岡田新一の建築作品10選【人物像・代表作などを解説】

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皆さんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、最高裁判所の設計者として知られる「岡田新一」の建築作品10選をご紹介します。

庁舎建築や文化施設など、数多くの公共建築を手がけた建築家です。

是非最後までご覧ください。

目次

岡田新一とは?

岡田新一の経歴

  • 1928年 茨城県に生まれる
  • 1955年 東京大学建築学科卒業
  • 1957年 同大学院修士課程修了
  • 1957年 鹿島建設入社
  • 1963年 イェール大学建築芸術学部大学院修了
  • 1969年 最高裁判所設計競技で最優秀賞を獲得
  • 1969年 岡田新一設計事務所設立
  • 2014年 逝去(86歳)

岡田新一は、東京大学大学院を卒業後、鹿島建設に入社し、その後、自身の事務所を立ち上げて設計活動を行った建築家である。

独立のきっかけは、鹿島建設の設計部として応募した公開コンペ「最高裁判所新庁舎設計競技」で最優秀賞を獲得したことにある。

このコンペは、国家が建設する三大主要建築物の一つである最高裁判所の設計者を選ぶということで、戦後最大規模の公開コンペとして実施され、応募総数は217点にも及んだ。

その中、名だたる建築家を抑えてゼネコンの設計部が最優秀賞に選ばれたという事実は、当時でもかなり話題になったそう。

そして、このコンペをきっかけに独立した岡田新一は、最高裁判所以降にも「警視庁本部庁舎」や「岡山県立美術館」など、数多くのビックプロジェクトを手掛けていくことになる。

2014年に岡田新一は亡くなられたが、彼が創設した岡田新一設計事務所は今も存続している。

岡田新一の建築作品10選

1.最高裁判所庁舎

photo by Big Ben in Japan/CC 表示-継承 2.0
  • 設計:岡田新一/鹿島建設
  • 住所:東京都千代田区隼町4-2
  • 竣工:1974年
  • 用途:最高裁判所
  • URL:公式ページ

冒頭でも述べた通り、岡田新一が独立するきっかけになったのが、この最高裁判所の設計者を決める公開コンペであった。

217点もの応募があった中、1等を獲得した鹿島建設設計部の岡田新一は、コンペの規定(設計施工分離発注)に従って鹿島建設から独立し、自身の設計事務所を設立せざるを得なくなった。

結果としては、施工も鹿島建設が行うことになり、鹿島建設の底力が一層建築界に知れわたることとなるのだが・・・

最高裁判所の建築としての特徴は、外壁全体を覆う花崗岩によって作り出された重厚感のある外観である。

構造は鉄骨鉄筋コンクリート造であるが、まるで石造りのようにも見える構成は、秩序の象徴でもある最高裁判所庁舎にふさわしい威厳を醸し出している。

2.警視庁本部庁舎

photo by っ/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:岡田新一
  • 住所:東京都千代田区霞が関2-1-1
  • 竣工:1980年
  • 用途:警視庁本部
  • URL:公式ページ

警視庁本部庁舎は、東京を管轄する警視庁本部として1980年に建設された庁舎建築である。

建物の前面に桜田門があることから、隠語として警視庁本部庁舎のことを「桜田門」という呼ぶ場合もある。

テレビドラマなどでも度々登場するので、一度は見たことがあるのではないだろうか。

建築全体としては、最高裁判所と同様に重厚感のある佇まいが特徴となっており、100年耐えられる建物を目指して建設されたという。

3.群馬県立図書館

photo by Triglav/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:岡田新一
  • 住所:群馬県前橋市日吉町
  • 竣工:1978年
  • 用途:図書館
  • URL:公式ページ

群馬県立図書館は、群馬県の中央図書館として1978年に建てられた、群馬県前橋市に建つ公立図書館である。

建築全体は、複数の箱型ボリュームがわずかにズレを生じさせながら配置された構成になっている。

このズレた構成によって、広場やピロティといった余白空間が生み出され、空間に多様性を生み出している。

さらに、その箱型ボリュームの外皮には、白い磁器質タイルを用いることによって、重厚感と軽快さを兼ね備えた落ち着きのある外観を作り出している。

4.北海道立三岸好太郎美術館

  • 設計:岡田新一
  • 住所:北海道札幌市中央区北
  • 竣工:1983年
  • 用途:美術館
  • URL:公式ページ

北海道立三岸好太郎美術館は、札幌出身の画家・三岸好太郎の顕彰を目的として、北海道札幌市に建設された道立美術館である。

写真を見る限りは、シンプルな箱型建築のようにも見えるが、実は上から見ると「縦に長い八角形」の形をしている。

周囲の豊かな緑に埋め込まれる形で建設されているため、ボリューム感が抑えられているのである。

また、建築自体は「白い磁器タイル」で覆われた外壁と、「銅板葺き」の傾斜屋根が落ち着いた雰囲気を作り出し、周囲の景観と調和した美術館を形成している。

5.ふくしん夢の音楽堂

福島市音楽堂
  • 設計:岡田新一
  • 竣工:1984年
  • 用途:音楽ホール 体育館
  • 住所:福島県福島市入江町
  • URL:公式サイト

ふくしん夢の音楽堂は、大小2つのホールや体育室などの機能が内包された、福島県福島市に建つコンサートホールである。

この建物を上空から見ると、円や台形などの「幾何学的平面形態」を持った複数の棟が、付かづ離れずの適度な距離感を保ちながら、一つの中庭を囲うように配置されていることがわかる。

