名古屋市美術館とは?

名古屋市美術館は、名古屋市の中心にある「白川公園」の中に建つ美術館である。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家黒川紀章。
コンセプト「西欧と日本・過去と未来の共生」
このコンセプトを基に、随所に伝統的な日本様式や、西欧の様式などが混在する空間がつくられている。
そんな、名古屋市美術館の特徴をご紹介します!!
黒川紀章とは?
- 1934年 愛知県に生まれる
- 1957年 京都大学工学部建築学科卒業
- 1957年 東京大学大学院建築学専攻修士課程進学
- 在学中 黒川紀章建築都市設計事務所を設立
- 1960年 世界デザイン会議に参加
- 2007年 東京都知事選挙、参院選に立候補
- 2007年 参院選2か月後に逝去
黒川紀章は、中銀カプセルタワービルや広島市現代美術館などの有名作品を手掛けた建築家である。
学生時代は丹下健三の研究室で学び、のちに建築的理論「メタボリズム」を提唱する。
さらに、黒川紀章は建築家だけではなく文筆家や政治活動家、さらにはバラエティー番組などにも出演するなど、活動の幅が広い。
建築の特徴
高さを抑えた外観

名古屋市美術館がある「白川公園」は、周囲にはケヤキなどの樹木が生えており緑豊かな環境をつくっている。
そのため、建蔽率や容積率といった建築上の条件も厳しかった。
これらの条件と環境への配慮をかねて、建物は地下1階、地上2階の3層構成とし、高さが周辺の木々よりも低くなるように抑えられている。
格子状のアプローチ空間

この美術館の一番の特徴は、入り口付近に組まれている格子状のアプローチ空間である。
この格子状の構成によって、外部空間と内部空間の中間領域がつくられ、外から内へ徐々に気持ちを高めることができる。
さらに、この格子は日本伝統の「鳥居」をイメージしており、日本人が親しみ深い雰囲気も持ち合わせている。
内外をつなぐサンクガーデン

周辺環境との調和のために地下空間がつくられた名古屋市美術館には、広いサンクガーデンが設けられている。
地下フロアに光や風を取り入れるために、緩やかに掘り下げられた庭のこと。
名古屋市美術館でもサンクガーデンが効果的に取り入れられ、周辺の豊かな自然環境を内部に取り込んでいる。
建物を映し出す池

さらに、南側には池が設けられており、名古屋市美術館の特徴的な三角屋根が映り込むようになっている。
このように、名古屋市美術館では、公園の中にある美術館ならではの工夫が多くみられる。
「日本と西欧」「過去と未来」の混在

名古屋市美術館の内部空間には、コンセプトである「西欧と日本・過去と未来の共生」をもとに、あらゆるところに多様な様式がちりばめられている。
上の写真では、展示室の入口部分が、西洋的な黒い大理石のデザインになっている。
建物全体が展示空間のような内部

上の写真の左上を見てもらうと、人間の模型のようなものが宙に浮いている。
名古屋市美術館ではこのように、あらゆる場所に作品ともいえるものが散りばめられており、館全体が展示空間のようになっている。
また、内装が白を基調としていることによって、展示空間のような雰囲気が作られている。
建築概要
- 所在地:愛知県名古屋市中区栄
- 竣工 :1987年
- 用途 :美術館
- 構造 :RC造 SRC造
- 階数 :地下1階 地上2階
- 設計 :黒川紀章建築都市設計事務所
- Tel :052-212-0001
- 営業時間:午前9時30分~午後5時
- 休館日 :月曜日
- URL :https://art-museum.city.nagoya.jp/
- アクセス:「伏見」下車後徒歩8分
- 料金 :
一般 | 高・大 | 中学生以下 | 名古屋市在住の65歳以上 |
300円 | 200円 | 無料 | 100円 |
最後に・・・
以上が名古屋市美術館の特徴でした。
緑豊かな周辺環境に調和しつつ、個性のある魅力的な建築であったと思います。
機会があれば是非、名古屋市美術館を訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。