタリー東京とは、目黒川沿いという、地域に根付いた場所に位置するスターバックスのことである。
外装設計は、建築家隈研吾氏が担当し、内装設計はリズ・ミューラーを中心とするスターバックス店舗設計部が行った。
ロースタリ―とは焙煎所を意味することから、このスターバックスでは、店内に巨大な焙煎機があり、工場を兼ねた店舗ともなっている。
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11.スターバックス太宰府天満宮表参道店【福岡県】

- 設計:隈研吾
- 住所:福岡県太宰府市宰府
- 竣工:2011年11月
- 用途:飲食店
- URL:建築詳細ページ
太宰府天満宮に建つ木組みが特徴的なスターバックスも、隈研吾氏が手がけた作品である。
太宰府天満宮という歴史のある敷地に対して、景観や雰囲気を壊さないようなスターバックスが計画された。
建築の特徴としては、奥側に細長い敷地に対して、光や風が流れるていくように、木材を斜めに組んでいきシームレスに奥まで続く空間が出来上がっている。
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12.長崎県美術館【長崎県】

- 設計:隈研吾
- 住所:長崎県長崎市出島町
- 竣工:2005年2月
- 用途:美術館
- URL:建築詳細ページ
長崎県美術館は日本設計と隈研吾氏が共同で設計した美術館である。
古くから異国との交流の舞台となった「長崎港」の水際空間に位置しているため、敷地の中央には運河が横断し、運河を挟んで二つの棟が配置されている。
また、隣接する「長崎水辺の森公園」の一部であるため、植栽や屋上を芝などで緑化することにより公園と緑が連続した建築物となっている。
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13.ところざわサクラタウン【埼玉県】

- 設計:隈研吾
- 住所:埼⽟県所沢市東所沢和⽥
- 竣工:2020年4月
- 用途:複合文化施設
- URL:建築詳細ページ
ところざわサクラタウンは、以下の3つの棟が一体となって、ところざわに新たな活気のある街を形成している。
- ところざわサクラタウン本棟
- 角川武蔵野ミュージアム
- 武蔵野坐令和神社
この中で最も印象的なのが、ごつごつとした大岩のような外観を持つ角川武蔵野ミュージアムである。
このミュージアムは、外観もさることながら、立体的に積まれた本棚で構成される内部空間も魅力的な場所となっている。
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14.la kagu【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都新宿区矢来町
- 竣工:2014年9月
- 用途:物販 飲食
- URL:建築詳細ページ
lakaguとは、新潮社の古い書籍倉庫を、広場やカフェ、ショップなどからなる商業施設としてリノベ―ジョンした建物である。
「歴史のある本倉庫の感じを生かしたい」というクライアントの要望に対して、既存躯体の美しさを残したリニューアル案を隈研吾氏は提案した。
lakagu最大の魅力は、交差点と建物の間を立体的に繋ぐ、木製大階段による広場にある。
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15.宝積寺駅【栃木県】

- 設計:隈研吾
- 住所:栃木県塩谷郡高根沢町
- 竣工:2008年3月
- 用途:自由通路 駅舎
- URL:建築詳細ページ
宝積寺駅は、線路によって分断された街並みを西と東でつなぎ、街を再生することを目的に建設された駅舎である。
橋上化された駅舎の天井が、複雑な形状をした木組みによって構成されていることで、利用者に日本的な暖かみを感じさせる空間になっている。
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16.EPFL ArtLab【スイス】

- 設計:隈研吾
- 住所:スイス,ローザンヌ
- 竣工:2016年8月
- 用途:ミュージアム
- URL:建築詳細ページ
EPFL ArtLabは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の新しいキャンパス施設である。
細長い敷地や周辺の環境に合わて、全長270mに及ぶ細長い木造建築となっている。
その細長い建物を包み込むように、木材のぬくもりを感じる大屋根が空間全体に覆いかぶさり、屋根下に豊かな空間を作り出す。
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17.ガーデンテラス長崎【長崎県】

- 設計:隈研吾
- 住所:長崎県長崎市秋月
- 竣工:2009.05
- 用途:ホテル
- URL:建築詳細ページ
ガーデンテラス長崎は、長崎市稲佐山の中腹に建つリゾートホテルの名称である。
「世界新三大夜景」に選出れたことがある長崎県。
その長崎の魅力的な景観を取り込むために、木材パネルと呼応するようにランダムにあけられた開口部から、外の風景が内部空間に伝搬するような構成になっている
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18.V&A Dundee【スコットランド】

- 設計:隈研吾
- 住所:スコットランド ダンディー
- 竣工:2018年9月
- 用途:博物館 レストランなど
- URL:建築詳細ページ
V&A Dundeeは、イギリス・スコットランドのダンディーという街に建つ、国内初のデザインミュージアムである。
コンセプト「新しいスコットランドの顔をつくる」
このコンセプトを基に、スコットランドの特徴的な「崖」という地形をイメージした、ランドマークとなる建築が完成している。
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19.明治神宮ミュージアム【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都渋谷区代々木神園町
- 竣工:2019年10月
- 用途:博物館
- URL:建築詳細ページ
明治神宮ミュージアムは、日本を代表する神社「明治神宮」の参道の途中に建つ博物館である。
コンセプト「杜に溶け込む建築」
このコンセプトを基に、明治神宮を象徴する「100年の杜」に自然と溶け込んだ、魅力的な博物館が完成している。
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20.日本橋三越本店【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都中央区日本橋室町
- 竣工:2018年
- 用途:デパート
- URL:建築詳細ページ
1914年、日本橋に建てられた日本で最初のデパートメント・ストア「日本橋三越本店」。
2018年にリニューアルオープンた同店だが、この歴史ある建築の内装デザインを隈研吾氏は担当した。
「白く輝く森」をテーマに、太い列柱とその装飾によって、高級感のある森のような空間が形成されている。
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21.ダイワユビキタス学術研究館【東京都】

- 設計:隈研吾
- 住所:東京都文京区本郷
- 竣工:2014年4月
- 用途:学校
- URL:建築詳細ページ
ダイワユビキタス学術研究館は、大和ハウス工業株式会社により寄贈された東京大学キャンパス内に建つ研究館である。
テーマ「建築にやわらかさを与える」
このようなテーマを基に、隈研吾らしく木材をふんだんに使用した繊細なファサードが独特の雰囲気を作り出している。
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22.南三陸311メモリアル【宮城県】

- 設計:隈研吾
- 竣工:2022年
- 用途:文化施設
- 住所:宮城県本吉郡南三陸町
- URL:公式ページ
南三陸311メモリアルは、東日本大震災の記憶や教訓を未来へ伝える「伝承館」として宮城県本吉郡南三陸町に建設された文化施設である。
隈研吾はこれまで、南三陸の復興計画として「さんさん商店街」と「中橋」の2つの建築作品をこの地で手掛けており、この南三陸311メモリアルは、一連の復興計画の集大成となる施設として設計された。
本施設は、建物の中央にあいた「孔」が鳥居のような神聖さを作り出した構成が特徴的で、そこに隈研吾お得意の「木製ルーバー」が孔に吸い込まれるような形で設置されており、奥に引き寄せられるような求心的な空間を作り出している。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。