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潟博物館(ビュー 福島潟)【青木淳】

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潟博物館(ビュー 福島潟)とは?

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潟博物館(ビュー 福島潟)とは、新潟市最大の潟「福島潟」のそばに建つ、博物館やカフェなどを備えた交流施設のことである。

設計を務めたのは日本を代表する建築家青木淳。

コンセプト「動線体」

このコンセプトを基に、螺旋状スロープという「動線」自体が空間として成立し、観光客に多様な活動をもたらす魅力的な施設が完成している。

青木淳とは?

  • 1956 横浜市に生まれる
  • 1980 東京大学建築学科卒業
  • 1982 同大学大学院修士課程修了
  • 1982 磯崎新アトリエ勤務
  • 1991 青木淳建築計画事務所設立

青木淳は、住宅から公共施設まで、あらゆる建築作品を手掛ける日本の建築家である。

代表作としては、「青森県立美術館」「ルイ・ヴィトン表参道ビル」などが挙げられる。

また、著書「原っぱと遊園地」などを中心にあらゆる独創的な建築論を展開しており、思想家としても有名である。

建築の特徴

photo by scarletgreen/CC BY 2.0

潟博物館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 潟に隣接する交流施設
  2. 螺旋で生まれる活動と景色の変化
  3. 動線体としての建築
  4. 目的の消失で生まれる自由

潟に隣接する交流施設

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潟とは、遠浅の海岸で、満潮の時には隠れ、潮が引くと現れる場所のことを言う。

新潟県は名前の通り、潟が多いことで有名である。

その中でも新潟市最大の潟「福島潟」のほとりに、潟を感じ、人が交流できる施設が計画された。

螺旋で生まれる活動と景色の変化

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設計者である青木淳は、周辺に広がる潟を感じながら様々な活動を可能とする施設を考えた結果、螺旋というシステムを採用することにした。

建物全体を螺旋状のスロープで構成することで、人々の多様な活動を誘発しつつ、スロープを上るにつれて、変化する景色を楽しめる空間が完成している。

動線体としての建築

この螺旋状のスロープはいわば「動線体」である。

本来、部屋(目的)と部屋(目的)を接続するために存在する「動線」。

しかし、潟博物館では部屋という目的が消失し、動線だけで空間が構成されているのである。

目的の消失で生まれる自由

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この目的の消失は、ここを訪れる人々に自由を与える。

目的を持たない空間は、そこを利用する人に利用方法を委ねる。

結果的に、青木淳氏が著書『原っぱと遊園地』で提唱するような、自由な活動を誘発する「原っぱ」的な空間が成立する。

建築概要

  • 所在地:新潟県豊栄市
  • 竣工 :1997年6月
  • 用途 :博物館・歩道橋
  • 構造 :SRC造、RC造、S造
  • 階数 :地下1階 地上7階
  • 設計 :青木淳建築計画事務所
  • 構造 :金箱構造設計事務所
  • 設備 :環境エンジニアリング
  • 施工 :加賀田・天野・鈴木・豊特定共同企業体
  • URL :http://www.pavc.ne.jp/~hishikui/

最後に・・・

以上が潟博物館(ビュー福島潟)の特徴でした。

従来の部屋と部屋をつなぐためだけの存在だった動線を「動線体」として展開することで、観光客に自由をもたらす構成が魅力的な空間になっていたと思います。

ご覧いただきありがとうございました。

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