伊東豊雄とは?
- 1941 現ソウル市に生まれる
- 1965 東京大学工学部建築学科卒業
- 1965 菊竹清訓建築設計事務所勤務
- 1971 事務所設立
伊東豊雄は、日本のみならず世界的にも活躍される建築家である。
代表作としては、「せんだいメディアテーク」「シルバーハット」「多摩美術大学図書館」などが挙げられる。
また、伊東豊雄事務所からは、現在建築界の第一線で活躍する「妹島和世」や「平田晃久」などを輩出していることでも知られる。
今回は。そんな日本建築界を牽引する建築家・伊東豊雄の建築作品19選をご紹介します。
伊東豊雄の建築作品19選【代表作から国外作品まで】
1.せんだいメディアテーク
- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2000年
- 用途:図書館 美術館 映画館
- 住所:宮城県仙台市青葉区春日町
- URL:建築詳細ページ
せんだいメディアテークは、図書館・メディアセンター・ギャラリーなどの複数の機能を内包した、宮城県仙台市に建つ大型複合施設である。
本施設は、外観を見ただけだと、どこにでもありそうなガラスのファサードを持った「箱もの建築」に見えてしまうかもしれないが、実は構造や空間構成などにおいて異例尽くしの建築物となっている。
特に特徴的なのが「チューブ状の柱」とその柱に支えられた「極薄のフラットスラブ」の組み合わせであり、この未だかつて見たこともなかった洗練された構造体は、建築界で高い評価を得ている。
建築詳細ページ

2.台湾大学 社会科学部棟

- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2013年5月
- 用途:教育施設(大学)
- 住所:台湾台北市
- URL:建築詳細ページ
台湾大学社会科学部棟は、台湾の首都台北市に建つ台湾大学の新校舎である。
建物は、8層の「教室棟」と、その前面に広がる「図書館棟」の2棟構成になっている。
コンセプト「自然に開かれた建築」
このコンセプトを基に、教室棟には吹き抜けやボイドによって自然を享受し、図書館棟では森の中のような魅力的な内部空間が展開されている。
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3.シルバーハット

- 設計:伊東豊雄
- 竣工:1984年7月
- 用途:住宅
- 住所:東京都中野区(現存しない)
この作品は1986年に日本建築学会作品賞を受賞した建築である。
最大の特徴はボールト屋根による軽快な外観であり、伊東氏はこの建築で軽さを追求したして設計したという。
このシルバーハットは現存しませんが、今治市伊東豊雄建築ミュージアムで、忠実に再現された原寸大のシルバーハットが建てられている。
4.瞑想の森 市営斎場

- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2006年5月
- 用途:火葬場
- 住所:岐阜県各務原市那加扇
- URL:建築詳細ページ
瞑想の森市営斎場は、岐阜県各務原市に建つ、老朽化した旧火葬場を改築してできた施設である。
敷地は南側に緑豊かな山、北側に溜池が広がる静けさを持つ立地であった。
そこで、従来の重厚な火葬場建築ではなく、空に浮かぶ雲のような屋根に覆われた、おおらかな建築をつくり出している。
建築詳細ページ

5.みんなの森 ぎふメディアコスモス


- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2015年2月
- 用途:複合施設
- 住所:岐阜県岐阜市司町
- URL:建築詳細ページ
みんなの森 ぎふメディアコスモスは、岐阜市に建つ図書館を中心とした複合施設である。
最大の特徴は、2階の天井に吊るされている傘のような形をした「グローブ」である。
このグローブが空間を曖昧に区切ることで、大空間に多様な場所を生みつつ、全体としてのにぎやかさも作り出している。
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6.WITH HARAJUKU

- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2020年3月
- 用途:店舗 展示場 共同住宅
- 住所:東京都渋谷区神宮前
- URL:建築詳細ページ
WITH HARAJUKUは、JR原宿駅前に建つ、店舗やレストラン、集合住宅などからなる大型複合施設である。
未来を紡ぐ「道の建築」
このコンセプトを基に、パサージュと呼ばれる建物内部を貫通する「道」が周辺の個性豊かな街同士をグラデ―ショナルに繋いでいる。
建築詳細ページ

