こんにちは、たけです。
今回は、大分県の有名建築物14選をご紹介したいと思います。
磯崎新・坂茂・槇文彦・黒川紀章といった有名建築の作品を多数ご紹介しているので、大分県で建築巡りをする際には是非参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
大分県の有名建築物14選【磯崎新・坂茂・槇文彦など】
1.アートプラザ【磯崎新】

磯崎新の代表作「大分県立大分図書館(1966年)」を改装し、ギャラリーや展示室などからなる複合文化施設として1998年に開館したのがこのアートプラザである。
図書館という施設は、時の経過とともに蔵書が増えていき、これに対応するためには本を収納する建築も成長していくことが最も合理的な解決策である。
磯崎新は、このようなメタボリズム(1960年代に起こった建築運動)的な考え方を基にして本施設を設計している。
具体的には、突き出た筒状の梁が将来的にどんどん拡張されていき、新たな蔵書のための空間を作り出していくことをイメージしている。
2.由布院駅【磯崎新】

温泉で有名な大分県由布市。その由布市の玄関口となるのがこの由布院駅である。
建築の設計は、日本を代表する建築家「磯崎新」が担当した。
この駅舎は礼拝堂をイメージして設計されており、左右対称な構成といい、交差ボールトの屋根といい、駅舎建築らしからぬ格式高い外観を作り出している。
さらに、由布院駅と隣接する位置には建築家・坂茂が設計した「由布市ツーリストインフォメーションセンター」が建っている。(後ほどご紹介する)
建築詳細ページ

3.ビーコンプラザ【磯崎新】

ビーコンプラザは、国際会議場・市民ホール・コンベンションホール・レセプションホール、という主たる4つの機能を内包した大分県別府市に建つ大型複合施設である。
建築の設計は、日本を代表する建築家「磯崎新」が担当した。
本施設は、多くの人が集まる4つの機能に対して、国際会議場には「円筒型」、市民ホールには「馬蹄型」、レセプションホールには「楕円型」、コンベンションホールには「扇型」といった風に、異なる幾何学的形態を持った空間を付与している。
磯崎新がよく用いる手法だ。
また、写真左上に高い塔のようなものが見えると思うが、これは頂部に箱型の展望室を備えたタワーとなっており、本施設のシンボル的存在となっている。
4.大分県立美術館【坂茂】

大分県立美術館は、「OPAM(オーパム)」の愛称で親しまれている、大分県大分市に建つ公立美術館である。
建築の設計は、パリ・ニューヨーク・東京の3カ所に事務所を持つ世界的建築家「坂茂」が担当した。
建築全体は、ガラス張りで透明度の高い下層と、ガラスと木架構を組み合わせた上層が、非常にシンプルな箱型の建物に収められた全体構成となっている。
しかし、シンプルな形状の中にも様々な工夫がなされており、例えば前面道路に面したガラスの壁は「水平折戸」となっているため、全面的に開放すると街路と美術館が一体になった賑やかな空間を作り出すことができる。
この世にある「ハコモノ建築」の中で、最も街との距離が近い魅力的な建築物である。
5.由布市ツーリストインフォメーションセンター【坂茂】

由布市ツーリストインフォメーションセンターは、大分県由布市の観光案内所として、磯崎新設計の由布院駅に隣接する形で建設された建築物である。
建築の設計は、パリ・ニューヨーク・東京の3カ所に事務所を持つ世界的建築家「坂茂」が担当した。
本施設では、有機的な曲線を持った木の架構によって、まるで森の中にいるような魅力的な空間が作り出されているのだが、実はこれ、隣接する由布院駅のデザインからインスピレーションを受けて設計されている。
由布院駅は、焼き杉板による黒い外観と、交差ヴォールトによる格式高い構成が特徴的なのだが、坂茂はこの駅舎の「交差ヴォールト」という要素に着目。
そして、坂茂らしいY字の束ね柱によって木造の交差ヴォールトを作り出すことで、由布院駅と共鳴した魅力的な建築空間を作り出している。
6.House N【藤本壮介】
House Nは、家族2人と犬1匹のために大分県に建てられた専用住宅である。
建築の設計は、2025年に開催される大阪・関西万博のデザインプロデューサーも務める建築家「藤本壮介」が担当した。
特徴「三重入れ子状の建築」
この建築は、大きな箱・中くらいの箱・小さな箱と、3つの箱が入れ子状に重ねられて一つの住宅を形成している。
そして、それぞれの箱に大小さまざまな開口を設けることで、箱と箱の間には内部でも外部でもない中間領域が生まれ、体験したことのない不思議な空間が形成されている。
7.ラムネ温泉館【藤森照信】

ラムネ温泉館は、浴場と美術館という異色の機能を組み合わせた、大分県長湯に建つ複合施設である。
建築の設計は、自然と言ったになった建築作品を数多く手がける建築家「藤森照信」が担当した。
大分県長湯は、二酸化炭素濃度の高い稀有な温泉「炭酸泉」が豊富に湧出することで知られている。
1934年に文豪・大佛次郎が「これぞ、ラムネの湯だぜ」と世界に紹介し、それから70年の時を経て「ラムネ温泉館」が建設された。
建築としては、外壁に焼杉を使用したり、茅葺の屋根を採用するなど、藤森建築らしく自然的な要素がふんだんに取り入れられている。
8.大分県マリンカルチャーセンター【菊竹清訓】※閉業

