妻木頼黄の建築作品4選【人物像・代表作などを解説】

皆さんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、日本近代建築の先駆者にして官僚建築家のトップ「妻木頼黄(つまきよりなか)」の建築作品4戦をご紹介したいと思います。

辰野金吾の後輩でありながら、ライバル的存在としても知られる明治期を代表する建築家です。

是非最後までご覧ください。

目次

妻木頼黄(つまきよりなか)とは?

妻木頼黄の経歴

  • 1859年 江戸に生まれる
  • 1878年 帝国大学工部大学校造家学科入学
  • 1882年 中退。アメリカ留学
  • 1884年 コーネル大学建築学科卒業
  • 1885年 帰国。東京府勤務
  • 1886年 ドイツ研修
  • 1888年 帰国
  • 1896年 臨時葉煙草取扱所建築部技師
  • 1900年 臨時税関工事部建築課長
  • 1901年 大蔵省総務局営繕課長
  • 1903年 大蔵省大臣官房営繕課長
  • 1905年 大蔵省臨時建築部部長
  • 1916年 逝去(57歳)

妻木頼黄(つまきよりなか)は、官庁営繕組織の官僚建築家として、明治建築界を牽引した人物である。

明治期を代表する建築家といえば「辰野金吾」の名がよく挙げられるが、その後輩にしてライバル的存在でもあったのが妻木頼黄である。

辰野金吾は、日本銀行建築や日本生命建築など「民間施設」を数多く手がけたことで知られているが、それに対して妻木頼黄は、議院建築や庁舎建築といった「行政施設」を数多く手がけた。

妻木頼黄の代表作としては、現存するものだと「神奈川県立歴史博物館」や「横浜赤レンガ倉庫」などがあげられ、日本近代建築の代表作としても知られている。

妻木頼黄の建築作品4選

1.丸三麦酒醸造工場 (現・半田赤レンガ建物)

半田赤レンガ建物
photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:妻木頼黄
  • 住所:愛知県半田市榎下町
  • 竣工:1898年
  • 用途:工場(現・複合施設)
  • URL:公式ページ

丸三麦酒醸造工場は、丸三麦酒のビール工場として1898年に建設された煉瓦造りの建築物である。

現在は、その歴史のある建物を保存しつつ、展示室やクラブハウス、カフェといった機能を内包する複合施設「半田赤レンガ建物」として活用されている。

本建築は、純粋な「煉瓦造」で建てられた部分と、木造軸組みに煉瓦の壁を組み合わせた「ハーフティンバー工法」を用いた部分の2か所で構成されている。

ハーフティンバー工法は、北方ヨーロッパでみられる木造建築の技法であり、柱や梁、斜材といった軸組部材を煉瓦の壁で隠さず、装飾要素としても用いるのが特徴となっている。

2.横浜正金銀行本店(現・神奈川県立歴史博物館)

photo by Wiiii/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:妻木頼黄
  • 住所:神奈川県横浜市中区南仲通5-60
  • 竣工:1904年
  • 用途:銀行(現・博物館)
  • URL:公式ページ

この建物は、1904年に横浜正金銀行の本店として、横浜の地に建てられた銀行建築である。

1923年に発生した関東大震災ではドーム部分が火災により焼失してしまったが、現在はそのドームも復原され、神奈川県立歴史博物館の施設として運営されている。

建築全体は、正面上部に佇む巨大なドーム屋根と、ファサードに並ぶコリント式の大オーダー(2層分の高さを持つオーダー)が重厚感のある佇まいを作り出しており、ネオ・バロック様式特有の特徴が随所にみられる構成となっている。

1969年には国の重要文化財に指定されており、妻木頼黄の最高傑作であると同時に、日本を代表する近代建築として知られている。

3.横浜新港埠頭倉庫(現・横浜赤レンガ倉庫)

photo by Kakidai/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:妻木頼黄
  • 住所:神奈川県横浜市中区新港
  • 竣工:1911年
  • 用途:倉庫(現・複合施設)
  • URL:公式ページ

この建物は、1911年に国の保税倉庫として建設された倉庫建築である。

現在は、誰もが知る「横浜赤レンガ倉庫」という名で、劇場・展示スペース・飲食店などが入る複合施設として運営されている。

施設全体は、1号館と2号館の2棟によって構成されており、建物幅と同じくらいの広場を間に挟む形で、2棟が並列配置された全体構成となっている。

また、本施設は、日本初の荷物用エレベーターや消火水栓を備えた最新鋭の建築物として建設されており、関東大震災では半壊してしまったものの、修復や耐震補強などが行われ、現在まで長く受け継がれている。

4.山口県庁舎(現・山口県政資料館)

photo by Bakkai/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:妻木頼黄
  • 住所:山口県山口市滝町1番1号
  • 竣工:1916年
  • 用途:庁舎(現・資料館)
  • URL:公式ページ

山口県庁舎は、妻木頼黄の指導の下で、弟子である武田五一と大熊喜邦が設計を担当した庁舎建築である。

現在は、隣接する旧山口県議会議事堂と共に「山口県政資料館」として運営されており、山口県政に関する史料などを一般公開している。

建築全体の構成は、左右対称性や正面性を重視した洋式建築の様相を呈しているが、そこに東洋建築の形をセセッション風にアレンジした意匠が取り入れられており、西洋様式と和様式を融合した折衷建築となっている。

1984年には、明治期以降の近代建築の展開を示す建築作品として、旧県会議事堂と共に国の重要文化財にも指定されている。

参照サイト・書籍

本記事は、上記のサイトや書籍を参照して執筆しました。

今回はこれで以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。

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