最上川ふるさと総合公園センターハウスとは?

山形県寒河江市「最上川ふるさと総合公園」の中に建つ、ギャラリーや事務室などを収容したセンターハウス。
この施設は、2002年に開催された「第19回全国都市緑化やまがたフェア」の主会場の一つとして建設されたものである。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家内藤廣。
「ランドスケープと機能性を重視したガラス建築」
このようなコンセプトを基に、山や川、緑に囲われた豊かな周辺環境と呼応した建築が計画された。

そんな、最上川ふるさと総合公園センターハウスの特徴をご紹介します!!
内藤廣とは?
- 1950 横浜市に生まれる
- 1974 早稲田大学理工学部卒業
- 1976 早稲田大学大学院修了
- 1979 菊竹清訓建築設計事務所勤務
- 1981 内藤廣建築設計事務所設立
- 2003 東京大学教授
内藤廣とは、多くの公共建築や文化施設などを手掛ける、日本を代表する建築家である。
代表作としては、「海の博物館」「牧野富太郎記念館」「安曇野ちひろ美術館」などが知られ、屋根天井などに木材をふんだんに使用した建築を多く手がける。
また、建築に関する著書も多く手がけており、文筆家・思想家としても知られている。
建築の特徴

センターハウスの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 背景の山並みと呼応する三日月形の建築
- 温室のようなガラス建築
- 管理のしやすさを考慮
- 冷房の代わりに設けられた「池」
- デザインよりも機能性を重視
- 開放的な内部空間
背景の山並みと呼応する三日月形の建築

センターハウスは、三日月形の建物形状が特徴的である。
この形状は、背景にある山形を代表する山「月山」や、「朝日連峰」のなだらかな山並みと呼応した構成になっている。
さらに、センターハウスは全面ガラス張りの建築になっているため、晴れた日には建物が透け、後ろの山並みを建物越しに見ることもできる。
温室のようなガラス建築

これまで「海の博物館」や「安曇野ちひろ美術館」など、日本らしい温もりのある空間をつくってきた建築家内藤氏。
そんな内藤氏が設計したとは思えない程、今回のセンターハウスではガラスを大胆に使用している。
これ実は、2002年に開催されるやまがたフェアの主催者から、「温室のようなガラス建築をつくってほしい」と頼まれたからだそう。
管理のしやすさを考慮

そんな、主催者側からの要求は、夏は猛暑で冬は雪が多い、山形の厳しい気象条件ではかなり難問であった。
それでも内藤氏は、単なるデザインとしてのガラス建築ではなく、風景と調和しながら、厳しい気象条件でも維持管理が容易な耐久性のあるガラス建築を追求した。
三日月形の屋根もその追及の結果であり、ランドスケープの視点と汚れなどの問題を工学的に考察した末の形状であるという。
冷房の代わりに設けられた「池」

センターハウスに沿うようにして前面に広がる池は、冷房設備に代わり、夏場の空調管理を担っている。
センターハウス全体にいきわたる空調設備はコストがかかりすぎるため、夏場は池からの気化熱を利用し、涼風が建物内を抜けるようにしているそう。
さらに、その涼風が抜けるように池に面した壁は全面開口部となり、反対側の面には排気窓が横に並んでいる。
デザインよりも機能性を重視

その排気窓の位置関係は、気流のシミュレーションを繰り返した結果によって決められている。
気流の流れを考慮して窓を設置すると、多少なりともガラスの美しさが損なわれてしまう。
しかし、センターハウスでは、目先のデザイン性よりも、今後の長期的な利用を考え、機能性を優先して設計したという。
開放的な内部空間

温室のようなガラス建築の内部空間には柱がほとんどない。
その代わりに、、、
- 鉄骨梁
- 調弦梁
- ワイヤメッシュ調弦梁
という3つの部材を網を吊るように構成することで、大きなガラス屋根を支えている。
さらに、屋根には遮光スクリーンが設けられており、日差しの強い日に対応できるようになっている。
建築概要
- 所在地:山形県寒河江市
- 竣工 :2001年12月
- 用途 :公園管理施設
- 構造 :S造、RC造
- 階数 :地上2階
- 高さ :11.232m
- 設計 :内藤廣建築設計事務所
- 施工 :升川建設
- 構造 :空間工学研究所
- 設備 :郷設計研究所
施設概要
- Tel :0237-83-5195
- 営業時間:9~18時(4〜11月)9~17時(12〜3月)
- 休館日 :月曜日、年末年始など
- URL :http://m-furusato.sakura.ne.jp/
- アクセス:JR寒河江駅下車。タクシーで約5分
最後に・・・
以上が最上川ふるさと総合公園センターハウスの特徴でした。
ランドスケープと呼応しながら、維持管理面が考慮された形態が特徴的な建築になっていたと思います。

是非一度、センターハウスを訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。