【建築紹介119】やしまーる 高松市屋島山上交流拠点施設:周防貴之

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やしまーるの概要

  • 設計:SUO+Style-A設計共同企業体
  • 住所:香川県高松市屋島東町
  • 竣工:2022年
  • 用途:交流施設
  • URL:公式ページ

やしまーるとは、香川県高松市・屋島の山上に建つ展望施設のことである。

正式名称は「高松市屋島山上交流拠点施設」で、やしまーるという愛称は公募によって決定した。

設計を務めたのは、SANAAや妹島和世設計事務所での勤務経験のある若手建築家「周防 貴之」。

コロナの影響もあり衰退しつつあった高松の観光地「屋島」に、新たなランドマークとしてやしまーるが建設された。

設計者:周防貴之とは?

  • 2004 慶應義塾大学卒業
  • 2006 同大学大学院修了
  • 2006 妹島和世建築設計事務所・SANAA勤務
  • 2015 SUO設立

周防貴之すおうたかしは、慶應義塾大学で建築を学んだあと妹島和世や西沢立衛の下で働き、のちに独立を果たした建築家である。

2015年に独立して最初に挑んだ「やしまーる」のプロポーザルでは、藤本壮介や石上純也といった名だたる建築家を抑え最優秀者に選ばれた。

近年注目を集めている、若手建築家である。

やしまーるの建築的特徴

衰退の一途をたどっていた屋島

屋根のような形に見えることから、その名がつけられた瀬戸内海に面する高松市の島「屋島」。

この島は、自然の豊かさや史跡・天然記念物などが有名で、毎年多くの観光客が訪れる高松市の人気観光スポットであったが、コロナの影響や施設の老朽化などが相まって、年々観光客が減少し島自体が衰退しつつあった。

そんな状況を打破するべく、屋島の山上に建てられたのがこの「やしまーる」である。

「広場」の合間を縫うように建つ建物

模型写真

やしまーるは元々、複雑な形状・起伏を持った敷地に沿うように、大小様々な広場を配置する計画から始まった。

その後、それらの広場の合間を縫うように通路状の建物を建てる構成が考えられ、結果的に全長200mにも及ぶ有機的な建築物が完成した。

上下に起伏を持つ回廊

約200mにもおよぶ回廊空間は、上下に様々な起伏を作りながらぐるりと一周繋がっている。

この上下の起伏によって、瀬戸内海の絶景を高台から眺められる場所や、回廊の下の静かな落ち着いた場所など、敷地内に多様な空間がつくり出されている。

また、内部空間は単調な平面的な移動ではなく、上り下りのある立体的な移動となるため、丘を散歩するような楽しさが味わえる。

内と外の交わり

また、やしまーるは内部空間の通路が立体的に渡されているだけの建物に見えるかもしれないが、実は一部、内部と外部の通路が並行して配置されている。

この構成によって、内外の境界が曖昧になり周辺の自然や景色を常に楽しめる空間になっている。

施設前方に広がる瀬戸内海の絶景

やしまーるから撮った風景

そして、やしまーるの魅力は何と言っても前面に広がる瀬戸内海・四国を一望できるこの絶景である。

やしまーるの前面は「獅子の霊巌展望台」になっており、ここの夕景は「日本の夕陽100選」にも選ばれている。

隣接する「れいがん茶屋」

やしまーるに隣接するように建つ「れいがん茶屋」。

この茶屋はやしまーるが建つ以前から存在してはいたが、やしまーるの新設に合わせて周防貴之氏がリノベーションをし、リニューアルオープンされたものとなっている。

床に設けられた起伏が特徴的で、やしまーると呼応するように人々にワクワク感を与えている。

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今回はこれで以上になります。

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