みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」と言います。
今回は、新潟県にある有名建築物20選をご紹介したいと思います。
私自身も意外に感じたのですが、実は新潟県には隈研吾や青木淳、原広司といった有名建築家が手がける作品がかなりたくさん存在しています。
今回は、そんな有名建築家の作品はもちろんのこと、大手組織設計事務所が設計した公共施設など多種多様な建築物をご紹介しているので、新潟県を観光する際には是非参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
新潟県の有名建築20選【隈研吾・青木淳・原広司など】
1.越後妻有里山現代美術館MonET【原広司】
- 設計:原広司+アトリエ・ファイ建築研究
- 竣工:2003年
- 用途:展示 集会 工房 店舗 温泉施設
- 住所:新潟県十日町市本町
- URL:公式ページ
越後妻有里山現代美術館MonETは、美術館・温泉・店舗など複数の機能を複合した、新潟県十日町市に建つ複合施設である。
設計は、札幌ドームや梅田スカイビルなど、数多くの大規模公共建築を手掛ける建築家「原広司」が担当。
上空写真を見るとわかるが、本施設は大きな中庭を持つ正方形型の建物となっており、外観はコンクリートの壁が立ち上がった非常にシンプルなものとなっている。
このような構成をとった理由は、この敷地の周辺が電車なども通る住宅街であり、あまりいい外環境とは言えない状況であったというのが要因として大きいらしく、外に期待できないなら内で豊かな空間を形成しようと考え「大きな池を持った中庭」を設けることにしたという。
2.アオーレ長岡【隈研吾】
- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:2012年
- 用途:庁舎・店舗・ホールなど
- 住所:新潟県長岡市大手通
- URL:公式ページ
アオーレ長岡は、市庁舎・ホール・店舗など複数の機能を併設した、JR長岡駅に隣接する位置に建つ複合公共施設である。
設計は、国立競技場や浅草文化観光センターなど、木材多用した建築物を手がけることで知られる建築家「隈研吾」が担当。
本施設最大の特徴は、地場産のスギルーバーがいたるところに設置された「ナカドマ」という半屋外の大空間である。
この「ナカドマ」は、市民の生活と市役所などの公共空間が一体的に使用されることを目指して設計が行われており、あらゆる活動や視線が交わるにぎやかな空間が形成されている。
3.新発田市民文化会館・公民館【内井昭蔵】




- 設計:内井昭蔵建築設計事務所
- 竣工:1980年
- 用途:文化会館+公民館
- 住所:新潟県新発田市中央町
- URL:公式ページ
新発田市民文化会館・公民館は「916人収容の大ホール」「練習室」「会議室」などの機能からなる、新潟県新発田市に建つ文化芸術の拠点施設である。
設計は、世田谷美術館や大分市美術館など、数多くの美術館建築を手掛ける建築家「内井昭蔵」が担当。
内井昭蔵はこの建築を設計するにあたって、様々な文化施設の実例を見学して回ったらしいが、それらの施設はどこも「無駄に大規模なホール」が設置されており、その同一性に違和感を覚えたという。
そのためこの施設では、地域に根差した文化会館を作りたいと考え、従来の無駄にでかいホールを設けるのではなく、地域規模に合った「ヒューマンスケールのホール」を設計している。
建築自体としては、上の写真を見る限り、円形の平面を持った建築にも見えるが、実は円形ではなく、内部に収まる大ホールの「扇形」の曲線部分がそのまま外形に現れた外観となっている。
4.蕗谷虹児記念館【内井昭蔵】




- 設計:内井昭蔵建築設計事務所
- 竣工:1987年
- 用途:記念館
- 住所:新潟県新発田市中央町
- URL:公式ページ
蕗谷虹児記念館は、新潟県新発田出身の挿絵画家・蕗谷虹児(ふきやこうじ)の顕彰を目的として1987年に建設された施設である。
本施設の設計も、新発田市民文化会館・公民館と同様に「内井昭蔵」が務めている。
蕗谷虹児は、新聞連載小説の挿絵や『いっすんぼうし』『人魚姫』といった絵本の挿絵などを数多く手がけており、この記念館では、そういった蕗谷虹児作品の原画や遺品などを展示。
そして、内井昭蔵はこの記念館を「蕗谷虹児の姿をした建築にしたい」と考えて設計の臨んだ。
具体的には、蕗谷虹児という人物、そして彼の作品に「トワイライトゾーン(不可思議な事象や超常現象などの怪異が起こる時間)」的なものを内井昭蔵は感じ取り、そのイメージを表すには「ロシア正教会」の形態を用いるしかないと考えたそう。
この思想に基づいて設計された記念館は、まさしくロシア正教会建築を思わせる、荘厳な作りになっている。
5.新潟市民芸術文化会館【長谷川逸子】