まるでどこかの集落のような、不思議な空間である。

このような構成は、バッハやベートーヴェンの音楽を生んだ「ドイツの集落」をイメージして設計しているらしい。

6.福島市古関裕而記念館

福島市古関裕而記念館
photo by OKfarm/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:岡田新一
  • 竣工:1988年
  • 用途:記念館
  • 住所:福島県福島市入江町
  • URL:公式サイト

福島市古関裕而記念館は、福島市出身の作曲家・古関裕而の顕彰を目的として「ふくしん夢の音楽堂」に隣接する位置に建設された記念館建築物である。

本施設は、隣接するふくしん夢の音楽堂と同じ「アクリル系スタッコ吹き付けの外壁」となっており、音楽堂が作り出す集落的空間に溶け込むように設計されている。

また、外観を印象付けている円筒型の塔は、「鐘」をモチーフとして設計しているそうだが、これは古関裕而の曲に「鐘」がつくタイトルが多いことがきっかけになっているらしい。

7.岡山県立美術館

photo by 663highland/CC 表示 2.5
  • 設計:岡田新一
  • 住所:岡山県岡山市北区天神町
  • 竣工:1987年
  • 用途:美術館
  • URL:公式ページ

岡山県立美術館は、郷土にゆかりのある美術品の収集・展示などを行う施設として、1987年岡山市北区天神町に建設された公立美術館である。

本建築の外壁には、万成石・ステンレス・ラスタータイルという3つの素材が使用されており、それらの対比によって建築に様々な表情が生まれている。

また、本施設のアプローチ空間では、まず重厚感のある建物を横目に前面の歩道を歩き、その歩道から連続するような階段を上り、上った先に広場を展開、その広場の先にエントランスを配置するという流れるような動線設計が行われている。

素材の使い方と、空間のシークエンス性が魅力的な建築作品である。

8.徳島県立図書館

photo by 663highland/CC 表示 2.5
  • 設計:岡田新一
  • 住所:徳島県徳島市八万町
  • 開館:1989年
  • 用途:図書館
  • URL:公式ページ

徳島県立図書館は、「徳島県文化の森総合公園」内に建つ公立図書館である。

本施設は、向寺山の傾斜面に沿うような形で建てられおり、南側には円形野外劇場「すだちくん森のシアター」、その隣には「徳島県立図書館」などが入る複合施設が建っている。

建築全体としては、中央のガラスの棟とメタリックな庇によって水平性を強調しつつ、左右に垂直性の高い塔を配置することで、水平垂直が対比をなした構成となっている。

9.宮崎県立美術館

  • 設計:岡田新一
  • 住所:宮崎県宮崎市船塚
  • 竣工:1995年
  • 用途:美術館
  • URL:公式ページ

宮崎県立美術館は、宮崎県にゆかりのある美術作品を中心に収蔵・展示を行っている、宮崎市船塚に建つ公立美術館である。

宮崎県立図書館や宮崎県立芸術劇場といった、文化施設が数多く集まる「宮城県総合文化公園」の敷地内に本美術館は建てられている。

建築全体は、幾何学的な形態をした建物と石張りの外壁がスタイリッシュなファサードを構成しており、県立美術館らしい重厚感のある佇まいを作り出している。

ちなみに、外壁を覆っている石には、最高裁判所と同じ花崗岩が用いられている。

10.日進市立図書館

日進市立図書館
photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:岡田新一
  • 竣工:2008年
  • 用途:図書館
  • 住所:愛知県日進市蟹甲町
  • URL:公式ページ

日進市立図書館は、愛知県日進市蟹甲町に建つ公立図書館である。

上空から見ると、全体像は正方形平面をした建物だが、その四つ角にはそれぞれシンボリックな塔が建てられている。

そして、それらの塔にはそれぞれ「太陽」「宵の明星」「明けの明星」「月」と名前が付けられている。

この4つの塔は、四方からやってくる市民を迎え入れるためのシンボルとして設置されており、特に印象的な黄色い外壁の塔(太陽の塔)は、本施設の玄関口として機能しているのである。

岡田新一の関連書籍

著:岡田 新一, 著:田村 明, 著:猪瀬 直樹, 著:市川 宏雄, 著:大野 秀敏, 著:神野 直彦, 著:NPO法人日本の未来をつくる会・編
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今回はこれで以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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