皆さんこんにちは、当サイト「建築LIFE」を運営しているたけと言います。
今回は、日本三大急流の一つ「最上川」が流れ、さくらんぼや米沢牛などでも有名な「山形県」に建つ有名建築物13選をご紹介したいと思います。
あまり知られていませんが、実は山形県にも内藤廣やSANAA、谷口吉生といった世界的建築家が手がける魅力的な作品が数多く存在しています。
今回は、それらの有名建築家の作品から、歴史のある建築物まで幅広くご紹介していますので、建築巡りの際には是非本記事を参考にしてみてください。
では早速本題に移ります。
山形県の有名建築物13選【SANAA・内藤廣など】
1.鶴岡市文化会館【SANAA】

- 設計:SANAA
- 竣工:2017年
- 用途:多目的ホール
- 住所:山形県鶴岡市馬場町11-61
- URL:公式ページ
鶴岡市文化会館は、山形県鶴岡市の芸術文化活動の拠点として1971年に建設された、大小2つのホールが入る多目的ホール施設である。
設計を務めたのは、妹島和世と西沢立衛という2人の世界的建築家によって結成された建築家ユニット・SANAAである。
本施設は、中央に建つ一番高い棟を中心として「有機的なうねりを持つ屋根群」が街に向かって広がっていくような構成が特徴的で、屋根は先端に行くほど高さが低くなっており、周辺の街との調和を図っている。
また、施設内部は、大ホールを囲うようにして回廊空間を設けた「鞘堂形成」を採用し、回廊部分は日常的に市民に開放することによって、市民と本施設の積極的な交流を図っている。
2.土門拳記念館【谷口吉生】




- 設計:谷口建築設計研究所
- 竣工:1983年
- 用途:博物館
- 住所:山形県酒田市飯森山二丁目13
- URL:公式ページ
土門拳記念館は、山形県出身の写真家「土門拳(どもんけん)」の作品を保存・展示するための施設として、日本初の写真専門博物館として1983年に開館した施設である。
設計を務めたのは「法隆寺宝物館」や「豊田市美術館」など、スタイリッシュな建築物を手掛けることで知られる建築家「谷口吉生」である。
本施設は、最上川下流沿いにある「飯森山文化公園」内に建っており、人口湖に沿うように設置された抽象的形態の壁が、谷口吉生建築らしさを醸し出している。
内部は、人口湖の水を引水した中庭を囲うようにして、エントランス・通路・展示室・ギャラリーが並べられた「日本伝統の回遊形式」が用いられており、常に自然を身近に感じられる空間構成となっている。
3.寒河江市役所【黒川紀章】




- 設計:黒川紀章
- 竣工:1967年
- 用途:市役所
- 住所:山形県寒河江市中央一丁目9番45号
- URL:公式ページ
寒河江市役所は、山形県寒河江市の市役所として1967年に建設された施設である。
設計を務めたのは、国立新美術館や豊田スタジアムなど、数多くの公共施設を手掛けたことで知られる日本を代表する建築家「黒川紀章」である。
この建築には、代々木競技場などでも採用された「吊り構造」が用いられており、上空写真を見るとわかりやすいのだが「4本のコア」と「高張力鋼」によって、大きく張り出した3,4階部分を吊ったダイナミックな構造となっている。
また、この施設の内部には「太陽の塔」で知られる芸術家・岡本太郎の作品が点在しており、市役所としては異例尽くしの施設となっている。
4.ナセBA【山下設計】




