丹下健三とは?
- 1913年 大阪府堺市に生まれる
- 1938年 東京帝国大学卒業
- 1938年 前川國男建築事務所入所
- 1941年 東京帝国大学大学院入学
- 1946年 丹下研究室を作る
- 1987年 プリツカー賞受賞
- 2005年 3月22日死去(91歳)
丹下健三とは、最初に世界的に活躍された日本の建築家であり、日本の近代建築の基礎を作り上げたといえる人物である。
丹下健三氏の代表的な作品として、「国立代々木競技場」や「広島平和記念資料館」「東京都庁舎」などがあり、大規模で国家的な建築を多く手がけたことでも知られている。
【代表作】建築家丹下健三の建築作品10選
1.東京カテドラル聖マリア大聖堂
- 所在地:東京都文京区関口三丁目
- 竣工 :1964年12月
- 用途 :宗教施設
- 構造 :鉄筋コンクリート
- 階数 :地上1階(中2階・3階)地下1階





東京カテドラルとは、東京都文京区の集合住宅などが立ち並ぶ住宅街に突如として現れる、キリスト教の教会のことである。




東京カテドラルの一番の特徴は、上から見るとキリスト教の十字架型に建物が構成されていることである。
また、十字架を形成している特徴的なシェル構造は、ステンレス製であるため光が反射し、神々しい外観を作り出している。
一方で、内部空間は、コンクリート打ち放しによる曲線美が際立った構成となっており、教会建築にふさわしい荘厳の空間が作り出されている。




2.国立代々木競技場
- 所在地:東京都渋谷区神南
- 竣工 :1964年9月
- 用途 :体育施設
- 構造 :RC造 SRC造
- 階数 :①地上7階、地下1階








国立代々木競技場とは、別名代々木体育館として知られる、東京都新宿区に建つ競技場である。




2021年開催の東京オリンピックでメインスタジアムとなったのが、建築家隈研吾設計の「国立競技場」である。
一方、1964年開催の東京オリンピックでメインスタジアムとなり注目を集めたのが、「代々木体育館」である。
建築の特徴としては、橋などで用いられる吊り構造によって柱のない大空間を実現し、さらに屋根は美しい曲線によって空間に変化をもたらしている。
この構造形式によって、競技施設としての大きな空間を確保しつつ、曲線美で芸術的な建築に仕上げている点が魅力的である。




3.東京都庁舎
- 所在地:東京都新宿区西新宿
- 竣工 :1990年12月
- 用途 :行政庁舎
- 構造 :S造 RC造 SRC造
- 階数 :地上48階、地下3階




写真の東京都庁舎は、1980年代、丸の内に分散していた都庁舎を一カ所にまとめて、新たに新宿という街に超高層ビルとして建設された。
第一本庁舎は、高さ243mの2棟構成となっており、完成当時は日本一の高さを誇るビルとして知られていた。(2022年現在は日本第9位である)




東京都庁舎は、第一本庁舎・第二本庁舎・都議会議事堂の3棟で構成されている。
この3つの棟が一体となり東京という大都市の行政を支えつつ、その特徴的な外観から、ランドマークとしての役割も果たしている。




4.広島平和記念資料
- 所在地:広島県広島市中区中島町
- 竣工 :1995年
- 用途 :資料館
- 構造 :鉄筋コンクリート造
- 階数 :地上2階 一部中3階




広島平和記念資料館は、1945年8月6日に世界で初めて原子爆弾による被害を受けた広島に建つ、世界恒久平和の実現を目的とした施設である。
また、広島平和記念公園内に建つ資料館・国際会議場・記念碑などを総称して広島ピースセンターともいう。




広島ピースセンター内にある建物や慰霊碑は、原爆ドームへとつながる景観軸に沿って配置されている。
詳細としては、幅が100mに及ぶ平和大通りに直行し、原爆ドームを通る景観軸上に平和記念資料館と慰霊碑が配置されている。
この景観軸に沿った配置を最大限に生かすために、資料館にはピロティ空間を設け、奥に原爆ドームが望める構成にもなっている。




5.香川県庁舎(東館)
- 所在地:香川県高松市番町
- 竣工 :2000年
- 用途 :行政庁舎
- 構造 :鉄骨造
- 階数 :地上8階




香川県庁舎は丹下健三氏が初期に手がけた作品であり、1958年に竣工した東館、2000年に新たに竣工した本館によって構成される。
建築の特徴としては、日本の伝統とモダニズム建築を掛け合わせた構成となっており、日本ならではの新しいモダニズム様式を示したとされている。




また、香川県庁舎は2021年に重要文化財に指定されたました!!




