皆さんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、千葉県出身の建築家「栗生明」の建築作品7選をご紹介したいと思います。
早稲田大学を卒業後、槇文彦を師事して建築を学んだ人物です。
是非最後までご覧ください。
栗生明(くりゅうあきら)とは?
栗生明の経歴
- 1947年 千葉県に生まれる
- 1971年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
- 1973年 同大学大学院修士課程修了
- 1973年 槇総合計画事務所入所
- 1979年 都市建築計画事務所Kアトリエ設立
- 1979年 東京大学建築学科助手
- 1987年 栗生総合計画事務所に改称
- 1992年 千葉大学工学部建築学科助教
- 1996年 同大学教授
- 2007年 同大学大学院教授
- 2013年 同大学名誉教授
栗生明(くりゅうあきら)は、日本建築学会賞作品賞・日本芸術院賞・村野藤吾賞など、数多くの建築賞を受賞している早稲田大学出身の建築家である。
早稲田大学の大学院を卒業後、槇文彦の事務所で6年ほど建築を学び、1979年からは自身の事務所を設立し設計活動を行っている。
代表作には、1996年に日本建築学会賞作品賞を受賞した「植村直己冒険館」や、日本芸術院賞を受賞した「平等院鳳翔館」などが挙げら、博物館や美術館などの大規模プロジェクトも数多く手がけている。
さらに、千葉大学でも長年教鞭をとっていたり、千葉市優秀建築賞の作品をまとめた「現代建築ガイドブック・千葉市」の編集を担当するなど、出身地である千葉県における建築の発展にも努めてきた。
栗生明の建築作品7選
1.植村直己冒険館
- 設計:栗生明
- 住所:兵庫県豊岡市日高町伊府785
- 竣工:1994年1月
- 用途:記念館
- URL:公式ページ
植村直己冒険館は、1970年に日本人として初めてエベレストに登頂したことでも知られる、世界的冒険家・植村直己の顕彰を目的として、1994年に建設された記念館である。
上の写真に写っている細長い建物は、雪山の「クレパス」や「氷壁」をイメージしたというスロープ状のアプローチ空間である。
コンクリートの壁で挟まれ、天井にはトップライトが設けられたこの閉鎖的なアプローチ空間を通って展示室に至ることで、植村直己が何度も体験したであろう冒険のわくわく感・はらはら感を間接的に味わうことができる。
さらに、2021年には「どんぐりbase」という、大型ネット遊具やクライミングウォールを備えた建物が新たに建設され、大人から子供まで楽しめる施設に生まれ変わっている。
2.コアやまくに
- 設計:栗生明
- 住所:大分県中津市山国町
- 竣工:1996年
- 用途:町役場・展示場・図書館など
- URL:公式ページ
コアやまくには、シアター・図書館・町役場などの複数の機能を内包した、大分県中津市に建つ複合文化施設である。
建築全体は、施設中央にあるガラス張りのアトリウム空間「タウンホール」を囲うように様々な機能が配置された構成となっており、まるでどこかの街中のような密度の高い空間が作り出されている。
さらに、そのタウンホールの前面には、冬になるとスケートリンクとしても活用される大きな池が設置されている。
また、その池の中央には、高さ約50mのシンボルタワーも建てられており、周囲の緑豊かな街並みを一望できる魅力的な展望スポットにもなっている。
3.岡崎市美術博物館
- 設計:栗生明
- 住所:愛知県岡崎市高隆寺町
- 竣工:1996年
- 用途:美術・博物館
- URL:公式ページ
岡崎市美術博物館は、歴史・民俗・考古・美術など、あらゆる分野の資料を収蔵すること目的に、愛知県岡崎市に建設された美術博物館建築である。
敷地は、岡崎中央総合公園内の大きな池に面した傾斜地に設定されており、周辺の豊かな環境や景観を乱さぬように、本施設はその傾斜地に埋め込まれるようにして建てられている。
さらに、その傾斜沿いには、大階段やカスケード(人工滝)、スロープなどが設置されており、ダイナミックな建築空間を生み出している。