7.TOD’S表参道ビル

photo by シセド / CC BY-SA 3.0
- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2004年11月
- 用途:店鋪 事務所
- 住所:東京都渋谷区神宮前
この建築が今までの伊東豊雄の作品と違うところは、その具体的な形態である。
今までの伊東豊雄の作品はモダニズム建築らしい抽象的な形態が多かった。
しかし、この作品は一目見ただけで「木だ!」とわかる具体的な構成になっている。
しかし、表参道のけやき通りにはこの建築が一番適していると考えざるを得ないような、魅力的な外観になっている。
8.まつもと市民芸術館

- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2004年
- 用途:劇場・ホール
- 住所:長野県松本市深志
- URL:公式ページ
まつもと市民芸術館は、大小2つのホールやレストランなどの機能が入った、長野県松本市に建つ劇場施設である。
本施設は、まるで生物かのようにうねる「曲面の外壁」と、その外壁に無数に設置された「不定形・不透明なガラス」の組み合わせが象徴的な外観を形成している。
伊東豊雄はシンプルに「楽しい建築をつくりたい」と考え、このようなポップな構成を建築に採用したという。
9.MIKIMOTO Ginza 2

- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2005年11月
- 用途:店舗
- 住所:東京都中央区銀座
この建物の外壁には、一つ前に紹介した「まつもと市民芸術館」 と似た不規則な窓が設けられている。
さらに構造形式としては、壁がそのまま構造体として成り立っているが、これは「TOD’S表参道ビル」と共通した特徴である。
このように、「まつもと市民芸術館」の楽しい建築と「TOD’S表参道ビル」の特徴的な架構が組み合わされた建築がこのMIKIMOTO Ginza 2である。
10.多摩美術大学図書館


- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2007年2月
- 用途:図書館
- 住所:東京都八王子市鑓水
- URL:建築詳細ページ
この図書館の注目すべき点は、外壁のきれいな曲線美と柱の先端の細さである。
外壁の曲線はわずかではあるが、そのわずかな違いが外見の良さを作り出している。また技術的にも何度も検討がなされ壁厚20㎝という薄さの外壁が完成した。
さらに柱は免震構造をとることによって先端の細い外壁に合ったものになっている。
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11.台中国家歌劇院


- 設計:伊東豊雄
- 竣工:2016年9月
- 用途:劇場・物販・飲食
- 住所:台湾台中市
- URL:建築詳細ページ
この建築は、一枚の膜をあらゆる方向に引っ張り、変形させた形状をそのまま建築にしたような内部空間が魅力的である。
その様子は、まるで洞窟の中にいるかのように神秘的な空間となっている。
一方で、一枚の膜のような構成によってそれぞれの空間が連続性を持ち全体としてつながりのある施設ともなっている。
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12.ぐりんぐりん

- 設計:伊東豊雄
- 住所:福岡県福岡市東区香椎浜
- 竣工:2005年
- 用途:温室 その他
- URL:建築詳細ページ
ぐりんぐりんは、博多湾東部の「福岡アイランドシティ」という人工島の上に建つ、温室などからなる丘状建築の名称である。
ぐりんぐりん最大の特徴は、何といっても丘のような局面で形成される有機的な大屋根である。
伊東氏は丘のような有機的な形態を用いることで、人々の多様なアクティビティを誘発するような環境を人工島につくろう試みた。
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13.座・高円寺

- 設計:伊東豊雄
- 住所:東京都杉並区高円寺北
- 竣工:2008年11月
- 用途:劇場
街中に大きな岩が置いてあるかのように見える建築「座・高円寺」。
でこぼこした屋根の形状は、広げると平面になる幾何学的形態を用いているという。
また、外壁や屋根に無数に設けられたガラスの円形の穴は、「まつもと市民芸術館」と同様、楽しい建築をつくるために設けられている。
14.大社文化プレイス

