横須賀美術館とは?

横須賀美術館は、神奈川県横須賀市の「県立観音崎公園」内に建つ美術館である。
設計を務めたのは、日本の建築家山本理顕。山本氏としては初の美術館作品である。
敷地は、三方を山に囲われ北側には東京湾が広がっており、自然に恵まれた周辺環境と一体となるような美術館が計画された。

そんな、横須賀美術館の特徴を今回ご紹介します!!
山本理顕とは?
- 1945 中国北京に生まれる
- 1967 日本大学理工学部建築学科卒業
- 1971 東京藝術大学大学院修了
- 1971 原広司研究室所属
- 2002 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2011 日本大学大学院特任教授
山本理顕は、日本や中国、韓国などを中心に活躍される建築家。
代表作としては、「埼玉県立大学」「公立はこだて未来大学」などが挙げられる。
建築の特徴としては、ガラスで覆われた箱型のスタイリッシュな建築物が多い一方、個人住宅もこれまでに多く手がけている。
建築の特徴

横須賀美術館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 豊かな周辺環境と一体となる美術館
- 美術館周りに存在する三つの広場
- 滞在型の施設
- 何重もの入れ子状プラン
- ガラスと鉄板のダブルスキン
- 鉄板にあけられた穴
豊かな周辺環境と調和する美術館

横須賀美術館の敷地は、山と海に囲われた豊かな環境にあったため、建築も環境と調和するような工夫がなされている。
その一つとして、建物の約半分を地下に埋め込むことで高さを抑え、景観を破壊しないような構成をとっている。
さらに、海側、山側、屋上にそれぞれ広場を設けることで、周辺環境と一体となった美術館を作り出している。
美術館周りに存在する三つの広場
横須賀美術館には、海側に設けられた「海の広場」、屋上に設けられた「屋上広場」、県立観音崎公園に続くように山側に設けられた「山の広場」が存在する。
海の広場

海の広場は、北側に広がる東京湾と横須賀美術館の間に広がる芝生の広場である。
ここでは、美術館内にあるワークショップ室と連動した活用や、屋外イベントなども行われている。
屋上広場

屋上広場は、海側からも山側からもアクセスできる広場である。
美術館の敷地は、山側が傾斜して高くなっているため、屋上広場は山側に広がる「山の広場」と連続した空間となっている。
山の広場

山の広場は、屋上広場から連続する広場であり、県立観音崎公園とも連続している。
ここでも、自然と一体となった空間で、屋外イベントなどが行われている。
滞在型の施設

横須賀美術館は、駅などのから離れた場所にあるため、短時間で回る美術館ではなく、長時間滞在できるような美術館を目指して設計された。
そのため、展示室やギャラリーはもちろんのこと、上の写真のように図書館やレストラン、ワークショップ室など様々な用途が混在している。
何重もの入れ子状プラン
横須賀美術館の内部構成は、四角い箱の中に一回り小さい箱が入った「入れ子状」となっている。
外周部には、レストランやワークショップ室など外に開くべき空間が収まり、内側には展示室など、採光などを抑えた空間が収まっている。
ガラスと鉄板のダブルスキン

横須賀美術館の入れ子状は、外側の壁はガラス、内側の壁は鉄板になっている。
外周をガラス張りにした理由は、、、
- 内部に光を取り入れるため
- 海水の塩害による経年劣化を防ぐため
などが挙げられる。
鉄板を用いた理由は、天井と壁のつなぎ目を連続させることで、角がない抽象的な空間をつくりたかったためである。
さらに、鉄板には円形の穴がたくさんあけられている。
鉄板にあけられた穴

鉄板に無数にあけられた円形の穴からは、昼間は外から光を取り入れ、夜間は内部の光が外にもれだす。
さらに、この穴を内側からのぞくと、、、、
- 海の見える穴
- 森の緑が見える穴
- レストランの見える穴
など、外の様々な景色を切り取り、内部と外部の間に多様な関係性を作り出している。
建築概要
- 所在地:神奈川県横須賀市鴨居
- 竣工 :2006年7月
- 用途 :美術館
- 構造 :RC造 S造
- 高さ :7.940m
- 階数 :地下2階 地上2階 塔屋1階
- 設計 :山本理顕設計工場
- 構造 :構造計画プラスワン
- 設備 :総合設備計画
- 施工 :鹿島建設
施設概要
- Tel :046-845-1211
- 休館日 :毎月第1月曜日 年末年始
- 営業時間:10時~18時
- URL :横須賀美術館 (yokosuka-moa.jp)
- 料金 :
一般 | 380円(税込) |
---|---|
高校生・大学生・65歳以上の方 | 280円(税込) |
中学生以下 | 無料 |
最後に・・・
以上が横須賀美術館の特徴でした。
周辺の豊かな環境と調和し外観と、内部の入れ子状の空間が特徴的な建築だったと思います。

横須賀を訪れる際は是非、横須賀美術館に立ち寄ってみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。