- 設計:長谷川逸子・建築計画工房
- 竣工:1998年
- 用途:コンサートホール 劇場 能楽堂
- 住所:新潟市一番堀通町3-2白山公園内
- URL:公式ページ
新潟市民芸術文化会館は、音楽・舞台芸術の拠点として、1998年・新潟県新潟市に建設された大型複合施設である。
本施設の設計は、日本人女性として初めて大規模公共建築の設計を担当したとされる建築家「長谷川逸子」が担当。
建築は、上空から見ると卵型の形状をしており、緑化された屋上庭園を何十本もの「樹状柱」が支える構成となっている。
また全面に広がるガラスのファーサードは「ダブルスキン」となっており、その2枚のガラスの間には「アルミスクリーン」が設置されている。
このアルミスクリーンによって、全面ガラス張りであっても日射を適度に遮ることができるというわけだ。
6.小林古径邸【吉田五十八】




- 設計:吉田五十八
- 竣工:1934年
- 用途:住宅
- 住所:新潟県上越市本城町
- URL:公式ページ
小林古径邸は、日本画家・小林古径の住まいとして1934年に建設された建物で、現在はその小林古径邸を移築・復元した建築物が、新潟県上越市の高田城址公園内に建てられている。
本施設の設計は、住宅作品を中心に、昭和期の日本建築界をリードしたと言われる建築家「吉田五十八」が担当。
建築としては、日本伝統様式である「数奇屋造り」を近代化した「近代数奇屋建築」となっており、吉田五十八・初期の代表作としても名高い。
具体的には、壁面に柱梁を露出させる「真壁」ではなく、壁面に柱梁を隠す「大壁」を採用するなどして、日本伝統の「数奇屋造り」をより簡素化したような建築空間となっている。
吉田五十八が生涯で数多く手がけた「近代数奇屋建築」の先駆けとなった作品である。
7.くびき駅【毛綱毅曠】
- 設計:毛綱毅曠
- 竣工:1996年
- 用途:駅舎
- 住所:新潟県中頸城郡頸城村
- URL:参考ページ
くびき駅は、新潟県上越市頸城区手島に建つ「北越急行ほくほく線」の駅舎建築である。
本施設の設計は、安藤忠雄・渡辺豊和らと共に「関西の三奇人」と呼ばれた建築家「毛綱毅曠」が担当。
「半卵型ドーム状」をした独特の形状と、宇宙船のようなメタリックな素材で覆われた外観が象徴的な建築となっており、内部も真っ黒の壁で覆われた宇宙的な空間となっている。
毛綱毅曠は、宇宙をイメージしたかのような建築を数多く手がける建築家としても知られているが、このくびき駅はとくにその「宇宙的イメージ」が強く反映されている作品だ。
もはや建築かどうかも分からない外観ではあるが、「これぞ奇人毛綱毅曠!」といった作品になっている。
8.新潟市美術館【前川國男】




- 設計:前川國男
- 開館:1985年
- 用途:美術館
- 住所:新潟県新潟市中央区西大畑町
- URL:公式ページ
新潟市美術館は、1985年に開館した、新潟市中央区西大畑町に建つ市立美術館である。
本施設の設計は、日本建築界の大巨匠「前川國男」が担当。
前川國男建築には「赤レンガ風タイル」を使用した作品が多いが、ここでは「オリーブ・グリーン色のタイル」が使用されており、あらゆる季節の風景に馴染みつつ、年を経るごとに味が出てくる魅力的な外観となっている。
また、この建築は前川國男が亡くなる前年に開館しており、前川國男最晩年の作品としても知られている。
9.天寿園瞑想館【村野藤吾】




- 設計:村野藤吾
- 竣工:1988年
- 用途:瞑想室 ホール
- 住所:新潟市清五郎字鍋潟
- URL:公式ページ
天寿園瞑想館は、中国庭園と日本庭園からなる観光庭園「天寿園」の中に建つ、瞑想を目的とした施設である。
本誌越の設計は、現在の商業建築界に多大なる影響を与えたと言われる建築家「村野藤吾」が担当。
この建築は、村野藤吾の死後に建設され建物であるが、デザイン自体は村野藤吾が以前、別のプロジェクトで考えていたものが採用されている。
建築としては、5枚の花弁が水に浮いたような平面形状をしており、花弁の部分に「瞑想室」、5枚の花弁が集まる中央部に「ホール」が配置された構成となっている。
10.朱鷺メッセ【槇文彦】




