国立代々木競技場とは?

2021年の東京オリンピックでは、隈研吾設計の国立競技場が話題となった。
そのように、1964年の東京オリンピックの主役となった建物が国立代々木競技場である。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家丹下健三。
国家的で大規模なプロジェクトでありながらも、日本の技術力を世界に示した、芸術性の高い建築物がつくられている。
そんな、国立代々木競技場の特徴を今回紹介します!!
丹下健三とは?
- 1913 大阪府堺市に生まれる
- 1938 東京帝国大学工学部建築科卒業
- 1938 前川國男建築事務所入所
- 1941 東京帝国大学大学院入学
- 1946「丹下研究室」を作る
- 1951 CIAM参加
- 1987 プリツカー賞受賞
- 2005 3月22日死去(91歳)
丹下健三は、日本のモダニズム建築の基礎を作り上げた人物である。
さらに、「世界のタンゲ」とも呼ばれていたように、世界的にも活躍された建築家であった。
代表作としては、「広島平和記念資料館」や「フジテレビ本社ビル」などが挙げられ、大規模で国家的な建築を多く手がけたことでも知られている。
建築の特徴

国立代々木競技場の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 山手線沿いにある2つの競技場
- 芸術性の高さを作り出す「吊り構造」
- 2本の大きな柱から吊られた大屋根(第一体育館)
- 柱のない大空間(第一体育館)
- 螺旋状に広がる大屋根(第二体育館)
- 大きな円形競技場(第二体育館)
山手線沿いにある2つの競技場

国立代々木競技場は、北側に代々木公園、東側に山手線、北東には原宿駅という自然と都市施設が入り混じった地域に建つ。
そのため、公園や駅からの人の流れも考慮された建築となっている。
さらに、国立代々木競技場は、「第一体育館」と「第二体育館」の二つの大きな競技場によって構成されるため、両者の出入口の動線を繋げるなどの工夫もみられる。
芸術性の高さを作り出す「吊り構造」

コンセプト「選手と観客の一体感を作り出す」
国立代々木競技場は、このコンセプトを実現するために、視線の妨げとなる柱をなくすという計画が立てられた。
この柱をなくすために2つのスタジアムに採用された構造が、橋などで用いられる「吊り構造」である。
この吊り構造を用いることで国立代々木競技場では、曲線の美しい芸術的な外観が形成されている。
2本の大きな柱から吊られた大屋根(第一体育館)


第一体育館は、2本の大きな主柱を、2本のメインケーブルによってつなぎ、そこから屋根全体がつられている。
この橋と同じ構造によって吊られた屋根は、有機的な曲線となり、外観を魅力的なものとしている。
さらに、主柱とアンカーブロックの間の空間を、エントランスとして利用することで合理的な形態ともなっている。
柱のない大空間(第一体育館)


第一体育館の内部では、吊り構造によって柱のない大空間が実現している。
さらに、吊り構造によって屋根が有機的な曲線を描き、中央のライトからの光と合わさり、幻想的な空間をつくりだす。
用途としては、バレー・ハンドボールなどの競技場として利用されており、2021年の東京オリンピックでも、ハンドボール会場として利用された。
螺旋状に広がる大屋根(第二体育館)

第一体育館では、主柱は2本であったが第二体育館では柱は1本で、そこから円形スタンドの外側に立つ柱に向かって屋根が螺旋状に広がっている。
このように、第一体育館と第二体育館の構造の違いも魅力の一つである。
大きな円形競技場(第二体育館)


第二体育館は、最長部の直径が41mに及ぶ円形アリーナとなっている。
ここでは、バスケットボールを中心として、プロレスボクシング、バドミントンなどの競技会場として利用されている。
建築概要
- 所在地:東京都渋谷区神南2-1-1
- 竣工 :1964年9月
- 用途 :体育施設
- 構造 :RC造 SRC造
- 階数 :①地上7階、地下1階 ②地上1階、地下1階
- 高さ :①40.37m ②42.29m
- 施工 :清水建設 大林組
- 収容人数:①13,291人 ②3,202人
施設概要
- Tel :03-3468-1171
- アクセス:山手線原宿駅から徒歩5分
- URL :https://www.jpnsport.go.jp/yoyogi/Default.aspx
最後に・・・
以上が国立代々木競技場の特徴でした。
国立代々木競技場は、2021年に重要文化財に指定されました。今後さらに、国宝や世界遺産への指定を目指して、建築家隈研吾さんなどが尽力されている。
国立代々木競技場は、代々木公園の真下に位置しているので、機会があれば是非訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。