吉村順三とは?
- 1908 東京に生まれる
- 1931 東京美術学校(現東京藝術大学)建築科入学
- 1931 アントニン・レーモンドの事務所勤務
- 1941 吉村順三設計事務所設立
- 1962 東京芸術大学教授
- 1997 死去(88歳)
吉村順三は、モダニズム建築を数多く手がけた、昭和期を代表する建築家である。
チェコ出身の建築家「アントニン・レーモンド」の下でモダニズムを学びつつ、そこに日本建築を掛け合わせたよう作風が特徴的な建築家だ。
代表作としては「愛知県立芸術大学」「国際文化会館」などが挙げられる一方で、住宅・別荘といった小規模建築も数多く手がけていることでも知られる。
今回は、そんな日本を代表する建築家「吉村順三」の建築作品7選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家吉村順三の建築作品7選
1.愛知県立芸術大学「講義棟」

- 住所:愛知県長久手市岩作三ケ峯1-114
- 竣工:1966年
- 用途:大学施設
- URL:公式ページ
愛知県立芸術大学講義棟は、1966年に創立した公立大学「愛知県立芸術大学」のキャンパス中央に建つ講義棟である。
この建築は、南北に約100m以上にわたって伸びており、1階がピロティ、2階が吊り廊下、3階が講義室という構成になっている。
この建築を見て、私がまず想起したのは丹下健三設計の「広島平和記念資料館」だ。
横に長い構成・上部のルーバー・ピロティなど、とても類似した構成が見受けられる。
2.八ヶ岳高原音楽堂




- 住所:長野県南佐久郡南牧村大字海の口
- 竣工:1988年
- 用途:音楽ホール
- URL:公式ページ
八ヶ岳高原音楽堂は、長野県にある高原リゾート「八ヶ岳高原海の口自然郷」の中に建つ音楽ホールである。
建築としては、周囲の山々と調和するかのような6角形平面を持った構成と、そこに架かる大屋根が特徴的だ。
さらに、この建築の構造は、木造とRC造を組み合わせた「混構造」が採用されており、丈夫ながらも木のぬくもりを感じる内部空間も魅力の一つとなっている。
3.国際文化会館




- 住所:東京都港区六本木5丁目11番16号
- 竣工:1955年
- 用途:国際文化交流施設
- URL:公式ページ
国際文化会館は、東京都港区六本木という「夜の街」というイメージを持ちつつ、美術館や緑も混在した特異な街に建つ「文化交流施設」である。
この建築は、吉村順三・坂倉準三・前川國男という、日本建築界の巨匠3人によって設計された。
建築としては、モダニズム建築を象徴するようなスタイリッシュな構成の建物と、その前面に広がる池を持った庭園が特徴的で、吉村順三お得意の「日本の伝統×モダニズム」がここでも再現されている。
国際文化会館は、2006年に「登録有形文化財」に指定されており、その価値は国からも正式に認められている。
4.奈良国立博物館「西新館」




- 住所:奈良県奈良市登大路町50
- 竣工:1972年
- 用途:博物館
- URL:公式ページ
奈良国立博物館「西新館」は、仏教美術を中心とした文化財の展示・保管などを主目的とする「奈良国立博物館」の新館として、1972年に建設された施設である。
建築としては、1階のピロティ、その前面に広がる池・庭園、水平ラインを強調した外観などが特徴的。
この建築でも「モダニズム」と「日本伝統」の融合が行われており、その結果、周囲の景観になじみつつ、好奇心を刺激するような魅力的な建築が完成している。
5.茨城県近代美術館




- 住所:茨城県水戸市千波町東久保
- 竣工:1988年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
茨城県近代美術館は、茨城県にゆかりのある作家の作品を始め、国内外約4,000点の美術作品を収蔵・展示することを目的として建設された美術館である。
コンセプト「公園の水と緑に溶け込む建築」
このコンセプトを基に、周囲の景観に溶け込むような「緑青色の銅板葺きの大屋根」と「茶色系の自然石からなる外壁」が落ち着いた雰囲気を作り出す、魅力的な建築となっている。
6.加藤栄三・東一記念美術館




- 住所:岐阜県岐阜市大宮町1-46(岐阜公園内)
- 竣工:1990年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
加藤栄三・東一記念美術館は、岐阜市出身の画家「加藤栄三」「加藤東一」兄弟の顕彰を目的に建設された美術館である。
この美術館は、背後に山が迫る樹木に囲まれた場所に立っており、その景観に自然と馴染む「漆喰の白壁」と「平板瓦の屋根」がこの建築の特徴ともなっている。
さらに、この施設は2つのL字型の展示室が向き合うようにして配置されており、その間に中庭を配置した構成となっている。
7.天一美術館




- 住所:群馬県利根郡水上町大字谷川字上原508
- 竣工:1997年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
天一美術館は、てんぷら料理店「天一」の創業者である矢吹勇雄の個人コレクションを収蔵・展示するために建設された施設である。
吉村順三の遺作ともなった作品である。
建築としては、写真(エントランス部分)を見る限りでは、一層平屋建ての日本建築に見えるが、実は2層のRC増となっている。
さらに、テラス・芝生の広場・スロープ・渡り廊下など、この建築では外観からは想像できないようなあらゆる要素が盛り込まれており、様々な体験ができる施設にもなっている。
吉村順三の関連書籍








今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、吉村順三が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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