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豊田市美術館【谷口吉生】

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豊田市美術館とは?

豊田市美術館は、愛知県豊田市の緑に囲われた小高い丘の上にある美術館である。

建物の設計を務めたのは建築家谷口吉生たにぐちよしお、前面にある庭園の設計はアメリカの、ランドスケープアーキテクト、ピーター・ウォーカーである。

豊田市美術館は、建物の水平・垂直ラインが際立ったシンプルな構成が特徴的であり、その外観が前面にある水盤に移り込む様子は、何とも言えない美しさとなっている。

たけひこ
たけひこ

谷口吉生さんの最高傑作とも言われる豊田市美術館。その特徴を今回ご紹介します!!

谷口吉生とは?

  • 1960 慶應義塾大学卒業
  • 1964 ハーバード大学大学院修了
  • 1965 丹下健三研究室所属
  • 1983 谷口建築設計研究所所長
  • 2021 文化功労者

谷口吉生たにぐちよしおの代表作としては、「ニューヨーク近代美術館MoMA」「葛西臨海水族園」「法隆寺宝物館」などが挙げられる。

谷口吉生氏の作品には、水平・垂直ラインが美しくシンプルな構成のものが多い

言い換えると、モダニズム建築をさらに洗練したようなスタイルの作品を多く手掛ける。

このシンプルなスタイルが影響してか、谷口氏はあまりコンペに参加しないことでも有名である

しかし、珍しくコンペに参加して勝ち取った「ニューヨーク近代美術館MoMA」でも、その洗練されたスタイルを貫いているところがかっこいい。

建築の特徴

豊田市美術館の概略図

豊田市美術館の建築的特徴としては次のような点が挙げられる。

  1. 屈曲したアプローチ
  2. 2段式の庭園
  3. 「門」のようなフレーム
  4. 伸びやかな石畳とスロープ
  5. 建物を映す水盤
  6. 光のシークエンス
  7. 多様な展示空間

屈曲したアプローチ

豊田市美術館は、周りが木々に覆われた丘の上に立つ美術館であるため、アプローチは上の写真のように自然豊かな空間となっている。

アプローチ
アプローチ空間の概略図

また、豊田市美術館の正面入り口に繋がるアプローチは、くねくねと屈曲している。

この屈曲し、自然に囲われたアプローチ空間を通ることで「日常から非日常へ」と徐々に気持ちを切り替えてもらうことを狙っている。

たけひこ
たけひこ

初めて訪れた人には、ほんとにこの先に美術館があるのかと心配になるような構成です(笑)

2段式の庭園

1段目庭園
2段目庭園

豊田市美術館前の庭園は、アメリカのランドスケープアーキテクトであるピーター・ウォーカー氏が設計を務めた。

ピーター・ウォーカー氏は、世界各地で庭園や広場の設計を行っている建築家であり、日本でも「さいたま新都心のけやきひろば」や「丸亀駅駅前広場」など多くの作品を手掛けている。

2段構成の庭園

豊田市美術館の庭園は、スロープを挟んで2段構成となっている。

下の段は芝生と砂利による市松模様、上の段は水盤の底に帯模様が配置されている

たけひこ
たけひこ

この構成は、豊田市美術館のシンプルな外観と上手くマッチしているように見えます!!

「門」のようなフレーム

豊田市美術館の建物と庭園の間には「門」のようなフレーム構造が立ち上がっている。

この「門」のような構成は、谷口吉生氏の他の作品でもよく見られ、水平・垂直ラインを強調する役割を果たしている

スレートによる構成
住宅のスレート屋根

この「門」のようなフレームは、一般的な住宅の屋根によく用いられるスレートという材料を使用している。

このモスグリーン色(苔のような暗い黄緑色)のフレームが周辺に広がる緑と調和しているようにも見える。

伸びやかな石畳とスロープ

中央:石畳  左:上段庭園へと続くスロープ
石畳とスロープ

庭園の上段と下段の境となる中央部には、エントランスへと伸びる石畳と庭園上段へと伸びるスロープが配されている

この両者の構成は、遠近感を強調し、伸びやかな空間を作り出している。

建物を映す水盤

豊田市美術館の最大の特徴であるのが、この庭園上段に広がる水盤である。

この水盤に建物が写り込むことによって、水平・垂直ラインがさらに強調され、美しいランドスケープを形成している

谷口氏は水について次のように考えている。

「水は絶対的な平面でランドスケープに水平線を引ける」

水平・垂直ラインを好む谷口氏にとって水は、自然のものを取り入れながら水平ラインを強調できる魅力的な素材であることがわかる。

光のシークエンス

エントランス横の階段を上ったところ
光の変化の順序
  1. 天井の低い落ち着いたエントランス
  2. 光のあふれる吹き抜け階段(写真)
  3. 多種多様な明るさを持つ展示室
  4. 光のあふれる吹き抜けに戻って来る
  5. 外部の明るい彫刻テラスに出る

外観の非日常感から、天井の低いエントランスに入ることで一度人間の身体感覚に戻ってもらい、最終的にまた水盤越しに建物を見るという流れが魅力的である。

たけひこ
たけひこ

このように、谷口さんの作品は、光や空間の使い方が巧みであることでも知られています!!

多様な展示空間

天窓から明るい光が入る展示室
photo by Ian rennie robertson /CC 表示-継承 4.0
ほとんど開口がなく落ち着いた雰囲気の展示室
photo by Ian rennie robertson /CC 表示-継承 4.0

豊田市美術館の展示室は、美術館らしいホワイトキューブになっている。

しかし、一言でホワイトキューブといっても、部屋ごとに空間の大きさ、使われている材質、光の入り方などが様々である。

この展示室の多様性により、作品を鑑賞する者の感覚を常に刷新し、一つ一つの作品に集中してもらえるように工夫している。

建築物概要

  • 所在地:愛知県豊田市小坂本町
  • 竣工 :1995年
  • 用途 :美術館
  • 構造 :RC造 S造
  • 階数 :地下2階 地上3階 
  • 設計 :谷口建築設計研究所
  • 施工 :大成建設株式会社など

施設概要

  • Tel  :0565-34-6610
  • 休館日 :毎週月曜日(祝日は除く)、年末年始
  • 料金  :
一般300円(250円)
高校・大学生200円(150円)
中学生以下無料

最後に・・・

以上が谷口吉生氏設計による、豊田市美術館の特徴でした。

アプローチ空間から内部の空間や光の変化まで、細部にこだわった構成が何とも言えない美しいものとなっていました。

たけひこ
たけひこ

気になった方は、是非一度訪れてみてください!!

ご覧いただきありがとうございました!

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