海の駅なおしまとは?

海の駅なおしまは、瀬戸内海に浮かぶ小さな島「直島」の宮ノ浦港に建つ、フェリーターミナル駅である。
設計を務めたのは、国内外で活躍する建築家ユニット「SANAA」。
コンセプト「島のエントランスとしての大屋根」
このコンセプトを基に、周辺環境や景観に配慮した水平に伸びる大屋根と、その大屋根の下にできる街と連続した空間が魅力的な海の駅がつくられている。
SANAAとは?
- 1995 SANAAを設立
- 1996 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2006 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2010 プリツカー賞受賞
SANAAは、建築家妹島和世と西沢立衛によって結成された建築家ユニットであり、権威のある賞「プリツカー賞」を2010年に受賞したことで世界的に注目を集めている。
代表作としては、「金沢21世紀美術館」「ルーブル・ランス」「ロレックスラーニングセンター」などが挙げられる。
ガラスやアルミパネル、パンチングメタルなどスタイリッシュな素材を多用し、周囲と溶け込むような建築を多く手がける。
建築の特徴




海の駅なおしまの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 敷地の大部分を覆う大屋根
- 軽やかな構造体
- 屋根下に広がる半屋外空間
- ガラスで覆われた内部空間
敷地の大部分を覆う大屋根




この海の駅が建つ約5400㎡の敷地の内、4000㎡近くは水平に伸びる大屋根(高さ5m、縦横70m×52m)によって覆われている。
設計当初は、直島のランドマークとなるようなシンボルタワーを建設する案などが挙がっていた。
しかし、目立ちすぎるタワー案は自然豊かな直島に対して暴力的であると考え、このような高さの抑えられた大屋根案に行き着いたという。
屋根下に広がる半屋外空間




敷地を覆う大屋根の下空間は、大部分が外部と連続した半屋外空間となっている。
この半屋外空間が、内部空間と外部空間の境界を曖昧にし、誰もが気軽に立ち入りやすい海の駅を作り出している。
さらに、この半屋外空間には車が通行したり待機したりするスペースもあるから面白い。
ガラスで覆われた内部空間




半屋外空間の中にガラスの箱が点在するかのように存在する内部空間。
全面をガラス張りにすることで内外の境界がなくなり、街に開かれた内部空間となっている。
このガラスの箱の中には待合室や発見所だけでなく、観光案内所やイベントスペースといった機能まで収められている。
軽やかな構造体




スチールプレートでできた大屋根は、直径85㎜のスチール柱(スパン約7m)によって支えられており、軽々しい構成となっている。
さらに、地震力を負担する耐力壁には鏡面となるような仕上げがなされており、直島の街並みや海の風景を映し出し、視線の抜けの妨げにならないような工夫がなされている。
建築概要
- 所在地:香川県香川郡直島町
- 竣工 :2006年9月
- 用途 :フェリーターミナル
- 構造 :S造 RC造
- 階数 :地上1階
- 設計 :妹島和世+西沢立衛/SANAA
- 施工 :鹿島建設
- 構造 :佐々木睦朗構造計画研究所
- 設備 :環境エンジニアリング
- URL :https://www.town.naoshima.lg.jp/smph/about_naoshima/shisetsu/seastation.html
最後に・・・
以上が海の駅なおしまの建築的特徴でした。
周辺環境や街並みに配慮するため、高さを抑え水平に伸びた大屋根が、直島のエントランスのような役割を果たす魅力的な建築になっていたと思います。
是非一度、直島を訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。
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