藤森照信とは?
- 1946 長野県に生まれる
- 1971 東北大学工学部建築学科卒業
- 1971 東京大学大学院進学
- 1974 研究仲間と建築探偵団を結成
- 1979 工学博士号を取得
- 1991 建築家としてデビュー
藤森照信は元々「建築史家」をしていたが、45歳の時に「建築家」としてデビューしたという特異な経歴の持ち主である。
藤森照信が設計する建築は、「ジブリ」に登場しそうな自然と一体となった作品が多く、建築マニアだけでなく建築に興味がなかった人たちすらも、建築の世界に誘う力を持っている。
とはいえ本業は建築史家なので、建築史関連の著書も多く、共著なども含めると100近い本を出しているのではないだろうか。
今回はそんな得意な経歴を持つ建築家「藤森照信」の代表作10選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家藤森照信の建築作品10選
1.高過庵
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/6f1efbea69609dd4fad550274fc78db7.jpg)
- 住所:長野県茅野市宮川高部
- 竣工:2004年
- 用途:茶室
- URL:建築詳細ページ
高過庵は、2本の木によって支えられる、地上6mの位置に建つ茶室のことである。
通常では考えられない危険にも見える高過庵は、アメリカの『TIME』誌によって「世界で最も危険な建物トップ10」に選出している。(1位はピサの斜塔)
木が2本である理由は、「1本だと構造上持ちそうにない」が「3,4本だと冒険性がない」という、なんともシンプルな理由であるそう(笑)
写真下にもう一つ建物が見えるが、この建物は「低過庵」という地下に埋められた茶室となっているのも面白い。
建築詳細ページ
![](https://i0.wp.com/takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/11/Takasugi-an-1.jpg?fit=300%2C225&ssl=1)
2.空飛ぶ泥舟
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/9d4c75dd83377fe9bc921141e765bec5.jpg)
- 住所:長野県茅野市宮川389-1
- 竣工:2010年
- 用途:茶室
- URL:建築詳細ページ
空飛ぶ泥舟は、2010年に茅野市美術館で行われた「藤森照信展」の展示物としてワークショップで製作された建築である。
展覧会終了後は、一つ前で紹介した高過庵の近く移設された。
構造としては、4本のワイヤーによって茶室の入った舟が吊り下げられており、その高さは地上約3.5mとなっている。
将来的には「家一軒分くらいを吊り下げてみたい」と藤森照信は述べているそう(笑)
建築詳細ページ
![](https://i0.wp.com/takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/11/eb10e04787d352c68779f7ee6c4a5105.jpg?fit=300%2C200&ssl=1)
3.草屋根
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/1280px-La_Collina_OMIHACHIMAN_01.jpg)
- 住所:滋賀県近江八幡市北之庄町615-1
- 竣工:2014年
- 用途:物品販売業の店舗(菓子販売)・工場
- URL:公式ページ
草屋根とは、和洋菓子を扱う「たねや」という企業が運営する施設『ラ・コリーナ近江八幡』のメイン店舗となっている建築物である。
建築としては、一面が芝で覆われた大屋根が最大の特徴。
藤森照信氏はこれまで、「建築緑化」というテーマを基にいくつもの建築を設計してきたが、自然と人工の融合はやはり難易度が高く、自然が枯れてしまうなど、9回建築緑化にチャレンジしたが「4勝5敗」と負け越していたそう。
そんな中、新たに建築緑化を目指して建てられたのがこの草屋根であり、今回は大屋根をすべて芝で覆うというチャレンジをしている。
果たして今回の草屋根は、勝利を収めたのだろうか?(笑)
4.多治見市モザイクタイルミュージアム
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/1083px-Mosaic_Tile_Museum_Tajimi_exterior_ac.jpg)
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/1080px-View_of_Mosaic_Tile_Museum_Tajimi_3_Kasahara-cho_Tajimi_2020.jpg)
- 住所:岐阜県多治見市笠原町2082-5
- 竣工:2016年
- 用途:博物館
- URL:建築詳細ページ
多治見市モザイクタイルミュージアムとは、モザイクタイル発祥の地である岐阜県多治見市笠原町に建つ、モザイクタイル専門の博物館である。
ちなみに、モザイクタイルとは「1枚の表面積が50㎠以下のタイル」のことを指す。
建築としては、すり鉢状の緑の斜面の上に建つ、土で塗りつぶされた大きな壁が特徴的。
