毛綱毅曠とは?
- 1941 北海道釧路市に生まれる
- 1965 神戸大学工学部建築学科卒業
- 1978 毛綱毅曠建築事務所を設立
- 2001 死去(59歳)
毛綱毅曠は、前衛的な建築を設計することから、安藤忠雄・渡辺豊和らと共に「関西の三奇人」と呼ばれた建築家である。
代表作としては「反住器」「釧路市立博物館」「石川県能登島ガラス美術館」など前衛的な作品が挙げられ、基本的にはポストモダンをリードした建築家として知られている。
また、本名は「毛綱一裕」であるが、建築家としてデビューした当時は「毛綱モン太」という名前で活動しており、さらに1978年には「毛綱毅曠」に戸籍名を変更しており、名前がよく変わる建築家としても知られている。
今回は、そんな謎多き建築家「毛綱毅曠」の建築作品6選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家毛綱毅曠の建築作品6選
1.反住器
- 住所:北海道釧路市富士見1丁目5-1
- 竣工:1972年
- 用途:住宅
- URL:参考ページ
反住器は、毛綱毅曠の母親の住まいとして1972年に建設された住宅建築である。
この建築は、立方体のボリュームに幾何学的な形態のガラス窓が組み合わされた外観が印象的だが、実は最大の特徴は外観ではない。
実はこの建築は「入れ子状」となっており、外観を成す「8m角の立方体」の建築の中に「4m角の立方体」の居室が入っており、さらにその居室の中には「1.7m角の立方体」の家具が設置されている。そして、この3つの立方体は、大きさは違えどすべて同じ形態をしているのである。
この構成は、モダニズムの「形態は機能に従う」という基本概念を否定するために、「入れ子」という形態を重視した結果として採用された構成となっている。
2.釧路市立博物館

- 住所:北海道釧路市春湖台1-7
- 竣工:1984年
- 用途:博物館+埋蔵文化財センター
- URL:参考ページ
釧路市立博物館は「釧路市埋蔵文化財調査センター」を併設する形で、1984年・北海道釧路市に建設された博物館である。
冬季に「タンチョウ」が飛来することで有名な釧路市という敷地を考慮し、建築は「タンチョウが翼を広げた姿」をイメージして設計されたと言われている。
この建築は、1984年に「日本建築学会賞」を受賞しており、毛綱毅曠の代表作としても知られている。
3.釧路フィッシャーマンズワーフMOO/EGG








- 住所:北海道釧路市錦町2
- 竣工:1989年
- 用途:旅客ターミナル・商業施設
- URL:参考ページ
釧路フィッシャーマンズワーフMOO/EGGは、1989年・北海道釧路市に建設された複合商業施設である。
施設全体としては「商業施設のMOO」「全天候型植物園のEGG」の2つの棟で構成されており、その2つの棟が前面に流れる釧路川に沿うようにして配置されている。
建築としては、全面ガラス張りのドーム型建築「EGG」が特徴的だが、この内部は植物園となっており、寒さが厳しい釧路の冬であっても、人々が緑を堪能できる空間をつくることを目的として建設された。
また、商業施設が入る「MOO」の方の建築は、外観に鉄骨ウィングや鉄骨トラスなどが突き出しており、毛綱毅曠らしさが漏れ出ている。
4.石川県能登島ガラス美術館




- 住所:石川県鹿島郡能登島町向田125-10
- 竣工:1991年
- 用途:美術館
- URL:参考ページ
石川県能登島ガラス美術館は、ガラス工芸の展示を主目的として、1991年・石川県七尾市に建設された県立美術館である。
毛綱毅曠はこの施設全体を「枯山水」に見立てて設計しており、敷地全体を枯山水の庭、その庭に点在する建築群を「石」に置換して考えたそう。
そして、この分散配置された建築群をスロープや階段、回廊などをで結ぶことによって、様々なシークエンスを楽しめる施設が作り出されるというわけだ。
また、建築自体も毛綱毅曠らしさがあふれ出た奇抜なデザインとなっており、中央のコロッセオのような形態を持った棟は「翼」を、左奥の棟は「笛」をイメージして設計したという。
5.くびき駅








- 住所:新潟県中頸城郡頸城村大字手島1005
- 竣工:1996年
- 用途:駅舎
- URL:参考ページ
くびき駅は、新潟県上越市頸城区手島に建つ「北越急行ほくほく線」の駅舎建築である。
「半卵型ドーム状」をした独特の形状と、宇宙船のようなメタリックな素材で覆われた外観が象徴的な建築となっており、内部も真っ黒の壁で覆われた宇宙的な空間となっている。
毛綱毅曠は、宇宙をイメージしたかのような建築を数多く手がける建築家としても知られているが、このくびき駅はとくにその「宇宙的イメージ」が強く反映されている作品だ。
もはや建築かどうかも分からない外観ではあるが、「これぞ奇人毛綱毅曠!」といった作品になっている。
6.アンフォルメル中川村美術館




- 住所:長野県上伊那郡中川村大字大草美里
- 竣工:1989年
- 用途:美術館 彫刻館
- URL:参考ページ
アンフォルメル中川村美術館は、1950年代にフランスを中心に興った「アンフォルメル」という抽象芸術を専門的に扱う施設として、1989年に建設された美術館である。
平屋建てでできたこの美術館は、入る機能ごとに建物が分節されており「美術館棟」「彫刻棟」「便所棟」「シンボルタワー」といった具合に4つの棟に分節され、構造も部分ごとに異なっている。
毛綱毅曠はこの建築で、機能や形態を最小単位まで分解し、その分解して生まれた単体にそれぞれ別の構造(鉄骨造・コンクリート造・木造など)を与えることによって「アート宇宙」という空間を作り出そうとしたらしい。
毛綱毅曠の関連書籍
今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、毛綱毅曠が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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