ヴァレーギャラリーとは?

ヴァレーギャラリーは、瀬戸内海に浮かぶアートの島「直島」に2022年に開館したギャラリーである。
設計を務めたのは長年、直島の地域活性化に尽力してきた建築家「安藤忠雄」。
コンセプト「建築の原点に立ち返る光」
このコンセプトを基に、若き日の安藤忠雄に絶大な影響を与えた「ローマ・パンテオン」を彷彿とさせる光の空間が直島に誕生した。
安藤忠雄とは?
- 1941 大阪市港区に生まれる
- 1969 安藤忠雄建築研究所設立
- 1976 日本建築学会賞を受賞
- 1989 ハーバード大学客員教授
- 1997 東京大学教授に就任
- 2012 国立競技場 審査委員長
建築に関わる者であれば、一度は耳にしたことがあるだろう建築家安藤忠雄。
代表作としては、「淡路夢舞台」「秋田県立美術館」「住吉の長屋」などが挙げられ、コンクリート打ち放しの建築が象徴的である。
安藤氏は大学には行かず独学で建築を学び、日本のみならず世界でも活躍されている特異な経歴の持ち主でもある。
建築の特徴

ヴァレーギャラリーの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 地中に埋め込まれたギャラリー
- 三角形の平面構成
- 自然を取り込む屋根の隙間
- 草間彌生による「ナルシスの庭」
- 池のほとりにたたずむ88体の仏
地中に埋め込まれたギャラリー

安藤忠雄が直島で行ってきた、地形や環境に溶け込むことを意図する「見えない建築」をテーマにした一連のプロジェクト。
このヴァレーギャラリーもそのプロジェクトの一環であるため、建築のヴォリュームが半分ほど地中に埋められている。
これにより周辺の景観の破壊を極力抑えつつ、豊かな空間が生み出されている。
三角形の平面構成


ヴァレーギャラリーを上から見ると、鋭角30°の角を削った二等辺三角形の平面形状をしている。
さらに、外周のコンクリートの壁の内側にもう一枚壁が存在し、入れ子構造の内部空間となっている。
この三角形の平面形状と入れ子構造によって、光が落ちる三角形の先端部への求心性が生まれている。
自然を取り込む屋根の隙間

外壁と内壁に挟まれた通路を歩いていくと、屋根の隙間から自然をふんだんに取り込む空間が姿を現す。
この規則性のないような屋根の形状は、「ずらし」「変形」「切断」といった操作によって決定されている。
また、これらの操作によって生じた隙間にはガラスは嵌められておらず、自然をダイレクトに内部に取り込む。
草間彌生による「ナルシスの庭」

ヴァレーギャラリーだけでなく、その前庭にまで広がる無数のミラーボール。
これは、芸術家・草間彌生による「ナルシスの庭」という作品である。
特に魅力的なのが池に浮かぶミラーボールであり、風が吹くとボール同士がぶつかり面白い音色を周囲に響かせる。
池のほとりにたたずむ88体の仏

ヴァレーギャラリーの庭には、無数のミラーボールの他に88体に及ぶ仏様が設置されている。
これは芸術家・小沢剛による作品で、直島近隣の島である「豊島」での産業廃棄物処理後に生まれたスラグによってつくられている。
建築概要
- 所在地:香川県直島町
- 竣工 :2020年7月
- 用途 :ギャラリー
- 構造 :RC造 S造
- 階数 :地上1階
- 設計 :安藤忠雄建築研究所
- 施工 :鹿島建設
- 構造 :アスコラル構造研究所
- 設備 :
- URL :https://benesse-artsite.jp/art/benessehouse-museum.html
最後に・・・
以上がヴァレーギャラリーの建築的特徴でした。
地中に埋め込まれ周辺環境に溶け込みつつ、内部にいても光や風といった自然を享受できる魅力的なギャラリーになっていたと思います。

是非一度、ヴァレーギャラリーを訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。