V&A Dundeeとは?

V&A Dundeeは、イギリス・スコットランドのダンディーという街に建つ、国内初のデザインミュージアムである。
設計を務めたのは、木材を多用した建築で有名な建築家隈研吾。
コンセプト「新しいスコットランドの顔をつくる」
このコンセプトを基に、スコットランドの特徴的な「崖」という地形をイメージした、ランドマークとなる建築が完成している。

そんな、V&A Dundeeの特徴をご紹介します!!
隈研吾とは?
- 1954 横浜に生まれる
- 1979 東京大学大学院修了
- 1979 日本設計就職
- 1990 隈研吾建築都市設計事務所設立
- 1997 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2009 東京大学教授に就任
隈研吾は、木材をふんだんに使用した日本的な建築を数多く手がける建築家である。
代表作としては、「高輪ゲートウェイ駅」「根津美術館」「スターバックス中目黒」などが挙げられる。
最近では、2021年に開催された東京オリンピックのメインスタジアム「国立競技場」を手掛けたことでも話題となった。
建築の特徴

V&A Dundeeの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- ランドマークとなる建築をつくる
- スコットランドの「崖」をイメージ
- 「崖」を作り出すルーバー
- 建物を貫く「孔」
- 広がりを持つ暖かい内部空間
ランドマークとなる建築をつくる

V&A Dundeeプロジェクトのクライアントは一貫して、スコットランドのランドマークとなるような建物を求めていた。
これは、カナダ出身の世界的建築家フランク・O・ロイドが手がけた「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」に影響を受けている。

ビルバオ・グッゲンハイム美術館は、その象徴的な形態によって、無名の街を観光客の訪れる活気的な街に変えた。
このように、建築が持つ力を知ったクライアントは、ビルバオ・グッゲンハイム美術館のように、ダンディーの象徴となる建築を求めた。
スコットランドの「崖」をイメージ

設計者である隈研吾氏はこれまで、自然と調和した「消える建築」を追求していた。
しかし、今回のプロジェクトでは、消えるとは真逆の象徴となる建築を求められたため、この両者の性質をもった建築をつくれないか考えた。
その結果、スコットランドの象徴である「崖」という自然の地形を模した建物とすることで、象徴性と環境との調和が共存した建築が完成した。
「崖」を作り出すルーバー

スコットランドの「崖」のようなファサードをつくる外装には、2500枚に及ぶコンクリートのルーバーが用いられている。
また、このルーバーの角度やピッチなどは、3Dソフトを駆使することによって、「崖」という地形が持つランダム性を再現。
このランダムなルーバーは、太陽の方向や天候によって、ファサードに多様な陰影を作り出す。
建物を貫く「孔」

ダンディー美術館は大きく二つのボリュームに分かれており、間に洞窟のような「孔」が開けられている。
「都市と水の再接合」
20世紀に入り、倉庫群によって分断された「テイ川」と「ダンディーという街」を今回の計画で再接合しようと計画された。
そのため、「都市と水の再接合」コンセプトを掲げ、建物に「孔」を設けることで、まちと川を動線的にも景観的にも繋いでいる。
広がりを持つ暖かい内部空間

「都市のリビングルーム」
ダンディーの冬は寒さが厳しいため、人々が集まり暖をとれる空間が必要だと考え、このようなコンセプトを掲げたそう。
そのため、斜めの壁部分は、隈研吾氏らしい木材パネルで仕上げらえており、その最下部にはベンチが設けられ、リビングのような空間がつくられている。
また、ダンディー美術館の内部は、上に行くほど広がる建物形状によって、実際の面積よりも大きな広がりを感じる空間となっている。
建築概要
- 所在地:スコットランド ダンディー
- 竣工 :2018年9月
- 用途 :博物館 レストランなど
- 構造 :RC造
- 階数 :地上3階
- 高さ :22.8m
- 設計 :隈研吾建築都市設計事務所
- 構造 :Arup
- 設備 :Arup
- 施工 :BAM Construct UK
施設概要
- Tel :44-(0)1382-411-655
- 休館日 :12月25,26日
- 営業時間:10:00〜17:00
- URL :https://www.vam.ac.uk/dundee
- 料金 :特別企画部展以外無料
最後に・・・
以上がV&A Dundeeの特徴でした。
都市と自然を再結合するような外装や、孔という構成が特徴的な建築になっていたと思います。

スコットランドを訪れる際は是非、V&A Dundeeに立ち寄ってみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。