みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」です。
今回は、香川県の有名建築物16戦をご紹介します。
香川県には、アートの島として有名な直島を中心に、安藤忠雄や丹下健三といった有名建築家による魅力的な建築物が数多く存在しています。
本記事では、それら建築物の特徴をわかりやすく解説しているので、香川県で建築巡りをする際は、是非本記事を参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
香川県の有名建築物16選【丹下健三・安藤忠雄・SANAAなど】
1.香川県庁舎東館【丹下健三】
香川県庁舎は、本館・東館(高層棟)・東館(低層棟)・北館・警察本部庁舎・議会議事堂の6つの棟から成る、香川県高松市に建つ庁舎建築物である。
建築の設計は、日本建築界の大巨匠「丹下健三」が担当。
丹下健三が設計したのは、本館・東館(高層棟と低層棟)・警察本部庁舎の4つである。
その中でも東館の2棟は、丹下健三の初期の代表作として有名で、「日本伝統様式」と「モダニズム建築」を掛け合わせた構成が日本ならではのモダニズムを確立したとして、国内外で高い評価を得ている。
その証拠と言っては何だが、香川県庁舎の東館2棟は2021年に国の重要文化財に指定されている。
建築詳細ページ

2.地中美術館【安藤忠雄】
地中美術館は、アートの島として知られる瀬戸内海に浮かぶ小島「直島」に建つ美術館建築物である。
建築の設計は、コンクリート建築でおなじみの建築家「安藤忠雄」が担当した。
コンセプト「自然に埋没する建築」
このコンセプトを基に、もともと敷地に存在していた豊かな自然環境や景観を破壊しないように、安藤忠雄は建築の全ヴォリュームを地中に埋め込むという、とんでもない計画を立てた。
しかし、この大胆な設計によって、瀬戸内の美しい風景や環境はそのままに保存しつつ、地下空間にはその環境と一体となった魅力的なアート空間が生まれている。
建築詳細ページ

3.李禹煥美術館【安藤忠雄】

李禹煥美術館は、アートの島として知られる瀬戸内海の小島「直島」に建つ美術館建築である。
建築の設計は、地中美術館と同様に建築家「安藤忠雄」が担当。
李禹煥は1936年に韓国で生まれ、1960~70年代にかけて日本で流行した「もの派」という現代美術の先駆者として知られる彫刻家である。
その李禹煥の作品を展示する美術館として建設されたのがこの李禹煥美術館で、建築としては地中美術館と同様に、建築ボリュームの大半を地下に埋め込み、周辺の自然環境に溶け込ませた構成となっている。
また、この美術館はアプローチ空間も魅力的で、コンクリートの壁を何枚も並行に並べ、その壁の間を迂回するように展示室まで歩いていく構成となっている。
建築詳細ページ

4.ANDO MUSEUM【安藤忠雄】
ANDO MUSEUMは、アートの島として有名な瀬戸内海の小島「直島」に建つ美術館建築物である。
建築の設計は、地中美術館・李禹煥美術館同様に建築家「安藤忠雄」が担当。
「安藤忠雄のエッセンスを詰め込んだ美術館」
敷地周辺には、木造の古民家がたくさん立ち並んでおり、ANDO MUSEUM自体も外観だけ見るとそれら古民家に溶け込むような木造建築物となっている。
しかし、実際に内部に入ってみると、安藤忠雄らしいコンクリートに埋め尽くされた空間が広がっており、内外の想定外性が魅力的な美術館となっている。
建築詳細ページ

5.ヴァレーギャラリー【安藤忠雄】
ヴァレーギャラリーは、瀬戸内海に浮かぶアートの島「直島」に2022年に開館したギャラリーである。
建築の設計は、地中美術館・李禹煥美術館同様に建築家「安藤忠雄」が担当。
コンセプト「建築の原点に立ち返る光」
このコンセプトを基に、若き日の安藤忠雄に絶大な影響を与えたという「ローマ・パンテオン」を彷彿とさせる、魅力的な光の空間が直島に誕生した。
ちなみに、ヴァレーギャラリー内や外の庭や池などに設置されているミラーボールは、芸術家・草間彌生による「ナルシスの庭」というアート作品である。
建築詳細ページ

