山本理顕とは?
- 1945 中国・北京に生まれる
- 1967 日本大学理工学部建築学科卒業
- 1971 東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了
- 1971 東京大学生産技術研究所原広司研究室所属
- 1973 山本理顕設計工場設立
- 2000 横浜国立大学大学院Y-GSA教授
- 2011 日本大学大学院特任教授
- 2018 名古屋造形大学学長
山本理顕は、横浜国立大学や日本大学などの建築科で教授などを務めた経歴を持つ、日本を代表する建築家である。
代表作としては「横須賀美術館」「公立はこだて未来大学」などが挙げられ、美術館や教育施設などの大規模建築を数多く手がけている。
建築としては、ガラスと力強い構造体を利用したスタイリッシュな作品が多く、派手さというより空間の面白さで勝負する建築家だ。
今回は、そんな建築家山本理顕の建築作品9選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家山本理顕の建築作品9選
1.横須賀美術館





- 住所:神奈川県横須賀市鴨居4-1 県立観音崎公園内
- 竣工:2006年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
横須賀美術館は、神奈川県横須賀市の「県立観音崎公園」内に建つ美術館である。
敷地は、三方を山に囲われ北側には東京湾が広がっており、自然に恵まれた周辺環境と一体になるような美術館が計画された。
建築としては、「ガラスの箱」の中に「鉄板の箱」が入った、入れ子状の構成が特徴的。
この構成によって塩害から建物を守りつつ、適度に美術館内部にも光を取り込むことのできる美術館が完成している。
2.公立はこだて未来大学








- 住所:北海道函館市亀田中野116-2
- 竣工:2000年
- 用途:大学
- URL:公式ページ
公立はこだて未来大学は、「複雑系科学」と「情報アーキテクチャー」という2つの学科が入った、情報系の大学施設である。
この校舎は、北海道函館市のはずれに位置し、函館市街や函館山を見渡すことのできる傾斜地に存在する。
コンセプト「情報のネットワークは人のネットワークである」
このコンセプトを基に、箱型のヴォリュームの中に人々の視線や活動が複雑に混ざり合う、魅力的な大空間をつくり出している。
3.名古屋造形大学








- 住所:愛知県名古屋市北区名城2-4-1
- 竣工:2022年
- 用途:大学
- URL:公式ページ
名古屋造形大学は、愛知県に建つ美術系大学である。
山本理顕氏は「公立はこだて未来大学」や「埼玉県立大学」など様々な学校建築を手掛けてきましたが、この施設では設計だけではなく、学長として教育プログラムの再編などにも携わっています。
建築としては、「上部に乗っかる大空間」と「その下に広がる半屋外空間」が特徴的。
ピロティのような半屋外空間は、一般にも開放され、コンセプトでもある「開かれた大学」を象徴するような空間となっている。
4.埼玉県立大学








- 住所:埼玉県越谷市大字三野宮
- 竣工:1999年
- 用途:大学
- URL:公式ページ
埼玉県立大学は、1999年に埼玉県越谷市に設置された県立大学である。
上空写真を見てもらえると、この大学の構成がわかりやすい。
施設全体としては、東西に伸びる細長い2つの棟(大学棟・短大棟)と、その間に挟まれる屋上緑化が施されたデッキを持つ低層部分によって構成されている。
このデッキが2つの棟を繋ぐように配置されることで、施設全体に一体性をもたらしている。
5.熊本県営保田窪第1団地








- 住所:熊本県熊本市帯山1-28
- 竣工:1991年
- 用途:共同住宅 110戸
熊本県営保田窪第1団地は、熊本県が文化の向上などを目的に実施する事業「くまもとアートポリス」の一環として建設された共同住宅である。
建築全体としては、計110戸からなる「3つの住棟」と「集会室」が中央広場を囲うように配置されている。
建築の詳細に関しては、家族室と寝室を分棟配置にしてブリッジがその間をつなぐなどの構成がとられている。
この構成によって、すべての居室に2つの開口部を設けることが可能になり、熊本の厳しい暑さに適応できるようになっている。
6.大崎市立岩出山中学校




- 住所:宮城県玉造郡岩出山町字松沢
- 竣工:1996年
- 用途:中学校
大崎市立岩出山中学校は、1993年に3つの学校が統合する形で発足した、宮城県大崎市にある公立中学校である。
建物全体としては、「体育管理棟」と「教室棟」に分かれており、それぞれの棟の上をフラットな大屋根が覆っている様子が特徴的。
さらにこの大屋根にはトップライトが設けられており、この下の空間では、光が適度に差し込む魅力的な半屋外空間が形成されている。
それから、上の写真では見えないが、体育管理棟と教室棟の間には「風の翼」と名付けられた巨大な湾曲面の壁が反り立っている。
この壁は、北風を防いだり、太陽光の反射によって施設への光を増す効果を持つという。
7.The Circle at Zurich Airport




- 住所:The Circle, Flughafen CH 8058 Zurich, Switzerland
- 竣工:2020年
- 用途:店舗 事務所 ホテル コンベンションセンター 病院 等
The Circle at Zurich Airportは、スイス・チューリッヒ国際空港に付属する複、店舗やホテルなど様々な機能が入った複合施設である。
コンセプト「小さな町のような建築」
この建築は写真を見て分かるように、スイスでも最大規模の建築となっている。しかしコンセプトは「小さな町のような建築」だから面白い。
具体的には、全体像としては大きな建築となっているが、実は内部は小さな建築の集合体のようになっっている。
8.広島西消防署




- 住所:広島市西区都町43-10
- 開館:2000年
- 用途:消防署救急教育センター
- URL:参考ページ
広島西消防署は、従来の消防署機能だけでなく「多目的体育訓練場」や「消防音楽隊の訓練場」など、様々な機能を複合した施設である。
この施設の面白い点は、消防署を徹底的に街に開いている点である。
実際、この施設はいつでもだれでも訪れることができ、消防隊員が訓練している様子を見学することができるようになっている。
さらに、そのような開放的な施設であることを加味して、建築も建物全体が「ガラスのルーバー」によって覆われており、内部のアクティビティが外部からでも見えるようになっている。
9.福生市庁舎




- 住所:東京都福生市本町5
- 開館:2008年
- 用途:市庁舎
- URL:公式ページ
福生市庁舎は、東京都福生市の市庁舎建築である。
この建築は、「フォーラム」「丘の広場」「タワー」の3つの要素でできている。
高くそびえたつ2つの棟が「タワー」、その間に広がる芝が引かれた部分が「丘の広場」であることは明白だが、「フォーラム」はどこの部分を指すのだろうか?
実は、丘の広場とタワーの下の空間が「フォーラム」となっている。つまり、有機的な丘のように隆起した広場の下に空間があるという事だ。
この構成は、周囲の建築物が比較的低層であることから、敷地全体に建築を展開し、可能な限り全体の高さを抑えるために採用されている。
山本理顕の著書など








今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、山本理顕が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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