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日本橋三越本店 リニューアル【隈研吾】

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日本橋三越本店とは?

1914年、日本橋に建てられた日本で最初のデパートメント・ストア「日本橋三越本店」。

2018年にリニューアルオープンた同店だが、この歴史ある建築のリニューアルを担当したのは、最近話題の建築家隈研吾氏である。

テーマ「白く輝く森」

このテーマを基に、歴史のある建築の内部空間に、突如として白く輝く森が出現した。

隈研吾とは?

  • 1954 横浜に生まれる
  • 1979 東京大学大学院修了
  • 1979 日本設計就職
  • 1990 隈研吾建築都市設計事務所設立
  • 1997 日本建築学会賞作品賞受賞
  • 2009 東京大学教授に就任

隈研吾は、木材をふんだんに使用した日本的な建築を数多く手がける建築家である。

代表作としては、「高輪ゲートウェイ駅」「根津美術館」「スターバックス中目黒」などが挙げられる。

最近では、2021年に開催された東京オリンピックのメインスタジアム「国立競技場」を手掛けたことでも話題となった。

建築の特徴

photo by Kakidai/ CC 表示-継承 4.0

日本橋三越本店の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 増改築を繰り返してきた建築
  2. 子供時代の体験を手掛かりにしたリニューアル案
  3. 「アールデコ建築」の再現
  4. 森の中をイメージさせる柱群
  5. 「樹冠」をイメージした柱上部

増改築を繰り返してきた建築

1914年、日本の鉄骨建築の先駆者といわれる建築家「横河民輔よこがわたみすけ」の設計によって竣工した日本橋三越本店。

当時この建築は、様々点で画期的なものであった。

  • 国内最大規模の鉄骨造建築
  • 日本初のエスカレーター・エレベーター
  • 全館暖房

また、この建築は1923年の関東大震災によって甚大な被害を受けたことを皮切りに、幾度となく100年を超える歴史の中で増改築を繰り返してきた。

そんな中、今回行われた大改装は約30年ぶりということで大きな注目を集めた。

子供時代の体験を手掛かりにしたリニューアル案

2018年のリニューアルを担当した隈研吾氏は、子ども時代に体験した日本橋三越本店でのきらきらとした夢の中のような空間を目指して設計をすすめたという。

そこで隈研吾氏は、当時取り入れられていた「アールデコ」という装飾的なデザイン様式を踏襲した構成をリニューアル案でも提案した。

「アールデコ建築」の再現

photo by Petri Krohn/ CC 表示-継承 3.0

アールデコとは、1920年代から1930年代にかけてヨーロッパを中心に流行した「デザイン様式」で、日本でも昭和初期に流行した。

一方、建築に詳しい方なら聞いたことがあると思うが、「アールヌーボー」という様式も存在する。

アールデコ
  • 意味:「新しい芸術」
  • 年代:1910年~1930年
  • 場所:ヨーロッパ、アメリカを中心に拡大
  • モチーフ:三角形や正方形といった単純な形態をモチーフに
アールヌーボー
  • 意味:「装飾芸術」
  • 年代:19世紀末~20世紀初頭
  • 場所:ヨーロッパを中心に拡大
  • モチーフ:植物や昆虫といった有機的形態をモチーフに

隈研吾氏は、当時の日本橋三越本店に用いられていたアールデコという建築様式を用いることで、子どものころに感じたワクワク感を演出しようと試みた。

森の中をイメージさせる柱群

photo by Wpcpey/ CC 表示 4.0

ワクワク感の演出という目標に対して隈研吾氏は、アールデコでよく用いられていた「木」という要素を作り出そうと考え、柱を木に見立てることにした。

この柱という名の「木」が壁のない空間内に連続することによって、そこがまるで木が乱立する森のような空間へと一変する。

また、この空間を白で統一することで、森の中のような雰囲気ながらもどこか高級感のあるまさに「白く輝く森」が生み出されている。

「樹冠」をイメージした柱上部

さらに、柱の樹木感を高めるために、柱の上部から天井面にかけてアールデコらしい幾何学形態を重ねることによって「樹冠(樹木の上部で葉が生い茂っている部分)」を再現したという。

これは、一つのひし形をしたアルミパネルが幾重にも重ねられることで形成されており、それが「樹冠」の複雑性を再現している。

さらに、一つ一つのアルミパネル裏にはLEDライトが設置されており、隙間から光が漏れ出すことで「木漏れ日」のような光空間を演出している。

建築概要

  • 所在地:東京都中央区日本橋室町
  • 竣工 :2018年
  • 用途 :デパート
  • 構造 :SRC造
  • 階数 :地上7階、地下3階
  • 設計 :隈研吾建築都市設計事務所
  • 照明 :面出薫氏
  • 構造 :グロフィス、乃村工藝社
  • 施工 :三越伊勢丹プロパティ・デザイン
  • URL :https://kkaa.co.jp/project/renewal-of-nihonbashi-mitsukoshi/

最後に・・・

以上が日本橋三越本店の特徴でした。

日本最初のデパートという歴史のある建物に対して、デザインの様式は踏襲しつつも、まったくもって新しい魅力的な空間が形成されていました。

たけひこ
たけひこ

是非一度、日本橋三越本店に訪れてみてください!!

ご覧いただきありがとうございました。

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