国立競技場とは?
- 設計 :隈研吾
- 所在地:東京都新宿区霞ヶ丘町10-1
- 竣工 :2019年11月
- 用途 :競技場
- 構造 :S造 一部SRC造 RC造
- 階数 :地下2階 地上5階 塔屋1階
- 高さ :47.350m
国立競技場は、2021年に開催された東京オリンピックのメインスタジアムとして、隈研吾氏によって建てられた建造物である。
これまでの巨大スポーツ施設は、コンクリートと鉄によるクールなものが多い傾向がある。しかし、この国立競技場では、積み重なる4層の軒庇×軒下の木ルーバーによって温かく優しい空間がつくられている。
この伝統的な日本建築のような国立競技場の特徴と魅力をご紹介します!!
隈研吾とは?
- 1954 横浜に生まれる
- 1979 東京大学大学院修了
- 1979 日本設計就職
- 1990 隈研吾建築都市設計事務所設立
- 1997 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2009 東京大学教授に就任
隈研吾とは、木材をふんだんに使用した和風建築を数多く手がけることで知られている、日本を代表する建築家である。
代表作としては、国立競技場・那珂川町馬頭広重美術館・浅草文化観光センターなどが挙げられ、どの建築にも必ずと言っていいほど木材が使用されている。
街中で、木のルーバーや木のパネルがくっついた建築物を見かけたら、高い確率で隈研吾が設計した建築作品だと思っていいだろう。(笑)
最近の隈研吾建築は、木材を建物に貼り付けただけのような、安っぽいものも多くなってしまっている感じがするが、定期的に周囲を圧倒するような作品も手掛けるため、油断は禁物である。
建築の特徴
3層の軒庇×風の大庇
複数の庇の重なりとしてデザインされた国立競技場、この庇によって日本の伝統的な建築様式を想起させるような外観となっている。
軒下の木製ルーバー
複層の庇による外観をより豊かなものとしているのが軒下のルーバーである。下から3層までのルーバーは、47都道府県の木材を、それぞれの場所の方角に合わせて配置している。
さらに、最上部の庇は「風の大庇」と呼ばれているが、ここの軒下ルーバーだけアルミを木目調に塗装仕上げして設置されている。
杜のスタジア
設計者の隈研吾氏は、設計コンセプトとして「杜のスタジアム」というものを挙げている。これは、明治神宮外苑という自然豊かな周辺の環境と調和したスタジアムを目指したものである。
また、競技場の周囲を「大地の杜」、庇の上の緑化部分を「空の杜」と呼び、これら全体では約48,000本もの高中低木が植栽されている。
屋根が一部ガラス張り
テレビなどで国立競技場の上空からの外観を何度か見たことがあると思いますが、一部の屋根が剥げた?ようの部分が気になっていた方もいたのではないでしょうか?
この部分は、冬期の太陽が低い時期に、フィールドの芝に日光が当たるようにガラス張りとしたことによる外観であるようだ。
すり鉢状の3層スタンド
すり鉢状のスタンドは、1層目が20°、2層目が29°、3層目が34°と上に行くにつれ角度がついている。この構成によって、選手と観客が一体となったスタジアムとなっている。
モザイク状の観客席
国立競技場の座席は、5色がランダムに配置されモザイク状になっている。コンセプトとしては「森の木漏れ日」で、上に行くほど白色(大地→空)になるように配置している。
このモザイク状の観客席は、実際に人がいなくても、観客で満員のように見えることもあり、コロナウイルスが流行してしまったことによって、図らずとも現代に適した構成となった。
木材を使った大屋根
国立競技場の大屋根は、鉄骨と木材によるハイブリット構造であり、木のぬくもりが伝わる温かい空間となっている。
最後に・・・
以上が隈研吾さんの代表作国立競技場でした。
国立のスタジアムながらも、日本らしい軒庇と木材を多用した構成は、隈研吾さんらしい魅力的な建築物だと思います。
今後国立競技場がどのように利用されていくのか楽しみです!!
閲覧していただきありがとうございます。