TOYAMAキラリとは?
- 設計 :隈研吾
- 所在地:富山県富山市西町
- 竣工 :2015年4月
- 用途 :美術館 図書館 銀行本店 駐車場 外向店舗
- 構造 :鉄骨造(付加制震構造)
- 階数 :地下1階 地上10階
- 高さ :57.210m
TOYAMAキラリは、旧百貨店の敷地に建つ再開発ビルである。
再開発ビルという堅いイメージのものに対して、「ゆるい」再開発ビルにすることを設計者の隈研吾氏は目標とした。
施設用途は、ガラス美術館・図書館、銀行などからなる複合施設である。
建築の特徴としては、3種類のパネルによるきらきらとした外観、スギルーバーによって囲われた斜めに伸びる吹き抜け空間などが挙げられる。
隈研吾とは?

- 1954 横浜に生まれる
- 1979 東京大学大学院修了
- 1979 日本設計就職
- 1990 隈研吾建築都市設計事務所設立
- 1997 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2009 東京大学教授に就任
隈研吾とは、木材をふんだんに使用した和風建築を数多く手がけることで知られている、日本を代表する建築家である。
代表作としては、国立競技場・那珂川町馬頭広重美術館・浅草文化観光センターなどが挙げられ、どの建築にも必ずと言っていいほど木材が使用されている。
街中で、木のルーバーや木のパネルがくっついた建築物を見かけたら、高い確率で隈研吾が設計した建築作品だと思っていいだろう。(笑)
最近の隈研吾建築は、木材を建物に貼り付けただけのような、安っぽいものも多くなってしまっている感じがするが、定期的に周囲を圧倒するような作品も手掛けるため、油断は禁物である。
建築の特徴
3種類のパネルによる「負けるファサード」

この特徴的なファサードは、富山県の主要産業であるアルミ、ガラス、そして旧富山第一銀行本店と同じ御影石、この3種類のパネルによって作られている。
この3種のパネルによるファサードの魅力は、角度や幅がランダムに並んでいるため、時間や天気によって光の当たり方が変わり、違った表情を見せることである。
隈研吾氏は、これを「負けるファサード」と呼び、自身の建築的思想「負ける建築」の考えを取り入れた建築となっている。
環境に配慮した南側ファサード

裏側のファサードは、南に面していることを生かし、緑化パネルと太陽光パネルによって構成している。
緑化パネルは、土を用いない屋外緑化システム「グリーンビズ」が用いられている。
さらに、南側の壁面は上に行くにつれてセットバックしている。これにより周囲への圧迫感を軽減している。
斜めに繋がる吹き抜け空間


TOYAMAキラリの最大の特徴は、この斜めに繋がる吹き抜けである。
構成としては2階~6階まで吹き抜け空間が連続しており、階を超えた交流が促されている。
また、TOYAMAキラリでは、美術館と図書館が各階に分散して配置してあるが、中央の少しずつずれる斜めの吹き抜けによって、階ごとに異なる関係性を作り出している。
吹き抜けを取り囲むスギルーバー

TOYAMAキラリの最大の特徴である斜めの吹き抜けを強調しているのが周囲に取り付けられたスギルーバーである。このルーバーによって、木漏れ日空間を作り出している。
また、斜めの吹き抜けと周囲を取り囲む木製ルーバーによる構成は、今までに前例がなかったため、避難安全検証をするなど、徹底的な安全対策が行われた。
最後に・・・
以上が隈研吾さんが設計した富山県の複合施設「TOYAMAキラリ」の特徴でした。
「アルミ・ガラス・御影石」によるクールな外観と、内部の「吹き抜け×スギルーバー」による温かい空間の対比が魅力的な建築だったと思います。
富山県を訪れた際はぜひ訪れてみてください!!
閲覧していただきありがとうございます。