大分県マリンカルチャーセンターは、「海への関心を高める場を作ること」を目的に1980年に建設された複合施設である。
建築の設計は、メタボリズムの第一人者として知られる建築家「菊竹清訓」が担当した。
建築としては、敷地前面の「元猿湾」に沿うように配置された、曲面屋根を持った構成が特徴的。
この構成は、元猿湾と周辺の山々が作り出す自然景観に合わせて、屋根シルエットを湾曲させることで、建物と周辺環境の調和を目指したという。
残念ながらこの施設は、老朽化などを原因として2021年に解体が決定している。
9.大分市美術館【内井昭蔵】

大分市美術館は、大分市にゆかりのある画家などの作品を中心に、保存・展示当を行うために設置された、緑豊かな「上野丘子どものもり公園」内に建つ公立美術館である。
建築の設計は、戦後の日本建築界を代表する建築家「内井昭蔵」が担当した。
施設全体としては「常設展示棟」と「企画展示棟」の2つの棟に分けられているが、それぞれの棟自体も複数の棟が集まって構成されたかのような、多様な形態・構成をしている。
また、内井昭蔵は周辺環境を組み込んだ設計をすることで知られる建築家であるが、この施設でも建物の間に「中庭」「テラス」「広場」など、あらゆる屋外空間を配置しており、回遊的な魅力的な空間が構成されている。
10.大分スポーツ公園総合競技場・ビッグアイ【黒川紀章】
- 設計:黒川紀章建築都市設計事務所・竹中工務店九州支店・さとうベネック・高山總合工業
- 住所:大分県大分市松岡・横尾
- 竣工:2001年
- 用途:サッカー場・陸上競技場・多目的競技場
- URL:公式ページ
大分スポーツ公園総合競技場・ビッグアイは、大分県大分市にある大分スポーツ公園内の一施設として2001年に建設された、建築物である。
建築の設計は、日本を代表する建築家「黒川紀章」が担当した。
本施設は、滑らかな曲面を持つ固定屋根と、スライド式の可動屋根によって全体が構成されているのだが、その可動屋根の軌道ともなる鉄骨の骨組みが天井部分に表出した構成が、ちょっと珍しい外観を作り出している。
黒川紀章の代表作には「豊田スタジアム」があるのだが、豊田スタジアムとビッグアイは同年に竣工しており、立て続けにこれほどのビックプロジェクトを手掛けているというのは驚きである。
11.風の丘葬斎場【槇文彦】

風の丘葬斎場は、大分県中津市に建つ火葬場・斎場である。
建築の設計は、日本を代表する建築家「槇文彦」が担当した。
写真左の斜めに貫入する八角柱ボリュームは斎場、写真中央の赤い銅壁の中は待合所、写真右端奥のコンクリート打ち放しの棟には火葬場が入る。
そして、それら建築全体は、すり鉢状の楕円形広場に半分ほどヴォリュームを埋め込むことによって、周囲に広がる大自然と調和するかのような構成となっている。
遺族にそっと寄り添うかのような、落ち着きのある佇まいをした建築作品だ。
12.中津市立小幡記念図書館【槇文彦】

中津市立小幡記念図書館は、大分県中津市の閑静な住宅街に建つ公立図書館である。
建築の設計は、日本を代表する建築家「槇文彦」が担当した。
建築全体は、周囲の街並みとの調和を考慮してボリュームが抑えられており、さらに建物を分節すること世によって、住宅のスケール感とのさらなる調和を図っている。
また、本施設のエントランス入口の前には、屋上テラスへと続く屋外階段が設置されており、内外で回遊性のある建築空間が形成されている。
13.コアやまくに【栗生明】
コアやまくには、シアター・図書館ー・町役場など、複数の機能を内包した大分県中津市に建つ複合文化施設である。
建築の設計は、槇文彦アトリエ出身の建築家「栗生明」が担当した。
建築全体は、施設中央にあるガラス張りのアトリウム空間「タウンホール」を囲うように様々な機能が配置されており、そのタウンホールの前面には、冬になるとスケートリンクとしても活用される大きな池が設置されている。
また、その池の中央には、高さ約50mのシンボルタワーも建てられており、周囲の緑豊かな街並みを一望できる魅力的な展望スポットにもなっている。
14.ホルトホール大分【佐藤総合計画】
ホルトホール大分は、ホール・図書館・保育所など、複数の機能を内包した大分県大分市に建つ複合施設である。
建築の設計は、日本の大手組織設計事務所「佐藤総合計画」が担当した。
本施設は、大分駅から南北に伸びる全長444mのシンボルロードに面する敷地に建設されており、シンボルロード沿いの部分には歩行者を招き込むかのような「大庇」が設置されおりシンボリックな外観を作り出している。
また、この大庇の上には屋上公園が設置されており、地域住民の交流の場ともなる豊かな空間を街に提供している。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。