6.海の駅なおしま【SANAA】

海の駅なおしまは、瀬戸内海に浮かぶアートの島「直島」の宮ノ浦港に建つフェリーターミナルである。
建築の設計は、妹島和世と西沢立衛による建築家ユニット「SANAA」が担当。
最大70メートルにも及ぶ水平な大屋根が、穏やかな宮ノ浦港の風景に溶け込むように静かに佇んでいる。
計画当初は、直島のランドマークになるようなシンボルタワーを建てる案なども出ていたそうだが、安藤忠雄が直島で徹底的に行っている自然と同化した建築に影響を受けたのか、この施設でも周辺環境との調和を最優先として設計が行われている。
ちなみに、この大屋根の下には複数のガラスの箱が設置されており、事務スペースや待合スペース、カフェなどが内包されている。
建築詳細ページ

7.豊島美術館【西沢立衛】
豊島美術館は、瀬戸内海の中でも緑豊かで、豊富な湧き水を持つ「豊島」に建てられた美術館である。
建築の設計は、建築家「西沢立衛」とアーティスト「内藤礼」が共同で行い、次のことをコンセプトとした。
設計コンセプト「アート・建築・自然 三者の調和と連続」
このコンセプトを基に、水滴をイメージしたというコンクリートのシェル構造が、建築と自然とアートが一体化する魅力的な空間を作り出している。
建築詳細ページ

8.直島パヴィリオン【藤本壮介】

直島パヴィリオンは、瀬戸内海に浮かぶアートの島「直島」にあるパヴィリオン(仮設建築物)である。
このパヴィリオンの設計は、建築家「藤本壮介」が担当。
直島の玄関口である宮浦港のすぐそばに設置されており、直島を訪れた人々はまずこのパヴィリオンで写真を撮ってから島を巡ることとなる。
ステンレスメッシュで構成されるこのパヴィリオンの中に入ると、まるで雲の中にいるような不思議な感覚に陥る。
9.丸亀市猪熊弦一郎現代美術館【谷口吉生】

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は、丸亀市出身の洋画家「猪熊弦一郎」の作品の展示を目的として建設された美術館である。
建築の設計は、国内外で数多くの美術館を手掛ける建築家「谷口吉生」が担当。
この美術館は、JR予讃線丸亀駅の目の前に位置しており、設計にあたっては駅との関係性が重視されている。
建築としては、駅に向かって大きな開口を持つ外構と、その内側に収められた直方体の展示空間という構成が特徴的。
さらに、この建築でもやはり谷口吉生らしい「水平垂直ライン」の美しさが際立っている。
建築詳細ページ

10.直島ホール【三分一博志】
直島ホールは、犬島と同様に、瀬戸内海に浮かぶ島「直島」に建設された、ホールや集会所からなる施設である。
建築の設計は、山口県出身の建築家「三分一博志」が担当。
建築としては、入母屋造りの大屋根に大きな「風穴」が開けられた構成が特徴的で、この風穴から直島特有の南風を取り込める仕組みとなっている。
三分一博志は自身の一貫したテーマとして「建築が地球の一部となること」というのを掲げているが、この直島ホールは「風」という地球の要素を通して、まさに地球の一部になった建築物となっている。
11.The Naoshima Plan「住」【三分一博志】
The Naoshima Plan「住」は、新たに直島に住む人のための長屋住宅を設計し、それをスケルトン(骨組み)のまま公開した作品である。
建築の設計は、山口県出身の建築家「三分一博志」が担当。
この作品で三分一博志氏は、現代の環境問題に対応する「新たな建築工法」を作り出し、その工法や素材をそのまま公開することで、多くの人と「自然と建築」の現状を共有しようとしている。
具体的には、日本伝統の工法「慣工法」に着目し、その弱点であった地震の際の揺れが大きいという点を克服し科学的に証明するために「平間柱貫工法」という新しい工法を作り出した。
12.やしまーる【周防貴之】
やしまーる(屋島山上交流拠点施設)は、香川県高松市の北東に位置する屋根の形をした溶岩台地「屋島」の山上に建つ交流展望施設である。
建築の設計は、SANAA出身の建築家「周防貴之」が担当。
建築全体は、蛇のようにうねうねと蛇行する回廊空間が、敷地中央の広場を囲うようにして展開されており、周囲に広がる自然豊かな景観を楽しみながら散策できる公園のような施設となっている。
そしてこの施設には、ちょっとした展示室や事務室などは設けられているが、基本的に特定の機能は設定されていない。だからこそ、屋島を訪れた人々が心置きなく回遊できる楽しい空間となっている。
また、やしまーるの隣には同じく周防貴之が設計した「れいがん茶屋」が建っている。(次の項で紹介します)
建築詳細ページ