- 設計:山下設計
- 竣工:2016年
- 用途:図書館 ギャラリー
- 住所:山形県米沢市中央1
- URL:公式ページ
ナセBAは、図書館とギャラリーという2つの機能を併設する形で2016年に建設された、山形県米沢市に建つ複合施設である。
設計を務めたのは、日本の大手組織設計事務所「山下設計」である。
本施設は、柱ではなく壁によって荷重を支える「壁構造」が使用されており、その壁が外部でも内部でも、空間を適度に分節するいい役割を果たしており、居心地の良い空間を作り出している。
さらに、このコンクリートの壁は、沿道沿いに半屋外の「軒下空間」を作り出しており、この地域では沿道によく見られる「こまや」という軒下空間を再現した形となっている。
5.南陽市文化会館【大建設計】
- 設計:大建設計
- 竣工:2015年
- 用途:集会場
- 住所:山形県南陽市三間通43-2
- URL:公式ページ
南陽市文化会館は、日本初の「大型木造耐火文化ホール」として2015年・山形県南陽市に建設された文化施設である。
設計を務めたのは、日本の大手設計事務所「大建設計」だ。
本施設には、大小2つのホールが存在するが、そのうち1403席入る大ホールは、木造耐火部材5本を1組とする「組柱」によって、木造ながらも高さ約15m・スパン28mの大空間が作り出されている。
上の2枚目の写真は、エントランスを入るとすぐに見える「交流ラウンジ」の様子である。13.7mある8本の太い丸柱が異様な空間を作り出している。
6.鶴岡市立藤沢周平記念館【高谷時彦】




- 設計:高谷時彦事務所
- 竣工:2009年
- 用途:文学館
- 住所:山形県鶴岡市馬場町4-6
- URL:公式ページ
鶴岡市立藤沢周平記念館は、小説家「藤沢周平」の顕彰を目的として、彼の出身地である山形県鶴岡市に建設された文学館である。
設計を務めたのは、槇文彦の事務所に勤務後、1989年に独立して設計業務を行う建築家「高谷時彦」である。
本施設は、地域の伝統工法を参考にした「鞘堂方式」が用いられており、強固な鉄筋コンクリート造でできた「蔵(展示室・収蔵庫)」の周りを、軽やかな鉄骨造でできた「鞘(ギャラリー・ロビー)」が囲う構成となっている。
また、この内部構成は外観にも反映されており、奥にある蔵側の壁は「白の漆喰」仕上げになっているが、手前の鞘側の壁は「黒く塗装されたスギ板」で仕上げられており、その対比が落ち着いた外観を作り出している。
7.最上川ふるさと総合公園センターハウス【内藤廣】
- 設計:内藤廣建築設計事務所
- 竣工:2001年
- 用途:公園管理施設
- 住所:山形県寒河江市寒河江〜柴橋
- URL:詳細ページ
最上川ふるさと総合公園センターハウスは、日本三大急流の1つとして知られる「最上川」の流域に建つ、最上川ふるさと総合公園の管理施設である。
設計を務めたのは、木材をふんだんに使用した建築作品を数多く手がけることで知られる建築家「内藤廣」である。
本施設を設計するにあたって内藤廣は、最上川と一体化した建築を造りたかったらしいが、地形的な問題で直接的な建築と川の一体化は不可能であった。
しかし、ここで内藤廣は諦めず、直接的な一体化が不可能であっても、視覚的には可能なのではないかと考え、山型の形態をモチーフとし、景観的に建築と川の一体化を図ることにしたらしい。
その結果完成したのは、前面ガラス張りでできた山型の巨大建築物である。
8.酒田市美術館【池原義郎】
- 設計:池原義郎建築設計事務所
- 竣工:1997年
- 用途:美術館
- 住所:山形県酒田市飯森山三丁目17-95
- URL:公式ページ
酒田市美術館は、最上川や市街地を一望できる小高い丘の上に建つ、酒田市立の美術館建築である。
設計を務めたのは、「西武遊園地」や「西武ドーム」などの設計者として知られる建築家「池原義郎」である。
本施設は、約3千平方メートルある敷地の外周部を回るように「建物」と「壁」を配置した構成となっており、中央には広大な緑の「中庭」が広がっている。
また、この伸びやかな敷地構成を活かしたアプローチ空間も魅力的で、「門→外通路→エントランス→ロビー→展示室→中通路→展示室」といった風に、敷地を一周するような回遊的な動線設計が行われている。
9.JR赤湯駅【鈴木エドワード】




