山口文象とは?

- 1902 東京市に生まれる
- 1918 東京高等工芸学校附属職工徒弟学校木工科卒業
- 1918 清水組(現:清水建設)入社
- 1923 近代建築運動グループ「分離派建築会」の一員になる
- 1924 復興局橋梁課の嘱託技師となる
- 1932 山口蚊象建築設計事務所設立
- 1953 RIA建築綜合研究所設立
- 1978 死去(76歳没)
山口文象は「モダニズム建築」の先駆者、そして「和風建築」の名手であることでも知られていた、昭和期を代表する建築家である。
さらに、戦前にはダムや橋などの「土木建築物」の設計を行っている一方で、戦後には数多くの住宅を設計しており「モダン住宅をリードした建築家」としても有名だ。
代表作としては「黒部川第二発電所」「龍海院本堂」「林芙美子記念館」などが知られ、多種多様な作品を手掛けていることがわかる。
今回は、そんな昭和期の建築界をリードした建築家「山口文象」の建築作品4選をご紹介します。
【代表作】建築家山口文象の建築作品4選
1.黒部川第二発電所




- 住所:富山県黒部市宇奈月町黒部奥山国有林内
- 竣工:1936年
- 用途:発電所
- URL:参考ページ
黒部川第二発電所は、富山県黒部市にある「小屋平ダム」の下流に建つ発電所施設である。
この地域に建つ「小屋平ダム」「目黒橋」などは山口文象が設計を担当しており、それらの土木建築物と同様に「黒部川第二発電所」も山口文象の設計で1936年に建設された。
今見ると、どこにでもありそうなごく一般的な建築物だが、竣工当時はこのような装飾を極限までなくした「モダニズム建築」は珍しく、日本モダニズム初期の代表作として知られている。
2.町田市郷土資料館(現・町田市立博物館)




- 住所:東京都町田市本町田3562
- 竣工:1976年
- 用途:博物館
- URL:参考ページ
町田市郷土資料館は、東京都町田市の郷土資料を保存・展示することを主目的として、1973年に竣工した市立博物館である。
開館後、工芸美術品など幅広い展示を可能にするため、1976年「町田市立博物館」に名称が改められた。
建築としては、来訪者を向かい入れる「シングル葺きの大屋根」と、重厚感のある「石貼り外壁」による構成が特徴的で、この博物館の近くにある、縄文時代と弥生時代の住居を復元した「本町田遺跡公園」と良い調和を成している。
町田市立博物館は、2019年に一般公開を終了しており、現在は刊行物販売のみをこの施設で行っている。
3.龍海院本堂




- 住所:愛知県岡崎市明大寺町西郷中34-1
- 竣工:1971年
- 用途:寺院
- URL:参考ページ
龍海院は、愛知県岡崎市明大寺町にある曹洞宗の寺院である。
建築としては「ピラミッド型の大屋根」が「鉄筋コンクリートの柱」によって宙に浮かされたような構成が特徴的で、この屋根に覆われた内部空間は、大きな一つの大空間となっている。
竣工した建築は、わずかに膨らみを持ったピラミッド型の屋根になっているが、設計初期段階では完全な直線の大屋根を山口文象は設計しており、さらに地面と大屋根の隙間ももっと狭かったという。
しかし、住職が「これではもうエジプトのピラミッドみたいにならないか」と心配したそうで、わずかに膨らみを持った大屋根が採用されることとなった。
4.林芙美子邸(現・林芙美子記念館)




- 住所:東京都新宿区中井二丁目20番1号
- 竣工:1941年
- 用途:住宅(現・文学館)
- URL:参考ページ
林芙美子邸は、小説家「林芙美子」の住宅として1941年に建設された建築である。
林芙美子が亡くなった1951年までは住宅として使用され、その後は改築・整備を経て、林芙美子を顕彰する記念館として一般公開されている。
建築としては「芙美子名義の主屋」と「夫名義のアトリエ棟」の2棟を勝手口でつないだ、木造による本格的和風住宅となっている。
山口文象は「和風建築」の名手としても知られるが、特にこの「林芙美子邸」は、彼の代表的住宅作品として名高い。
山口文象の関連書籍




今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、山口文象が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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