また、本施設の外観を象徴づけている「ガラスの棟」は、エントランスホールが入るアトリウム空間となっており、内部にいても周囲の豊かな自然を享受できる魅力的な空間が形成されている。
4.平等院鳳翔館
- 設計:栗生明
- 住所:京都府宇治市宇治蓮華
- 竣工:2000年
- 用途:博物館
- URL:公式ページ
平等院鳳翔館は、京都が誇る世界遺産「平等院」の敷地内に建設された、国宝や重要文化財等を収蔵・展示するための総合博物館である。
建物は、周囲に広がる史跡名勝庭園や鳳凰堂との調和を目指し、建築ヴォリュームの大半を丘の中に埋め込み、低層化を図っている。
一方で、建物自体のデザインは、平等院らしからぬモダンなテイストで仕上げられている。
和風様式を取り入れるなど、直接的な表現で平等院との調和を図るのは簡単だ。
しかし、栗生明はあえて、平等院特有の要素を「低い軒下の縁側」や「鳳凰堂を参照した3層の屋根」といった風に抽象化し、その上でそれらの要素を一から建築に落とし込むという操作を行っている。
これによって、ただ歴史や文化を継承するだけではなく、現代と過去をまたにかけるような壮大な建築作品を作り上げているのである。
5.国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館
- 設計:栗生明
- 住所:長崎県長崎市平野町
- 竣工:2002年
- 用途:祈念館
- URL:公式ページ
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館は、1945年に長崎市に投下された原子爆弾で亡くなられた方々への、追悼と平和祈念を行うための場として、長崎市平野町に建設された祈念館である。
建築は、大半のボリュームを地下に埋め込むことによって、周囲の自然環境に配慮しつつ、誰にも邪魔されることのない静かな祈りの空間を地下に作り出している。
一方で、地上部分には、高い生け垣によって周囲から視線を遮られた円形水盤が展開されており、その水盤の端には地下へと通じる階段が設置されている。
つまり、水盤の中に入り込むようにして、祈りの空間へアプローチするというわけである。
この独特な空間構成は、淡路島にある安藤忠雄の「本福寺水御堂」にも共通点がみられる。
6.かんなみ仏の里美術館
- 設計:栗生明
- 住所:静岡県田方郡函南町桑原
- 竣工:2011年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
かんなみ仏の里美術館は、平安時代の「薬師如来像」や、鎌倉時代の「阿弥陀三尊像」など、24体の仏像を保存・継承するための施設として、静岡県函南町に建設された美術館である。
栗生明は、本施設が仏様を祭る建物であることから、通常の美術館建築に見られる箱型の建築物ではなく、神仏を祭ったり人々が集まる場所である「堂」をイメージして設計を行っている。
具体的には「堂」というイメージを想起しやすい「方形屋根」を採用することによって、仏様を祭る施設にふさわしい落ち着きのある外観を作り出している。
7.式年遷宮記念 せんぐう館
- 設計:栗生明
- 住所:三重県伊勢市豊川町
- 竣工:2011年
- 用途:資料館・休憩所・奉納舞台
- URL:公式ページ
式年遷宮記念 せんぐう館は、伊勢神宮で20年に1度行われる式年遷宮(定期的に行われる遷宮)に関する資料などを展示するための施設として、2011年に建設された資料館である。
建築は、伊勢神宮外宮にある勾玉池に接する形で建てられており、池に向かって伸びるような大屋根によって象徴的な外観が形成されている。
ちなみに、この大屋根の勾配は、社殿に倣った矩勾配(45度)に設定されている。
また、上の写真には写っていないが、せんぐう館の西側には両ガラス面を開放できる「休憩所」が設置されており、豊かな自然を目前に優雅なひと時を過ごすことができる。
栗生明の著書
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。