豊田スタジアムとは?

豊田スタジアムは、愛知県豊田市にある球技専用スタジアムである。
球技専用スタジアムとしては、埼玉スタジアムにつぎ日本で2番目の規模を誇る。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家黒川紀章。
同じく黒川氏設計の「豊田大橋」に隣接する豊田スタジアムは、吊り構造と可動式屋根という特徴的な構成によって成り立っている。
黒川紀章とは?
- 1934年 愛知県に生まれる
- 1957年 京都大学工学部建築学科卒業
- 1957年 東京大学大学院建築学専攻修士課程進学
- 在学中 黒川紀章建築都市設計事務所を設立
- 1960年 世界デザイン会議に参加
- 2007年 東京都知事選挙、参院選に立候補
- 2007年 参院選2か月後に逝去
黒川紀章は、中銀カプセルタワービルや広島市現代美術館などの有名作品を手掛けた建築家である。
学生時代は丹下健三の研究室で学び、のちに建築的理論「メタボリズム」を提唱する。
さらに、黒川紀章は建築家だけではなく文筆家や政治活動家、さらにはバラエティー番組などにも出演するなど、活動の幅が広い。
建築の特徴
吊り屋根構造+可動式屋根

豊田スタジアムは、最高高さ約92mの4本のマストから吊り上げられた「固定屋根」と、その間を通る「可動式屋根」によって構成される。
可動式屋根は「エアマット(空気膜)+折り畳み方式」という、世界的にも珍しい構成で成り立つ。
エアマットの欠点として耐用年数の短さが挙げられるが、屋根開状態では金属屋根でエアマットが覆われ、紫外線から保護できるようになっている。
豊田大橋から続くスタジアム

豊田スタジアムまで向かう経路には豊田大橋がある。
この橋は豊田スタジアム同様に、建築家黒川紀章氏が設計した建造物である。
豊田大橋は、市の新しい歩道を中心とする道路の一部であるため、車道よりも歩道の幅のほうが広くなっている。
この豊田大橋と豊田スタジアムは連続していることを生かし、どちらも時報に合わせて碧色に光る。
有機的曲線の屋根

豊田スタジアムの屋根は有機的な形状をしている。
この構成は、、、
- フィールドの芝生に自然光を当てるため
- メインスタジアムの客席を屋根開放時にも100%覆うため
この両者をどちらも満たすような形状を追求した結果、このような有機的な屋根になったそう。
観客席が近いフィールド

豊田スタジアムは、球技専用のスタジアムであるため陸上トラックがない。
その分、客席とフィールドの距離が近く、世界でも有数の臨場感があるスタジアムとなっている。
このスタジアムは、サッカーチーム「名古屋グランパス」のホームスタジアムとしても使用されている。
建築概要
- 所在地:愛知県豊田市千石町
- 竣工 :2001年6月
- 用途 :観覧場
- 構造 :SRC造 S造
- 階数 :地下2階 地上4階
- 高さ :92.7m
- 収容人数:45.000人
- 設計 :黒川紀章建築都市設計事務所
- 構造 :Ove Arup & Partners Japan Limited
- 設備 :建築設備設計研究所
- 施工 :大成、清水など
最後に・・・
以上が豊田スタジアムの特徴でした。
吊り構造の「固定屋根」と「可動式屋根」が作り出す有機的屋根が魅力的な建築になっていたと思います。
ご覧いただきありがとうございました。