愛知県の有名建築物17選【隈研吾・妹島和世・黒川紀章など】

白山宮 足王社

みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」です。

今回は、愛知県の有名建築物17選をご紹介します。

愛知県には、名古屋市や豊田市を中心に、隈研吾・妹島和世・黒川紀章といった大物建築家が設計した建築物が数多く存在しています。

本記事では、それらの魅力的な施設の特徴などをわかりやすく解説しているので、愛知県で建築巡りをする際には、是非参考にしてみてください。

では早速本題に入ります。

目次

愛知県の有名建築物17選【隈研吾・妹島和世・黒川紀章など】

1.幻庵【石山修武】

photo by Kenta Mabuchi/CC BY-SA 2.0

幻庵は、夫婦+子供3人の家族の別荘兼茶室として1975年に建設された施設だ。

設計は、岡山出身の建築家「石山修武」が担当。

下水管などインフラに使われる「コルゲートパイプ」を使用したシリンダー型の形態が特徴的で、森の中に放置された工業製品、あるいは秘密基地にも見える、独特な外観を持つ。

建物正面のガラスには「ステンドグラス」が使用されており、工業製品でもない建築でもない「石山修武建築」というジャンルが確立されているように感じる。

実はこの建築、石山修武の処女作として知られており、このインパクトのある作品は建築界に衝撃を与えた。

2.愛知県立芸術大学・講義棟【吉村順三】

photo by Umako/CC0

愛知県立芸術大学講義棟は、1966年に創立した「愛知県立芸術大学」のキャンパス中央に建つ講義棟である。

設計は、昭和期を代表する建築家「吉村順三」が担当。

本施設は、全長が約100mにも及ぶ伸びやかな構成が象徴的な外観を形成しており、1階がピロティ、2階が吊り廊下、3階が講義室という平面配置となっている。

建築に詳しい方であれば、この建築を見ると、日本建築界の巨匠・丹下健三が設計した「広島平和記念資料館」を思い出すのではないだろうか。

横に長い構成・上部のルーバー・ピロティ空間などなど、類似した構成が多々見られる。(こうゆうのが流行った時代なのだろう)

3.名古屋造形大学【山本理顕】

名古屋造形大学は、愛知県名古屋市に建つ美術系大学「名古屋造形大学」の学校施設である。

本施設の設計は、横須賀美術館の設計者として知られる建築家「山本理顕」が担当。

山本理顕氏は「公立はこだて未来大学」や「埼玉県立大学」など様々な学校建築を手掛けてきたが、この施設では設計だけではなく、学長として教育プログラムの再編などにも携わっている。

建築としては、「上部に乗っかる大空間」と「その下に広がる半屋外空間」が魅力的な学習空間を形成。

ピロティのような半屋外空間は、一般にも開放され、コンセプトでもある「開かれた大学」を象徴するような空間となっている。

4.愛知県陶磁美術館【谷口吉郎】

photo by KAMUI/CC 表示-継承 3.0

愛知県陶磁美術館は、愛知県瀬戸市に建つ、陶磁器を専門に扱う県立美術館である。

設計は、昭和期を代表する建築家「谷口吉郎」が担当。

建築としては、重層する日本伝統の「切妻屋根」が象徴的な外観を形成しているが、その下の外壁などからは「和」というよりも「洋」の雰囲気が感じられる。

この和と洋を組み合わせたかのような構成は、谷口吉郎の代表作「東京国立博物館・東洋館」でも採用された、谷口吉郎お得意のスタイルである。

5.豊田市美術館【谷口吉生】

豊田市美術館
photo by m-louis .®/CC BY-SA 2.0

豊田市美術館は、愛知県豊田市の緑に囲われた小高い丘の上に建つ公立美術館である。

本施設は、一つ前に登場した建築家・谷口吉郎の息子である「谷口吉生」が設計を担当している。

豊田市美術館は、建物の水平・垂直ラインを際立たせた非常にシンプルな構成となっているが、これは谷口吉生が一貫するスタイルを明確に表現しており、彼の最高傑作として業界内外で高い評価を得ている。

さらに、この建築物は外観だけでなく、アプローチからエントランス、そして展示空間に至るまでの「空間のシークエンス」も魅力の一つとなっており、谷口吉生の空間デザインのうまさを物語った美術館となっている。

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6.豊田スタジアム【黒川紀章】

  • 設計:黒川紀章
  • 竣工:2001年
  • 用途:球技専用スタジアム
  • 住所:愛知県豊田市千石町
  • URL:公式ページ

豊田スタジアムは、2002年に開催されたFIFAワールドカップの試合会場とすることを念頭に、2001年愛知県豊田市に建設された球技専用スタジアムである。

本施設は、日本建築界の大巨匠「黒川紀章」が設計を担当。

建築の最大の特徴はなんといっても、最高高さ約92mの4本のマストから吊り下げられた有機的な大屋根である。

橋などに用いられる「吊り構造」を採用している時点でものすごい建築物であることは間違いのない事実なのだが、それに加え屋根の中央部分は開閉式になっており、雨天でも試合ができる構造となっている。

