青木淳とは?
- 1956 神奈川県に生まれる
- 1980 東京大学工学部建築学科卒業
- 1982 東京大学大学院工修士課程修了
- 1982 磯崎新アトリエ勤務
- 1991 青木淳建築計画事務所設立
青木淳は、住宅から商業建築・美術館など幅広い建築作品を手掛ける建築家である。
特に、日本や海外に建つルイ・ヴィトンの外装設計をいくつも担当しており、建築界ではルイ・ヴィトンと言えば青木淳というイメージも定着している。
また、青木淳の著書「原っぱと遊園地」では独自の建築論を示しており、建築の在り方について新たな議論の火種となった。
今回はこのような特徴を持つ建築家「青木淳」の代表作10選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家青木淳の建築作品10選
1.青森県立美術館





- 住所:青森県青森市大字安田字近野185
- 竣工:2005年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
青森県立美術館は、世界遺産でもある「三内丸山縄文遺跡」のすぐ隣に建つ美術館である。
コンセプト「三内丸山縄文遺跡との一体性」
このようなコンセプトを基に、青森が誇る「三内丸山縄文遺跡」の荒々しさを表現した「土の空間」と、その上にかぶさるように存在する「白い空間」がかみ合うに配置された建築物が完成している。
正直言葉だけで説明するのは難しい建築である。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。




2.潟博物館(ビュー 福島潟)




- 住所:新潟県豊栄市前新田字新々囲
- 竣工:1997年
- 用途:博物館・歩道橋
- URL:公式ページ
潟博物館(ビュー 福島潟)とは、新潟市最大の潟「福島潟」のそばに建つ、博物館やカフェなどを備えた交流施設のことである。
コンセプト「動線体」
このコンセプトを基に、螺旋状スロープという「動線」自体が空間として成立し、観光客に多様な活動をもたらす魅力的な施設が完成している。
潟博物館についても、詳細については以下の記事をご覧ください。




3.遊水館




- 住所:新潟県豊栄市前新田字新々囲
- 竣工:1997年
- 用途:プール
- URL:公式ページ
遊水館は、潟博物館と共に福島潟整備事業の一環として建設された、プール専用の施設である。
施設内には「流水プール」や「屋内スライダー」「ジャグジープール」などいろんな種類のプールがあり、大人から子供まで楽しめる施設となっている。
建築としては、逆円錐台形の建物と、その建物を貫通しているブリッジが特徴的だ。
そして、そのブリッジは屋内ではプールの真上を通っており、ガラス越しにプールを覗ける構成となっている。
4.馬見原橋




- 住所:熊本県阿蘇郡蘇陽町
- 竣工:1995年
- 用途:橋
- URL:公式ページ
馬見原橋は、熊本と宮崎県の県境に建設された全長約40mの橋建築である。
この橋の面白いところは、橋が上下で2本に分かれていることである。上は車と歩行者用、下は歩行者専用の橋となっており、まるで唇のような外観を作り出す。
さらに、下側の歩行者専用の橋には、途中2カ所に直径2~3m程の穴が開いており、下がのぞき込めるようになっている。
まるでアスレチックのような、人間の好奇心を刺激する橋である。
5.杉並区大宮前体育館




- 住所:東京都杉並区南荻窪2-1
- 竣工:2014年
- 用途:総合屋内運動場(体育館・プール)
- URL:公式ページ
杉並区大宮前体育館は、元々大宮前小学校があった敷地に建てられた体育施設である。
体育施設はを普通に建設するとなると一般的には「12~15m程度」の高さの建物が必要となる。しかし敷地周辺は、ごく一般的な住宅街で、そんな高い建物を建ててしまうと景観が乱れる恐れがある。
そこで青木淳氏は、体育館やプールといった必要機能を地下2階のレベルまで落とし、施設の大半を地下に埋める提案をした。
この提案によって、地域住民を威圧せず、親しみ深い体育施設が完成している。
6.ルイ・ヴィトンメゾン大阪御堂筋