- 設計:鈴木エドワード建築設計
- 竣工:1993年
- 用途:駅舎 物品販売店 展示場
- 住所:山形県南陽市郡山番外地
- URL:公式ページ
JR赤湯駅は、山形県南陽市に建つJR東日本の駅舎建築である。
設計を務めたのは、ハーバード大学大学院や丹下健三都市建築設計事務所で建築を学び、1977年に独立を果たした建築家「鈴木エドワード」である。
本施設は、山のような形態をした建物が象徴的だが、この形態は本地域で盛んな「パラグライダー」をモチーフにして設計されており、そういわれてみると斜めに伸びた柱はパラグライダーの紐に見えなくもない。
また、湾曲する大屋根はすべて、外部にある柱によって支えられているため、内部には柱のない大空間が作り出されている。
10.鶴岡アートフォーラム【小沢明】




- 設計:小沢明建築研究室
- 竣工:2005年
- 用途:美術館
- 住所:山形県鶴岡市馬場町13-3
- URL:参考ページ
鶴岡アートフォーラムは、芸術文化活動が盛んな街「鶴岡市」に新たに建設された展示施設である。
設計を務めたのは、早稲田大学・ハーバード大学大学院・槇文彦事務所を経て、1980年に独立し設計業務を行う建築家「小沢明」である。
本施設は、日本の歴史公園100選にも選ばれた、緑豊かな鶴岡公園内に建っており、周囲の自然との親和性を高めるため、全面がガラス張りになった開放的な建築物になっている。
当然、ギャラリーに関しては作品を保護する観点から、日射を避ける必要があるのだが、その点については開放的なガラスの箱の中に、閉鎖的な箱(ギャラリー)を配置する「入れ子構造」を採用することでしっかりと対応している。
11.マルコの蔵・広場【林寛治・片山和俊】




- 設計:林寛治・片山和俊
- 竣工:2013年
- 用途:広場 展示場 交流施設
- 住所:山形県最上郡金山町大字金山字金山町363-2
- URL:公式ページ
マルコの蔵・広場は、金山町が進める「街並みづくり100年運動」のシンボルとして2013年に建設された、展示場・広場・交流施設などの顔をもつ複合施設である。
設計は、両者ともに東京芸術大学美術学部出身の建築家「林寛治」と「片山和俊」の共同設計で行われた。
本施設は、かつて金山町で商家として栄えた西田家が所有していた「2棟の蔵」を再建する形で計画され、そこに屋根付きの回廊で囲われた「広場」を付加している。
この広場は、町の人同士はもちろんのこと、町を訪れた観光客と町人との交流の場として提供されている。
12.山形美術館【本間利雄】




- 設計:本間利雄設計事務所
- 開館:1985年
- 用途:美術館
- 住所:山形県山形市大手町1-63
- URL:公式ページ
山形美術館は、1964年に開館し、1985年に現在の建物が完成した、山形県山形市に建つ美術館建築である。
設計を務めたのは、山形県を中心に設計活動を行う建築家「本間利雄」である。
本施設は、日本伝統の切妻屋根を何倍かに拡大したかのような象徴的な形態をしているが、下層部を見ると、2本の大きな柱で上部ボリュームを持ち上げたかのような構成となており、日本伝統と近代建築が融合したかのような作品となっている。
また、本施設の西側には緑豊かな霞城公園が広がっており、その公園と連続するように建物前面にも緑豊かな大広場が配置されている。
13.本間美術館【伊藤喜三郎】
- 設計:伊藤喜三郎
- 竣工:1968年(新館)
- 用途:美術館
- 住所:山形県酒田市御成町7−7
- URL:公式ページ
本間美術館は、山形県庄内地方の大地主「本間家」が所有した美術作品を保存・展示するための施設として、本間家別荘「清遠閣」と庭園「鶴舞園」を開放する形で1947年に開館した私立美術館である。
設計を務めたのは、日本の医療施設を数多く設計したことで知られる建築家「伊藤喜三郎」である。
1枚目の写真は、1968年に竣工した「新館」、2枚目の写真は本間家別荘であった「清遠閣」となっており、本間家が所有した美術作品は新館の方に展示されている。
また、この新館や清遠閣がある「本間氏別邸庭園・鶴舞園」は国指定名勝にも選ばれており、春は白ツツジ、秋は紅葉が楽しめる見事な庭園となっている。
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