- 設計:槇文彦+槇総合計画事務所
- 竣工:2003年
- 用途:集会場 展示場
- 住所:新潟県新潟市万代島
- URL:公式ページ
朱鷺メッセは、展示場・ホテル・会議室など複数の機能を備えた、新潟県新潟市に建つ超大型複合施設である。
本施設の設計は、日本建築界の大巨匠「槇文彦」が担当。
写真左の「新潟コンベンションセンター」と、写真右の「万代島ビル」の2棟によって構成されている。
建築としては、垂直性の際立った万代島ビルと、水平性の際立った新潟コンベンションセンターの対比が魅力的な建築物となっており、その両者の建物を覆うガラスと金属の表層が前面の水面と共鳴し、スタイリッシュな外観を形成している。
11.潟博物館(ビュー 福島潟)【青木淳】




- 設計:青木淳建築計画事務所
- 竣工:1997年
- 用途:博物館・歩道橋
- 住所:新潟県豊栄市前新田字新々囲
- URL:公式ページ
潟博物館(ビュー 福島潟)は、新潟市最大の潟「福島潟」のそばに建つ、博物館やカフェなどを備えた交流施設のことである。
設計は、ルイ・ヴィトンの店舗を数多く手がけることで知られる建築家「青木淳」が担当。
本施設のコンセプトは「動線体」であり、螺旋状のスロープという「動線」自体が空間として成立し、観光客に多様な活動をもたらす豊かな空間が形成されている。
潟博物館の詳細については、以下の記事をご覧ください。




12.遊水館【青木淳】




- 設計:青木淳建築計画事務所
- 竣工:1997年
- 用途:プール
- 住所:新潟県豊栄市前新田字新々囲
- URL:公式ページ
遊水館は「潟博物館」と共に福島潟整備事業の一環として建設された、プール専用施設である。
施設内には、流水プール・屋内スライダー・ジャグジープールなどいろんな種類のプールがあり、大人から子供まで楽しめる施設となっている。
本施設を設計も、潟博物館と同様に「青木淳」が担当。
建築としては、「逆円錐台形」の形態が独特な外観を形成しつつ、その建物にガラス張りの「ブリッジ」が貫通することによって内部空間に動的な変化を付与した構成となっている。
そして、そのブリッジは屋内ではプールの真上を通っており、ガラス越しにプールを覗けるおもしろい空間構成を成している。
13.新潟市秋葉区文化会館【新居千秋】




- 設計:新居千秋都市建築設計
- 竣工:2013年
- 用途:多目的ホール
- 住所:新潟県新潟市秋葉区新栄町
- URL:公式ページ
新潟市秋葉区文化会館は、コンサート・演劇・講演会など、様々なイベントに活用可能な多目的ホールを有する、新潟県新潟市秋葉区に建つ文化会館である。
本施設の設計は、日本各地で数多くの公共建築を手掛ける建築家「新居千秋」が担当。
建築としては、中央に設けられた大ホールを中心に、ロビー・楽屋・屋外通路といった諸々の要素がホールに絡みつくように配置され、その絡みつく様子が外観にも表れた象徴的な建築物となっている。
また、内部のホールは「里山内の洞窟」に着想を得て設計されており、音響解析によって形態が決められたコンクリートの構造体がそのまま仕上げとして表現されており、まさに洞窟内のような重厚感のある空間が形成されている。
14.長岡リリックホール【伊東豊雄】




- 設計:伊東豊雄建築設計事務所
- 竣工:1996年
- 用途:コンサートホール 劇場
- 住所:新潟県長岡市寺島町
- URL:公式ページ
長岡リリックホールは、コンサートホール・シアター・スタジオなど複数の機能を内包する、新潟県長岡市に建つ芸術文化複合施設である。
本施設の設計は、日本を代表する建築家「伊東豊雄」が担当。
施設の全体像としては、楕円型平面を持つ「コンサートホール」と矩形型平面を持つ「シアター」という高さのある2棟がそびえたち、それ以外の機能は「3次曲面を持つ大屋根」によって覆われた構成となっている。
この大屋根は、周囲の山々や丘といったランドスケープと連続するように低くしなやかに伸びており、内部の人々を包み込むような優しい空間を作り出している。
15.新潟市江南区文化会館【新居千秋】




