根津美術館とは?

東京港区という大都会の中にひっそりと佇む、緑豊かな根津美術館。
この美術館の設計を務めたのは、今話題の建築家隈研吾である。
コンセプト「環境と融合したミュージアム」
隈研吾氏はこのコンセプトを基に、庭・建築・アート作品が一つに融合されていくような空間を目指してこの美術館を設計したという。
隈研吾とは?

- 1954 生誕
- 1979 東京大学大学院修了
- 1979 日本設計に就職
- 1990 隈研吾建築都市設計事務所設立
- 1997 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2009 東京大学工学部建築学科教授
隈研吾は、木材をふんだんに使用した日本的な建築を数多く手がけることで知られる建築家である。
代表作としては、「スターバックス太宰府天満宮表参道店」「ところざわサクラタウン」「那珂川町馬頭広重美術館」などが挙げられる。
2021年に開催された東京オリンピックでは、メインスタジアムとなる「国立競技場」を手掛けたことでも話題となった。
建築の特徴

根津美術館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 深い軒下のアプローチ空間
- 広大な庭園
- 庭園に対して『開いた』空間
- 『閉じた』展示室
深い軒下のアプローチ空間

根津美術館の最大の魅力は、「深い軒」「竹林」「竹のルーバー」によって三方を囲われたアプローチ空間にある。
このアプローチ空間は、建物と前面道路との間に設けられ、全長約50mほどの空間になっている。
まずこの空間を歩くことによって、「都会から自然」「賑わいから静寂へ」と、訪れる人々の気持ちをグラデ―ショナルにいざなうように意図し、設計されている。
広大な庭園


根津美術館の周辺には、かつて根津嘉一郎邸の庭園であったものが現在も残っている。
庭園の特徴としては、自然の傾斜を生かし、池を中心とした日本庭園で、庭内には4棟の茶室や薬師堂などが存在する。
また、NEZU CAFEというカフェが庭園内には存在し、大胆なガラス張りによって、自然を感じながら休憩できる魅力的なスポットとなっている。
庭園に対して『開いた』空間

外の自然あふれる庭園の魅力を内部空間に最大限に取り入れるために、その境界には内外をシームレスに接続する大きなガラス面を設置している。
また、開口面に沿って並べられているスチール柱の断面は薄く長いものとなっている。
この華奢な柱によって、内外接続の妨げになるのを避け、内部空間にいてもまるで庭園の中にいるような魅力的な体験ができる。
『閉じた』展示室

写真の壁の奥には展示室が存在している。
庭園に対して最大限に開いた空間とは対照的に、展示室は閉じた空間になっている。
これは、地震や盗難、外光や温湿度などの環境変動から美術作品を守るための構成である。
建築概要
- 所在地:東京都港区南青山6-5-1
- 竣工 :2009年2月
- 用途 :美術館
- 構造 :鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄骨造
- 階数 :地下1階 地上2階
- 高さ :約14m
- URL :https://www.nezu-muse.or.jp/
最後に・・・
以上が根津美術館の特徴でした。
都会空間と日本庭園をつなぐような役割を果たしつつ、美術館自体も魅力的な空間構成になっていたと思います。
ご覧いただきありがとうございました。