原広司とは?
- 1936 神奈川県に生まれる
- 1959 東京大学工学部建築学科卒業
- 1964 東京大学大学院博士課程修了
- 1970 アトリエ・ファイ建築研究所と協働開始
- 1982 東京大学生産技術研究所教授
- 1999 原広司+アトリエ・ファイ建築研究所設立
原広司は、住宅建築から美術館やドーム建築まで、幅広い建築作品を手掛ける日本を代表する建築家である。
代表作には「札幌ドーム」や「梅田スカイビル」などがあり、建築に詳しくない人でも知っているような大規模建築を多く手がけている。
さらに、世界各地の集落を調査・研究したことでも知られており、その研究結果をまとめた著書『集落の教え100』は、建築家を目指す者なら一度は読んだことのある名著となっている。
今回は、そんな建築家原広司の建築作品10選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家原広司の建築作品10選
1.梅田スカイビル





- 住所:大阪府大阪市北区大淀中1
- 開館:1993年
- 用途:オフィス 店舗
- URL:公式ページ
梅田スカイビルは、大阪府大阪市北区大淀中に建つ、高さ173mの超高層ビルである。
コンセプト「都会の中にオアシスを」
このコンセプトを基に、2つの棟をつなぐようにして、大きな「空中庭園展望台」を設けるという、前例のない構成を持った建築物が完成している。
さらに、梅田スカイビルでは、2つの棟を建てた後に空中庭園部分を地上で組み立て、ワイヤーロープで吊り上げるという「リフトアップ工法」を世界で初めて採用されたことでも有名である。
梅田スカイビルでリフトアップ工法が実施された後に「東京スカイツリー」や「ナゴヤドーム」など、多くの建築でこの工法が使用されるようになった。




2.京都駅ビル








- 住所:京都府京都市下京区鳥丸通塩
- 開館:1952年
- 用途:駅施設・ホテル施設・商業施設など
- URL:公式ページ
京都駅ビルは、日本の文化観光都市「京都」の玄関口となる駅舎である。
内部には、駅、ホテル、商業施設、文化施設、広場などを備え、駅舎としては国内最大規模のターミナルビルとなっている。
中央ガラス張りのコンコースが最大の特徴で、内部ではまるで空港のような大規模アトリウム空間が展開されている。
3.札幌ドーム








- 住所:札幌市豊平区羊ヶ丘1番地
- 開館:2001年
- 用途:サッカー場 野球場 多目的觀覽場
- URL:公式ページ
札幌ドームとは、北海道札幌市に建つ、サッカーと野球兼用のドーム型スタジアムである。
このドーム最大の特徴は、用途に合わせて天然芝がドームから出し入れされる「ホヴァリングシステム」というのが世界で初めて採用されている点である。
2枚目の写真を見ていただけるとわかるが、ドームの前に天然芝でできたサッカーフィールドが設置されており、サッカーの試合が開催される際はこのフィールドがドーム内に移動する仕組みになっている。
4.ヤマトインターナショナル東京本社ビル




- 住所:東京都大田区平和島5-1-1
- 開館:1986年
- 用途:オフィス
- URL:公式ページ
ヤマトインターナショナル東京本社ビルは、東京都大田区の「平和の森公園」に沿うようにして建つ、アパレルメーカー「ヤマトインターナショナル」の本社ビルである。
ヤマトインターナショナルは、東京都と大阪府に2つ本社を持っており、その東京本社ビルは原広司設計で建設された。
建築としては、規則的にも不規則的にも見える複雑な外観が特徴的だが、これは原広司が長年の調査で得た「集落」的な要素を組み込んだ結果現れた形態だと言われている。
この特徴的な外観は「軍艦に似ている」ともよく言われる。
5.越後妻有交流館「キナーレ」




- 住所:新潟県十日町市本町6丁目
- 開館:2003年
- 用途:展示 集会 工房 店舗 温泉施設
- URL:公式ページ
越後妻有交流館「キナーレ」は、新潟県十日町市に建つ、温泉や店舗などが入った複合施設である。
建築としては、上の写真に映っている「大きな池を持った中庭空間」が最大の特徴で、原広司氏はここで「あずまやのような建築」を作ろうと考えたそう。
実際、この敷地の周辺には、電車が通っていたり、住宅街だったりして、外側の環境に期待できることが少なかったため「大きな池を持った中庭」を設けるということは、かなり合理的な構成にもなっている。
6.みなと交流センター




- 住所:愛媛県今治市片原町1-100-3
- 開館:2015年
- 用途:事務所 飲食店
- URL:公式ページ
みなと交流センターは、愛媛県今治市の瀬戸内海に面する位置に建つ、待合所・飲食店などからなる交流センターである。
この建築で原広司氏は、明確に「船のような建築」を目指して設計を行っている。
なぜ船のような建築を目指したかというと、今治がかつて「日本最大の海事都市」と言われたほど海事産業が栄えていたという歴史を考慮したためである。
ここまでコンセプトと完成形が一致している建築も珍しい。
7.宮城県図書館








- 住所:宮城県仙台市泉区紫山
- 開館:1998年
- 用途:図書館
- URL:公式ページ
宮城県図書館は、宮城県仙台市に建つ県立図書館である。
建築としては、全長約200m・幅約30mのチューブ状のボリュームが、地形に橋のように架けられた構成が特徴的。
そのチューブ状ボリュームの内部空間では、開架書庫と閲覧室が本屋街のように並んだ、街路のような空間が形成されている。
8.飯田市美術博物館








- 住所:長野県飯田市追手町
- 開館:1988年
- 用途:美術博物館
- URL:公式ページ
飯田市美術博物館は、長野県飯田市に建つ、美術館と博物館を併設した施設である。
建築としては、ごつごつとした「集落の複雑性」を思わせるような大屋根が特徴的だが、原広司氏はこの大屋根を「南アルプス」をイメージして設計したという。
さらに、その南アルプスの大屋根の下には、たくさんの柱が林立するロビー空間が広がっており、トップライトと合わさり自然的な空間がつくられている。
9.しもきた克雪ドーム




- 住所:青森県むつ市
- 開館:2005年
- 用途:体育館 観覧場
- URL:公式ページ
しもきた克雪ドームは、青森県むつ市に建つ、地域住民が各種スポーツやイベントを屋内で行えるようにと建設された施設である。
施設全体としては、人工芝で仕上げられたフィールドを持つ「ドーム棟」と、プールやアスレチックジムの入った「センターハウス棟」の2棟で構成されている。
ドーム棟は、円形の平面を持ったドームに見えるが、実は平面は108m×108mの正方形になっており、その正方形アリーナの上を二重膜の半球屋根が覆う形となっている。
10.相鉄文化会館




- 住所:神奈川県横浜市泉区緑園4-3-28
- 開館:1990年
- 用途:社員研修施設 ギャラリー スタジオ
相鉄文化会館は、神奈川県横浜市の通勤線沿線に建つ、社員研修のための「研修施設」とギャラリーやスタジオなどの「文化施設」からなる複合施設である。
5層からなる施設であるが、一般開放されているのは1層のみ。
しかしその一般開放される部分を4階に設け、一般客がその4階に至るまでの空間に「中庭」や「ピロティ」「ブリッジ」を設けることで、活発な施設の活用を促している。
建築としては、建物上部に設置された鉄骨トラスによる6枚の羽根のような構造物が特徴的で、周りの高層住宅から見下ろしたときに、建物を印象付ける効果を持っている。
原広司の著書など




今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、原広司が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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