13.れいがん茶屋【周防貴之】
れいがん茶屋は、香川県高松市の北東に位置する屋根の形をした溶岩台地「屋島」の山上に建つ、カフェやショップからなる商業施設である。
建築の設計は、SANAA出身の建築家「周防貴之」が担当。
一見すると瓦屋根を持った日本伝統の家屋のような建築物であるが、詳しくみてみると面白い構成が随所にみられる。
例えば、建物の下の地面が大きく盛り上がって丘のようになっていたり(写真2・3枚目)、頭上に木の梁が通っている中庭があったり(写真4枚目)と、普通の木造家屋では見られない要素が多数存在している。
実はこの建築は、元々この地に建っていたものを改修してできたもので、周防貴之は既存の建物に「丘のような床」を付加することによって、建物全体を展望台のようにしつつ、老朽化した躯体を補強する役割も担わせているのである。
建築詳細ページ

14.四国村ギャラリー【安藤忠雄】
四国村ギャラリーは、香川県高松市にある四国村(野外博物館)内の一施設として、2002年に建設された美術館である。
四国村創設者・加藤達雄が収集した美術品の展示などを行っている。
建築の設計は、日本を代表する建築家「安藤忠雄」が担当。
本施設は、香川県高松市の北東に位置する屋根の形をした溶岩台地「屋島」の中腹に建てられており、周囲の豊かな自然に溶け込むような水平性の高い構成が特徴となっている。
一方で、建物自体は安藤忠雄らしいコンクリート打ち放しの外観を呈しており、自然環境に溶け込みつつもその環境に負けないような力強い建築作品となっている。
また、建物前面には傾斜を利用した階段状の広場が展開されている。
建築詳細ページ

15.四国村ミウゼアム【空間構想】
四国村ミウゼアムは、香川県高松市にある四国村(野外博物館)のエントランス施設として2022年に建設された建築物である。
本施設は、東京都文京区を拠点に活動する建築事務所「空間構想」が設計を担当。
建築全体を覆う有機的な大屋根がシンボリックな外観を形成しており、この特徴的な形態から「おおやねさん」という愛称もつけられている。
外観は有機的な黒い大屋根が何かの生き物にも見えるような不思議な存在感を放っているが、その大屋根の下には木材のぬくもりを感じる優しい空間が展開されている。
16.香川県立体育館【丹下健三】

香川県立体育館は、その得意な形状から「船の体育館」という愛称で親しまれている、香川県高松市に建つ体育施設である。
建築の設計は、世界的建築家丹下健三が担当。
丹下健三の代表作には「代々木体育館」が存在するが、香川県立体育館はその代々木体育館と同時並行で設計が進められており、建築の構成もワイヤで屋根を吊るという「吊り構造」が両者で採用されている。
残念ながら本建築は、耐久性の問題などから解体が決定しており、後任の施設としてSANAA設計の新体育館が2025年の春にオープンする予定となっている。
香川県関連の書籍


今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。