6.FGCビル
- 所在地:東京都港区台場
- 竣工 :1996年6月
- 用途 :放送局、オフィスなど
- 構造 :S造 RC造 SRC造
- 階数 :地上25階、地下2階、塔屋1階




フジテレビ本社ビルは、東京都港区台場に位置する建造物であり、日本放送局の本社社屋としては最も大きいビルになっている。
コンセプトは、お台場のシンボルとなるような建築であり、格子状のメタリックな構造体に、大きな球体が組み込まれた構成は、お台場のシンボルとしてふさわしい外観を作り出している。




フジテレビ本社ビル最大の特徴である球体は、内部が一般にも開放された展示室になっている。
また、建物の大部分はアルミによって覆われているが、球体の部分だけはチタンが使用されている。
このように、球体部分だけ素材を変えることで、シンボル性がさらに強調されている。




7.山梨文化会館
- 所在地:山梨県甲府市北口
- 竣工 :1966年
- 用途 :オフィス
- 構造 :鉄筋コンクリート造
- 階数 :地上8階、地下2階




山梨文化会館は、山梨のテレビ局・新聞社・印刷社など、マスメディアの中核をなす企業を収容したオフィスビルとして1966年に竣工した建築物である。
建築のコンセプトとして「成長する都市や建築」を掲げ、1960年代の建築運動「メタボリズム」の代表作品として知られている。
実際にこの建物では円柱や梁を追加するだけでフロアを増築できるようになっており、過去に7回程度、増築や改築が行われている。




8.静岡新聞・静岡放送東京支社ビル
- 所在地:東京都中央区銀座
- 竣工 :1967年10月
- 用途 :新聞社、放送局
- 構造 :S造 RC造
- 階数 :地下1階 地上12階




静岡新聞・静岡放送東京支社ビルは、一つ前で紹介した山梨文化会館同様に、メタボリズムの概念をもとに建てられた建築物である。
見た目からわかるように、1本の大きな円筒が木の幹、それに付随する事務室が木の葉のように構成され、樹木のように成長していく様子が想像できるような外観となっている。




さらに、この建築計画では、将来像も想定されている。
それは、これと同じような建物が周りにいくつも建てられ、それぞれが横に成長し、空中で連結していくという想定である。
9.駐日クウェート大使館
- 所在地:東京都港区三田
- 竣工 :1970年
- 用途 :大使館
- 構造 :鉄筋コンクリート造
- 階数 :地上7階 地下2階 塔屋2階




この建物は、東京都港区三田にあるクウェート国の大使館である。




この建築は、ジェンガを積み重ねて何本か引き抜いたような外観が特徴的であり、構造的には、中央の2本のコア・シャフトによって全体が支えられている。
また、建物に開けられた隙間によって、内外が混在した空間がつくられており、そこから奥の空や、緑が漏れ出す様子が魅力的な景観を作り出している。
10.万国博覧会 お祭り広場大屋根
- 所在地:大阪府吹田市千里丘陵
- 竣工 :1970年
- 用途 :パビリオン
- 構造 :スペースフレーム フィルム膜構造
- 階数 :地上1階




最後に紹介するのは、1970年に開催した大阪万博のパビリオンとして建設された、「太陽の塔」を囲む大屋根である。
この作品は、幅約300m×100m、高さ30mに及ぶ大規模建築で、当時としては構造的にも画期的なものであった。
もともとの計画では、大屋根のみを建設する予定だった。
しかし、岡本太郎氏が高さ70mにも及ぶ「太陽の塔」を計画したことから、しぶしぶ大屋根に穴をあけ、太陽の陽を貫通させたそうだ。
この大屋根は、大阪万博のために建てられたパビリオン建築だったため、数年後に取り壊され、現存はしませんが、丹下健三さんの作品として無視すことはできない魅力のある建築である。
最後に・・・
以上が丹下健三さんの有名建築作品10選でした。
どの建物も大規模で、一度は見たことのあるようなものだったと思います。それだけ丹下健三さんが日本で注目されていたことがわかります。
他にも、丹下健三さんが手がけた作品は日本各地にあるため、丹下健三建築巡りをしたら楽しいかもしれません!!
ご覧いただきありがとうございました!
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