残念ながら、この開閉式の屋根は現在、コストなどの問題から開きっぱなしにする「固定式」へと変更されてしまった・・・

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7.名古屋市美術館【黒川紀章】

名古屋市美術館
photo by Tomio344456/CC 表示-継承 4.0

名古屋市美術館は、名古屋市にゆかりのある作品の収蔵・展示などを目的として、1987年・愛知県名古屋市白川公園内に建設された市立美術館である。

本美術館の設計は、日本建築界の巨匠「黒川紀章」が担当。

緑豊かな白川公園内に建つ美術館という事で、本施設は地下空間に領域を広げることによって、高さを周辺の樹木よりも低く抑え、周辺環境と調和した建築物を作り出している。

また、本施設のアプローチ空間には、コンクリートの柱梁でできた「格子状の構造体」が象徴的な外観を作り出しているが、この格子が外部空間と内部空間を緩やかに繋ぐ「中間領域」の役割を担っており、内部に向けて徐々に気分を高めていける空間構成となっている。

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8.逢妻交流館【妹島和世】

逢妻交流館
photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0

逢妻交流館は、愛知県豊田市田町の生涯学習センターとして2010年に建設された施設である。

本施設は、国内外で大活躍している女性建築家「妹島和世」が設計を担当。

全面が有機的な「曲面ガラス」で覆われたインパクトのある構成が特徴的な建築物となっており、この構成によって、内外の活動や視線が相互に混ざり合う賑やかな空間を作り出している。

また、曲面壁によって覆われた内部空間では、その外壁の形態と呼応するように、部屋割りも曲線によって決定されており、基本的に「角」というものが存在しない流動的な空間が形成されている。

9.丸栄本館【村野藤吾】※現存せず

photo by Wiiii/CC 表示-継承 3.0

丸栄本館は、株式会社丸栄が運営する百貨店建築として、1953年に建設された商業施設である。

本施設は、商業建築を数多く手がけることで知られる建築家「村野藤吾」が設計を担当。

この建築物は、百貨店三星の建物に増築する形で1953建設され、その後も複数回の増築を繰り返して成長していったという歴史を持つ。

さらに、百貨店建築としては全国で初めて「日本建築学会賞作品賞」を1954年に受賞しているという点においても、村野藤吾の代表作といえよう。

建築としては、一つの建物でも「モザイクタイル」や「縦格子デザイン」など、多様なファサードを持った外観が特徴的で、増改築を繰り返してきた歴史がそのまま外壁に現れている。

2018年に解体されてしまった丸栄本館だが、その際には日本建築学会賞が取り壊し中止を求める要請書を出すなど、異例の事態となった。

10.龍海院本堂【山口文象】

龍海院は、愛知県岡崎市明大寺町にある曹洞宗の寺院である。

本施設は、日本モダニズム建築の先駆者として知られる建築家「山口文象」が設計を担当。

建築としては「ピラミッド型の大屋根」が「鉄筋コンクリートの柱」によって宙に浮かされたような構成が特徴的で、この屋根に覆われた内部空間は、大きな一つの大空間となっている。

竣工した建築は、わずかに膨らみを持ったピラミッド型の屋根になっているが、設計初期段階では完全な直線の大屋根を山口文象は設計しており、さらに地面と大屋根の隙間ももっと狭かったという。

しかし、住職が「これではもうエジプトのピラミッドみたいにならないか」と心配したそうで、わずかに膨らみを持った大屋根が採用されることとなったそう。

11.名古屋大学豊田講堂【槇文彦】

名古屋大学豊田講堂
photo by Wiiii/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:槇文彦
  • 竣工:1960年
  • 用途:講堂・会議室
  • 住所:愛知県名古屋市千種区不老町
  • URL:公式ページ

名古屋大学豊田講堂は、1960年に名古屋大学東山キャンパスに建設された、講堂・会議室等の機能が入る大学施設である。

本施設は、日本を代表する建築家「槇文彦」が設計を担当。

建築は、地上3階・地下1階の鉄筋コンクリート造となっており、コンクリート打ち放しの仕上げやピロティ空間など、モダニズム建築の要素が随所にみられ、戦後モダニズムの代表作としても名高い。

その証拠と言っては何だが、名古屋大学豊田講堂は2011年「モダニズム建築の一つの到達点を示す作品」として、国の登録有形文化財にも指定されている。

12.プロソミュージアム・リサーチセンター【隈研吾】

プロソミュージアム・リサーチセンター
photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:隈研吾
  • 竣工:2010年
  • 用途:博物館 研究所
  • 住所:愛知県春日井市鳥居松町
  • URL:公式ページ

