長谷川逸子(はせがわいつこ)とは?
- 1941 静岡県に生まれる
- 1963 関東学院大学工学部建築学科卒業
- 1963 菊竹清訓建築設計事務所勤務
- 1971 東京工業大学篠原研究室勤務
- 1979 長谷川逸子建築計画工房設立
- 1992 ハーバード大学客員教授
長谷川逸子は、日本人女性として初めて「大規模公共建築(湘南台文化センター)」の設計を担当したとされる、日本を代表する建築家である。
今でこそ「妹島和世」や「乾久美子」といった、世界的に活躍する女性建築家が数多く存在しているが、その先駆けとなったのが「長谷川逸子」だ。
代表作としては「湘南台文化センター」「フルーツミュージアム」などが知られ、シンボリックな公共建築を日本各地に設計している。
今回は、そんな日本人女性建築家の先駆け「長谷川逸子」の建築作品6選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家長谷川逸子の建築作品6選
1.湘南台文化センター

- 住所:神奈川県藤沢市湘南台1-8
- 竣工:1989年
- 用途:こども館 市民センター 公民館
- URL:公式ページ
湘南台文化センターは、公民館・こども館・市民シアターなどからなる、神奈川県藤沢市に建つ複合文化施設である。
この建築の設計者を決めるにあたっては「公開コンペ」を実施。215作品もの応募がある中、長谷川逸子が1等に選ばれ「日本初の女性建築家が設計する公共建築」が実現することとなった。
建築としては、「宇宙儀(シアター)」「地球儀(プラネタリウム)」「月球儀(大気測定室)」「フラドーム(無線室)」の4つの球状構造物で構成され、未来的・宇宙的なイメージを持った施設になっている。
また、建築前面に広がる広場には「花びらのような形状をした小屋根群」が展開されており、回遊的な楽しい空間が形成されている。
この建築は、1980年代を中心に流行した「ポストモダニズム」の代表作としても知られている。
2.静岡大成中学校・高等学校








- 住所:静岡県静岡市鷹匠
- 竣工:2004年
- 用途:中学校・高等学校
- URL:公式ページ
静岡大成中学校・高等学校は、静岡市葵区鷹匠に建つ私立の学校施設である。
建築としては、直方体の基本ボリュームから複数の「箱型ボリューム」が突出した構成が特徴的で、この箱の中はホールや特別教室などが入っている。
さらに、この突出したボリュームは「テラス」や「庇」としても機能しており、外部と内部を仲介する役割を果たす構造物ともなっている。
3.フルーツミュージアム




- 住所:山梨県山梨市江曽原1488 笛吹川フルーツ公園
- 竣工:1995年
- 用途:博物館 観覧場 温室
- URL:公式ページ
フルーツミュージアムは、フルーツ王国と呼ばれる山梨県に建つ、温室・観覧場・展示室などからなる複合施設である。
それぞれの機能は、ガラスや鋼管フレームで囲まれた「3つのドーム型建築」に分けて配置されており、それぞれ「トロピカル温室」「くだもの工房」「くだもの広場」という名称がつけられている。
長谷川逸子はこの建築を「フルーツ」をイメージして設計しているらしく、そういわれると地面に3つの果物が落ちているようにも見えなくはない。
4.すみだ生涯学習センター








- 住所:東京都墨田区東向島2丁目38番7号
- 竣工:1994年
- 用途:生涯学習施設
- URL:公式ページ
すみだ生涯学習センターは、区民の文化活動や生涯学習活動の拠点として1994年に建設された施設である。
建築としては、建物全体を囲う「アルミパンチングメタル」のファサードが象徴的で、施設と街を緩やかに繋げる役割を果たしている。
また、建築の一部は「湘南台文化センター」でも見られた「球状の大きな構造体」が設置されており、内部にはプラネタリウムが設置されている。
5.新潟市民芸術文化会館




- 住所:新潟市一番堀通町3-2白山公園内
- 竣工:1998年
- 用途:コンサートホール 劇場 能楽堂 リハーサル室 ギャラリー
- URL:公式ページ
新潟市民芸術文化会館は、音楽・舞台芸術の拠点として、1998年・新潟県新潟市に建設された大型複合施設である。
建築は、上空から見ると卵型の形状をしており、緑化された屋上庭園を何十本もの「樹状柱」が支える構成となっている。
また全面に広がるガラスのファーサードは「ダブルスキン」となっており、その2枚のガラスの間には「アルミスクリーン」が下せるようになっている。
このアルミスクリーンによって、全面ガラス張りであっても日射を適度に遮ることができるというわけだ。
6.大島町絵本館(現・射水市大島絵本館)




- 住所:富山県射水郡大島町鳥取50
- 竣工:1994年
- 用途:文化施設(ホール・図書室・ワークショップなど)
- URL:公式ページ
大島町絵本館は、1994年・富山県射水市に建てられた「世界の絵本」をテーマとする公立博物館である。
大島町が周辺市町村と合併し射水市となったため、現在、本館の名称は「射水市大島絵本館」に改称されている。
建築としては、「閉鎖的な空間」と「透明な壁面を持つ空間」が交互に連続するファサード・平面構成が特徴的。
また、この敷地には「3つの小さな丘」があり、その丘の一つに射水市大島絵本館が設置されているのだが、他の2つの丘と絵本館がある丘は「ゆるやかなスロープ」でつながれており、回遊的な動線が形成されている。
長谷川逸子の関連書籍




今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、長谷川逸子が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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