- 住所:大阪府大阪市中央区心斎橋2-8-16
- 竣工:2019年
- 用途:物販店舗 飲食店 ホール 事務所
- URL:公式ページ
ルイ・ヴィトンメゾン大阪御堂筋は、青木淳氏が外装設計を担当した大阪に建つルイ・ヴィトンの店舗である。
コンセプト「ガラスによる帆のような柔らかさの実現」
青木淳氏は、大阪がかつて水運によって発展した都市であるという事実を基に、海に浮かび風を受けた「帆」をイメージして外観を設計したという。
この発想も面白いが、さらに面白いのが、この帆のような物体が実はガラスでできているという事である。ガラスでここまで滑らかな「帆」を再現するとは驚きである。
7.ルイ・ヴィトン表参道ビル




- 住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5
- 竣工:2002年
- 用途:物販店舗 事務所 理髪店
- URL:公式ページ
同潤会青山アパートの存在によって、商業と住居が複雑に入り混じる特異な街並みが形成された表参道。
その世界的に見ても特殊な街に建つのが、このルイ・ヴィトン表参道店である。
コンセプト「機能に先行する空間の質」
このようなコンセプトを基に、ある一つの決定ルールによって構築された建築物が表参道の街と呼応し、魅力的な空間を形成している。
建築について詳しくは以下の記事をご覧ください。




8.ルイ・ヴィトン銀座並木通り




- 住所:東京都中央区銀座7-6-1
- 竣工:2004年
- 用途:物販店舗 事務所
- URL:公式ページ
ルイ・ヴィトン銀座並木通り店は、銀座の並木通りという高級店舗が軒を連ねる場所に建てられたルイ・ヴィトンの店舗である。
この並木通りにある多くの建築では、石が豊富に使われていた。
その様子を見た青木淳氏は、この格式のある質感を踏襲するために外装をGRC(ガラス繊維補強コンクリート)に白い大理石を埋め込んだパネルによって覆った。
さらに、GRCに埋め込まれた白い大理石は、夜になり裏側から照明で照らされると、光の塊となって外観に浮かび上がる。
9.ルイ・ヴィトン香港ランドマーク




- 住所:G/F SHOP 7-17 LANDMARKATRIUM CENTRAL HONG KONG
- 竣工:2005年
- 用途:店舗
- URL:公式ページ
ルイ・ヴィトン香港ランドマーク店は、香港島中環に建つルイ・ヴィトン店舗である。
香港の古いアパートの窓には、防犯のために細い鉄格子が付けられている。
香港の住人からすれば、何も特別なものではないのかもしれないが、青木淳氏はその鉄格子に中国によくある繊細な「鳥籠」の様子を重ね合わせて魅力を感じたという。
そこで、その「鉄格子」あるいは「鳥籠」的要素を建築に落とし込むために、外装を何枚もの「縦ルーバー」で構成することにした。
10.ルイ・ヴィトン・ニューヨーク




- 住所:LOUIS VUITTON NEW YORK NEW YORK, U.S.A
- 竣工:2004年
- 用途:店舗
- URL:公式ページ
ルイ・ヴィトン・ニューヨークは、ニューヨークでも重要な交差点に建つ1930年に建てられた「ニューヨーク・トラスト・カンパニー・ビル」の下層部に配置されたルイ・ヴィトンの店舗である。
この建物の建設当時は、ヒュー・フェリスという建築家が描いた「水晶のような結晶の塊でできたスカイクレーパー(超高層建築物)」のドローイングが注目を集めており、そのドローイングに強く影響を受けてこの建物が建てられた。
そこで青木淳氏は、そのドローイングを70年の時を超え実現しようと試みた。
その結果完成したのは、透明な部分と半透明な部分がグラデーションを作り出す水晶のような外装デザインである。
青木淳の作品集など








今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、青木淳が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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