プロソミュージアム・リサーチセンターは、歯に関する研究・展示などを行う場として、2010年愛知県春日井市に建設された関連した博物館・研究所施設である。

本施設は、和風建築を数多く手がけることで知られる建築家「隈研吾」が設計を担当。

建築としては、50㎝単位のグリッドで構成された「格子状の木組み」がシンボリックな外観を形成しているが、この木組み、実は単なる表層的なものではなく、しっかりと垂直荷重を支える構造体として機能している。(主要構造はRC造)

さらに、この木組みは内部空間にまで侵食しており、常に木材のぬくもりを感じる隈研吾らしい作品となっている。

13.岡崎市美術博物館【栗生明】

  • 設計:栗生明
  • 竣工:1996年
  • 用途:美術・博物館
  • 住所:愛知県岡崎市高隆寺町
  • URL:公式ページ

岡崎市美術博物館は、歴史・民俗・考古・美術など、あらゆる分野の資料の「収蔵」を主目的として、愛知県岡崎市に建設された美術・博物館である。

本施設は、槇文彦アトリエ出身の建築家「栗生明」が設計を担当。

敷地は、岡崎中央総合公園内の大きな池に面した傾斜地に設定されており、周辺の豊かな環境や景観を乱さぬようにと、本施設はその傾斜地に埋め込まれるかのように建てられている。

また、本施設の外観を象徴づけている「ガラスの棟」は、エントランスホールが入るアトリウム空間となっており、内部にいても周囲の豊かな自然を存分に享受できる魅力的な空間が形成されている。

14.日進市立図書館【岡田新一】

日進市立図書館
photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0

日進市立図書館は、愛知県日進市蟹甲町に建つ公立図書館である。

本施設の設計は「警視庁本部庁舎」や「最高裁判所」など、国の重要施設を数多く手がけたことで知られる建築家「岡田新一」が務めている。

本施設は、正方形平面の角にあたる部分4カ所に「太陽」「宵の明星」「明けの明星」「月」とそれぞれ名付けられたシンボリックな塔が設置されており、異様な外観を形成している。

この4つの塔は、四方からやってくる市民を迎え入れるためのシンボルとして設置されており、特に印象的な黄色い外壁の塔(太陽の塔)は、本施設の玄関口として機能している。

15.窯のある広場・資料館【南の島工房一級建築士事務所】

窯のある広場・資料館は、「窯業」で有名な愛知県常滑市にある文化施設「INAXライブミュージアム」の一施設として2019年に竣工した博物館建築物である。

INAXライブミュージアムは、土とやきものの歴史や文化に関する展示などを行う、全6棟の博物館や工房によって構成されており、その中でも「窯のある広場・資料館」は、大正時代に建設された煙突や窯などを保存・公開する施設として本ミュージアムの中核を担っている。

本施設は、自然素材を積極的に取り入れた建築物を数多く手がけることで知られる「南の島工房一級建築士事務所」が設計を担当。

1921~71年に稼働していた「土管製造工場」と「煙突」を資料館に改修している。

16.白山宮・足王社【AUAU建築研究所】

白山宮 足王社
photo by Tomio344456/CC 表示-継承 4.0

愛知県日進市本郷町にある神社「白山宮」の拝殿のすぐそばに建つ、「足の安全を祈願するための社」として建設された神社建築物である。

本施設は、愛知県名古屋市を拠点として活動する設計事務所「AUAU建築研究所」が設計を担当。

建築は、数本の鉄骨柱によって支えられた「有機的な環状屋根」が象徴的な外観を作り出しており、屋根裏にはそれぞれ角度が異なるベイヒバ材が9㎝ピッチで設置されている。

そして、この建築を上から見ると、実は「足袋」のような平面形状をしており、「足の安全を祈願するための社」という機能に対応するような建築形態が採用されていることがわかる。

17.半田赤レンガ建物【安井建築設計事務所】

半田赤レンガ建物は、丸三麦酒のビール工場として1898年に建設された煉瓦造りの建築物である。

現在は、その歴史のある建物を保存しつつ、展示室やクラブハウス、カフェといった機能を内包する複合施設として活用されている。

本施設改修前の設計は、横浜赤レンガ倉庫や日本橋など設計者として知られる建築家「妻木頼黄」が担当し、改修の設計は大手組織設計事務所「安井建築設計事務所」が担当している。

本建築物は、完全な「煉瓦造」の部分と「ハーフティンバー造(木造軸組+煉瓦の壁)」の部分の2カ所から構成されており、特にハーフティンバー造の部分は木の架構と煉瓦の壁が融合して、魅力手な内部空間と外観を作り出している。

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今回はこれで以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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