- 設計:伊東豊雄
- 住所:島根県出雲市大社町
- 開館:1999年
- 用途:劇場・図書館
- URL:公式サイト
大社文化プレイスは、ホール・図書館・会議室など複数の機能で構成される、島根県出雲市に建つ複合文化施設である。
施設全体としては、地面から緩やかに盛り上がる「丘のような大屋根」が象徴的な外観を形成しており、周囲に広がる低層の住宅群に威圧感を与えないランドスケープと一体化した建築物となっている。
一方で、その大屋根に貫入するように「コンクリートの棟」が1棟立っているが、この内部空間はホールの舞台となっており、高さが必要な部分だけ屋根から頭を飛び出させている形となる。
15.長岡リリックホール

- 設計:伊東豊雄
- 竣工:1996年
- 用途:コンサートホール 劇場
- 住所:新潟県長岡市寺島町
- URL:公式ページ
長岡リリックホールは、コンサートホール・シアター・スタジオなど複数の機能を内包する、新潟県長岡市に建つ芸術文化複合施設である。
施設の全体像としては、楕円型平面を持つ「コンサートホール」と矩形型平面を持つ「シアター」という高さのある2棟がそびえたち、それ以外の機能は「3次曲面を持つ大屋根」によって覆われた構成となっている。
この大屋根は、周囲の山々や丘といったランドスケープと連続するように低くしなやかに伸びており、内部の人々を包み込むような優しい空間を作り出している。
16.大館樹海ドーム
- 設計:伊東豊雄
- 住所:秋田県大館市上代野字稲荷台
- 竣工:1997年
- 用途:野球場および多目的競技場
- URL:公式ページ
大館樹海ドームは、野球・サッカー・テニス・コンサートなど、様々な用途で使用される、秋田県大館市に建つドーム型球場である。
本施設の大屋根は、秋田杉約25,000本をアーチ状に組み、その上に膜材を張った構成となっており「国内最大の木造建築物」として知られている。
また、大館樹海ドームのすぐ隣には「親水公園」が存在しており、大型ドームと湖が融合した独特な景観を作りだしている。
17.新青森県総合運動公園陸上競技場

- 設計:伊東豊雄
- 住所:青森県青森市大字宮田字高瀬外地内
- 開館:2018年
- 用途:多目的陸上競技場
- URL:公式ページ
新青森県総合運動公園陸上競技場は、青森県青森市大字宮田にある運動公園「新青森県総合運動公園」の中に建つスタジアム建築である。
建築としては、メインスタンドとエントランスの上に設置された「有機的な曲面を持つ大屋根」が特徴的で、積雪・風雪を防ぐ役割を果たしている。
伊東豊雄は「せんだいメディアテーク」や「ぎふメディアコスモス」といった、有機的な構造を持った建築を手掛けることで有名だが、スタジアムという大規模建築でも、そのスタイルを一貫しているあたりはさすがである。
18.IKEUCHI GATE

- 設計:伊東豊雄
- 住所:北海道札幌市中央区南一条西
- 竣工:2022年
- 用途:店舗 事務所
- URL:参考ページ
IKEUCHI GATEは、北海道札幌市にある百貨店「丸ヨ池内」の商業ビルとして、2022年に建設された建築物である。
本施設はファサード(立面)に特徴があるが、これは「大地から立ち上がる力強い植物」をモチーフとしており、伊東豊雄はこの構造体のことを「葉形構造体」と呼んでいる。
また、この葉形構造体は「柱」と「耐震壁」の役割を担っており、造形的な形態で視覚的魅力を付加しながらも、しっかりと構造体として機能させているあたりは、さすが伊東豊雄としか言いようがない。
19.Vivo City
- 設計:伊東豊雄
- 住所:シンガポール
- 竣工:2006年10月
- 用途:ショッピング複合施設
- URL:建築詳細ページ
Vivo Cityは、シンガポール最大のショッピングモールである。
「新しいシンボルとなる外観と空間構成を」
このテーマを基に、均質的になりがちな商業施設を、有機的な建築デザインによって、人々の活動を誘発するような魅力的な空間を作り出している。
建築詳細ページ

伊東豊雄の関連書籍

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