- 設計:新居千秋都市建築設計
- 竣工:2012年
- 用途:劇場・図書館・公民館
- 住所:新潟市江南区茅野山
- URL:公式ページ
新潟市江南区文化会館は、図書館・公民館・郷土資料館・ホールという4つの機能が複合された、新潟市港南区に建つ複合文化施設である。
設計は、劇場建築の大家として知られる建築家「新居千秋」が担当。
本施設は、劇場ホールが入る高さのある部分を「コンクリート」、それ以外の低層部分を「銅板」で仕上げたコントラストのある構成が象徴的な外観を作り出している。
また、内部空間は「十字ストリート」と呼ばれる回廊空間によって空間が4分割されており、そこに図書館・公民館・郷土資料館・ホールという求めらた4つの機能を当てはめるという、非常に明快な構成になっている。
16.十日町情報館【内藤廣】
- 設計:内藤廣建築設計事務所
- 竣工:1999年
- 用途:図書館
- 住所:新潟県十日町市西本町
- URL:公式ページ
十日町情報館は、2013年公開の映画「図書館戦争」の舞台にもなった、新潟県十日町市に建つ公共図書館である。
設計は、木材をふんだんに使用した建築物を数多く手がけることで知られる建築家「内藤廣」が担当。
本施設は、アーチ状の曲線を描く「コンクリートの梁」が象徴的な外観を作り出しており、この梁は内部空間に柔らかさと重厚感をもたらしている。
また、内部空間では、一般開架スペースが中心性部分から四方に広がるように階段状に展開されており、来館者の好奇心を刺激し、散策したくなるような空間デザインとなっている。
17.図書館等複合施設「まちやま」【隈研吾】




- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:2022年
- 用途:図書館・ミュージアム・カフェ
- 住所:新潟県三条市元町
- URL:公式ページ
図書館等複合施設「まちやま」は、図書館・ミュージアム・カフェなど複数の機能を内包する、新潟県三条市にたつ複合施設である。
本施設の設計は、新国立競技場や浅草文化観光センターなど、木材を使用した和風建築を数多く手がけることで知られる建築家「隈研吾」が担当。
本施設でも、外壁を新潟県産のスギ材を利用したルーバーによって外壁を覆っており、木材のぬくもりを感じられる豊かな空間を作り出している。
また、建物中央には前後に存在する広場を接続する「通りドマ」という半屋外空間が設けられており、周辺環境を活かしつつ、人々を施設内へ吸い込むような優れた構成となっている。
18.上越市立水族博物館【日本設計】




- 設計:日本設計
- 竣工:2018年
- 用途:水族博物館
- 住所:新潟県上越市五智
- URL:公式ページ
上越市立水族博物館は、新潟県上越市の日本海沿岸に建つ、80年以上の歴史を持った水族博物館である。
現在建つ建物は、2018年に建設されたもので、なんと6代目の施設となる。
本施設の設計は、日本の大手組織設計事務所「日本設計」が担当。
建築としては「ガラスの箱」とその上に浮く「大屋根」という構成が印象的な外観を作り出しており、箱と大屋根の間にはイルカショースペースやテラス、日本海大水槽といった要素が配置され、日本海を望みながら鑑賞もできる空間となっている。
このテラスから日本海側を見ると、水槽の水に日本海や大空の青が映り込み、まるで水族館・海・大空が接続したかのような不思議な体験ができる。
19.ゑしんの里記念館【池原義郎】




- 設計:池原義郎・建築設計事務所
- 竣工:2005年
- 用途:資料館・廟所
- 住所:新潟県上越市板倉区米増
- URL:公式ページ
ゑしんの里記念館は、越後にゆかりのある浄土真宗の宗祖・親鸞の妻「恵信尼」に関する資料を展示することを目的として、2005年に建てられた資料館建築である。
本施設の設計は「西武遊園地」や「西武ドーム」など数多くの大型公共施設を設計したことで知られる建築家「池原義郎」が担当。
本施設は、低く水平性を強調した建物構成と、直線の中に一つまぎれる緩やかな曲面を描いた屋根によって、落ち着きつつも躍動感を感じる魅力的な外観が作り出されている。
また、建物前面には月見台のある水盤が設置されており、水盤に水平性のある建物が映り込む様子からは、谷口吉生の代表作「豊田市美術館」との共通点を感じる。
20.新潟県立自然科学館【石本建築事務所】
- 設計:石本建築事務所
- 竣工:1981年
- 用途:博物館
- 住所:新潟県新潟市中央区女池南
- URL:公式ページ
新潟県立自然科学館は、宇宙・天体・自然など幅広い科学に関する展示を行う、新潟県新潟市に建つ県立科学館である。
本施設の設計は、日本の組織設計事務所「石本建築事務所」が担当。
建築はシンメトリーな形態を持った重厚感のある構成が特徴的だが、これは「科学の方舟」をイメージしてデザインされており、そういわれてみると所々に見られる曲面などからは、船の形態が想起される。
また、本施設の南側には、大階段と屋上広場が設置されているが、その空間展開は、もはや船上そのままである。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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