【建築解説】れいがん茶屋|周防貴之

みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、香川県高松市・屋島の山上に建つ商業・展望施設「れいがん茶屋」の建築的特徴をご紹介したいと思います。

高松市を訪れた際には必ず立ち寄りたい建築スポットです。是非最後までご覧ください。

目次

れいがん茶屋の概要

れいがん茶屋は、香川県高松市・屋島の山上に建つ、カフェやショップからなる商業施設である。

建築の設計は、SANAA出身の建築家「周防貴之」が担当。

元々この地に建っていた建物を改修してできた商業施設で、周防貴之は既存の建物に「丘のような床」を付加することによって、建物全体の展望台化を試みている。

れいがん茶屋のすぐ隣には、同じく周防貴之設計の「やしまーる」が建っており、両者が連動しながら屋島山上の観光スポットを形成している。

設計者:周防貴之とは?

  • 2004 慶應義塾大学卒業
  • 2006 同大学大学院修了
  • 2006 妹島和世建築設計事務所・SANAA勤務
  • 2015 SUO設立

周防貴之すおうたかしは、慶應義塾大学で建築を学んだあと妹島和世や西沢立衛の下で働き、のちに独立を果たした建築家である。

2015年に独立して最初に挑んだ「やしまーる」のプロポーザルでは、藤本壮介や石上純也といった名だたる建築家を抑え最優秀者に選ばれた。

近年注目を集めている、若手建築家である。

れいがん茶屋の建築的特徴

屋島山上に建つ商業・展望施設

まるで屋根のような形状をしていることからその名がつけられた、香川県高松市にある溶岩台地「屋島」。

その山上に建つ商業施設が、今回紹介するれいがん茶屋である。

標高約300mの高台に建つ施設であるため、前面には瀬戸内海の絶景が広がっており、商業施設としてはもちろん展望施設としても機能する魅力的な建築物となっている。

明治・大正・昭和に建てられた3棟の改修計画

実は、れいがん茶屋は今回新築された建物というわけではなく、元々この敷地に建っていた3つの棟を改修することでリニューアルオープンを果たした施設となっている。

そして、既存3つの棟は、明治・大正・昭和時代の3時代に渡って徐々に増改築を繰り返しながら現在まで受け継がれてきたという歴史を持つ建物である。

上の写真のように、3つの棟の間には骨組みがあらわになった中庭空間が設けられており、外部と内部が一体になった豊かな建築空間が展開されている。

周防貴之はこの歴史のある施設に対して、既存の骨組みは残しつつ新たな要素を付加することで、記憶は継承しつつ新しさのある魅力的な施設を作り出している。

丘のような床によって展望台化された建築

本施設の地面は、上の写真のように一部が丘のように大きく盛り上がっている。

この床は、初めからこうなっていたわけではなく、周防貴之が改修計画で新たに付加した要素である。

このように、地面を盛り上げることによって柱脚部を補強しつつ、施設全体を展望台化しているのである。

内部と外部が混在した空間展開

周防貴之は、地面を丘のように盛り上げること以外にも、ある操作を今回の改修計画で行っている。

それは、1階部分の壁を減らすという操作である。

この操作によって本施設には、内部のようでも外部のようでもある多様な半屋外空間が生まれ、人々が自然と施設内部に引き寄せられるような誘引力のある空間が作り出されている。

隣接する周防貴之建築「やしまーる」

れいがん茶屋のすぐ隣には、同じく周防貴之設計の「やしまーる」が建てられている。

やしまーるは、特定の機能を持たない自由な施設となっており、広場を囲うようにして上下左右にうねうねと蛇行する回廊空間が魅力的な空間体験を生み出している。

屋島を訪れた際は、必ず見ておきたい建築物である。

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今回はこれで以上になります。

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