皆さんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、ルイス・カーンを師事した建築家「新居千秋」の建築作品6選をご紹介したいと思います。
デジタルツールを駆使して、複雑な建築空間を生み出す現代建築家です。
是非最後までご覧ください。
新居千秋(あらいちあき)とは?
新居千秋の経歴
- 1948年 島根県に生まれる
- 1971年 武蔵工業大学工学部建築学科卒業
- 1973年 ペンシルベニア大学大学院芸術学部建築学科修了
- 1973年 ルイス・カーン建築事務所
- 1974年 G.L.C
- 1977年 武蔵工業大学講師
- 1979年 東京理科大学講師
- 1980年 新居千秋都市建築設計設立
- 1998年 ペンシルベニア大学客員教授
- 2008年 東京都市大学教授
新居千秋は、ペンシルベニア大学の大学院を修了後、アメリカの建築家「ルイス・カーン」の下で経験を積み、現在は自身の事務所を設立して設計活動を行っている建築家である。
代表作には、日本建築学会賞作品賞を受賞した「黒部市国際文化センター」や、妻木頼黄設計の倉庫建築を改修した「横浜赤レンガ倉庫」などが挙げられる。
また、新居千秋は、RhinocerosやGrasshopperといった最新のデジタルツールを積極的に用いて設計を行う建築家としても知られており、手作業では難しい複雑で有機的な空間をいくつも生み出している。
この設計スタイルが最大限に発揮されるのが、文化会館や劇場などの「大ホール」を有する建築物であり、実際、新居千秋の代表作にはホール建築が数多く挙げられる。
新居千秋の建築作品6選
1.水戸市立西部図書館
- 設計:新居千秋
- 住所:茨城県水戸市堀町
- 竣工:1992年
- 用途:図書館
- URL:公式ページ
水戸市立西部図書館は、1992年、茨城県水戸市に建設された公立図書館である。
建物全体は、図書館の中核となる「大きな円形の棟」と、その周りに付随する形で配置された複数の「家型の棟」、そして建物全体を囲うようにして設置された「楕円形の柱廊」という3つの要素によって構成されている。
さらに、写真ではわかりづらいが、円形の棟の天井部分はドーム型となっており、楕円形の柱廊と合わせて、西洋の古典建築を想起させるような荘厳な作りになっている。
また、本施設は、映画『図書館戦争』のロケ地として利用されたことでも一時期話題になった。
2.黒部市国際文化センター コラーレ
- 設計:新居千秋
- 住所:富山県黒部市三日市20
- 竣工:1995年9月
- 用途:劇場 レストラン 展示など
- URL:公式ページ
黒部市国際文化センター コラーレは、大ホール・展示室・レストランなどの様々な機能で構成される、富山県黒部市に建つ複合文化施設である。
建物全体は、中央の人工池を囲うようにして「コの字型」に各機能が配置された構成になっており、池沿いには列柱によってアーケードのような空間が生み出されている。
一方で、大ホールが棟には「円筒型」、展示室が入る棟には「逆四角錐型」が用いられており、どこかポストモダンの残り香を感じられる構成にもなっている。
3.横浜赤レンガ倉庫
横浜赤レンガ倉庫は、明治から大正にかけて建設された煉瓦造りの歴史的建造物を、劇場・展示スペース・飲食店などが入る複合施設へと改修して生まれた、横浜港にある観光スポットである。
建物そのものの設計は、明治建築界三大巨匠の一人「妻木頼黄」が担当し、その建物の改修設計を「新居千秋」が担当している。
施設全体は、1号館と2号館の2棟によって構成されており、建物幅と同じくらいの広場を間に挟む形で、2棟が並列配置されている。
また、本施設は竣工当時、日本初の荷物用エレベーターや消火水栓を備えた最新鋭の建築物として建設されており、関東大震災では半壊してしまったものの、その後修復や耐震補強などが行われ現在まで受け継がれてきた。
4.大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホール
- 設計:新居千秋
- 住所:岩手県大船渡市盛町字下舘下
- 竣工:2008年
- 用途:劇場・図書館・マルチスペースなど
- URL:公式ページ
大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホールは、劇場と図書館を併設する形で2008年に竣工した、岩手県大船渡市に建つ複合公共建築である。
建築としては、全体がコンクリートで構成された量感・質感のある形態が特徴的だが、これは地域の名勝である「穴通磯(3つの穴が開いている岩)」をモチーフにしてデザインされている。
さらに、建物内部には、大船渡市が有する「リアス式海岸」の形状をイメージした、段状のコンクリート壁が広がっており、まるで洞窟内部のような不均質な空間が展開されている。
リアスホールという愛称も、この独特の形態が由来となっている。
5.由利本荘市文化交流館 カダーレ
- 設計:新居千秋都市建築設計
- 住所:秋田県由利本荘市東町15
- 竣工:2011年
- 用途:劇場 図書館 店舗
- URL:公式ページ
由利本荘市文化交流館 カダーレは、ホール・図書館・店舗など様々な機能が入った、秋田県由利本荘市に建つ複合文化施設である。
本施設最大の特徴は、なんといっても、建物上部に乗っかる重々しいコンクリートの量塊である。
この多面的な形状は、3次元上でデータの製図を行うことができるソフト「3DCAD」を用いて設計されており、現代の最先端技術をフルに活用した建築物となっている。
6.新潟市秋葉区文化会館
- 設計:新居千秋都市建築設計
- 住所:新潟県新潟市秋葉区新栄町
- 竣工:2013年
- 用途:多目的ホール
- URL:公式ページ
新潟市秋葉区文化会館は、コンサート・演劇・講演会など、様々なイベントに利用可能な多目的ホールを有する、新潟県新潟市秋葉区に建つ文化会館である。
建築全体は、中央に設けられた大ホールを中心として、ロビー・楽屋・屋外通路といった諸々の要素がホールに絡みつくように配置されている。
そして、その機能配置がそのまま外観の形態としても表れており、ダイナミックな外観を形成している。
また、内部のホール空間は「里山内の洞窟」に着想を得て設計されており、音響解析によって形態が決められたコンクリートの構造体が、そのまま仕上げとして表現されており、まさに洞窟内のような重厚感のある空間が生み出されている。
新居千秋の関連書籍
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。