実はモザイクタイルは土を原料としており、その土を掘りだすための採土場をモチーフにして、大きな土の壁の建築設計したという。
建築詳細ページ
![](https://i0.wp.com/takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/11/26248312_m.jpg?fit=300%2C200&ssl=1)
5.神長官守矢史料館
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/1080px-Jinchokan_Moriya_Museum.jpg)
- 住所:長野県茅野市宮川高部
- 竣工:1991年
- 用途:史料館
- URL:公式ページ
神長官守矢史料館は、明治初期まで諏訪大社上社の神長官を務めた「守矢家」の文書を保管・公開するために建設された博物館である。
神長官守矢史料館は、藤森照信の建築家デビュー作でもある。
守矢家第78代当主「守矢早苗」が藤森照信と幼馴染であったことをきっかけに、藤森氏に設計を依頼し、藤森照信の建築家デビューが果たされた。
建築としては、自然の素材や地元産の素材に覆われた外観が特徴的で、早くも藤森建築らしさが際立った建築作品となっている。
6.浜松市秋野不矩美術館
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/1440px-AkinoFukuMuseum_Um_2019091501_01.jpg)
- 住所:静岡県天竜市二俣町二俣130
- 竣工:1997年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
浜松市秋野不矩美術館は、日本画家「秋野不矩(あきのふく)」の作品の展示・保存を主な目的として建設された美術館である。
藤森照信の公共建築デビュー作でもある。
建築としては、大きな三角屋根に土壁を持った直方体の建築が貫通している外観が特徴的である。
幾何学的な構成をとりつつ、全体には自然的な要素をふんだんに取り入れた、藤森照信らしい建築となっている。
7.コールハウス
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/1080px-Coal_House.jpg)
- 住所:栃木県宇都宮市
- 竣工:2008年
- 用途:住宅
コールハウスは、栃木県宇都宮市の住宅街に建つ、木造2階建ての住宅建築である。
この建築は一見、藤森照信らしい自然をあまり感じられないような印象である。
しかし、実はこの建築では外観というより空間構成に自然を取り入れている。
具体的に言うと、写真左下に変わった形をした開口部があるが、この中には床・壁・天井の境に直角をなくすことで、まるで「洞窟の中」を感じるような空間がつくられている。
さらに、写真右上には茶室があり、外から梯子を上ってたどり着くという面白い導線が巡らされている。
8.ラムネ温泉館
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/1280px-Lamune_Onsen.jpg)
- 住所:大分県竹田市直入町長湯7676-2
- 竣工:2005年
- 用途:公衆浴場(温泉) 美術館
- URL:公式ページ
ラムネ温泉館は、「浴場」と「美術館」という異色の組み合わせをもった大分県・長湯に建つ施設である。
大分県・長湯は、二酸化炭素濃度の高い稀有な温泉「炭酸泉」が豊富に湧出することで知られている。
1934年に文豪・大佛次郎が「これぞ、ラムネの湯だぜ」と世界に紹介し、それから70年の時を経て「ラムネ温泉館」が建設された。
建築としては、外壁に焼杉を使用したり、茅葺の屋根を採用するなど、藤森建築らしく自然的な要素がふんだんに取り入れられている。
9.ニラハウス
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/Nira_House.jpg)
- 住所:東京都
- 竣工:1997年
- 用途:住宅
ニラハウスは、アーティスト赤瀬川原平の自宅として設計された住宅建築である。
建築最大の特徴は、屋根一面に「ニラ」が植えられているという点である。
ニラハウスは、藤森照信が何度も試みている「緑化建築」の一環として建設され、畑なのか建築なのかわからない面白い建築となっている。
住人である赤瀬川原平氏は、老齢になるまでは常に屋根に上りニラの手入れをしていたという。
10.ねむの木こども美術館「どんぐり」
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2023/07/Nemunoki_Childrens_Museum_of_Art01.jpg)
- 住所:静岡県掛川市上垂木ねむの木学園内
- 竣工:2006年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
ねむの木こども美術館「どんぐり」は、肢体不自由児のための養護施設「ねむの木学園」の子どもたちが描いた絵を展示するために建設された美術館である。
この建築最大の特徴は「屋根」である。
背後の斜面に近い部分はシンプルな「切妻屋根」であるが、谷側の屋根は「不定形ドーム屋根」となっている。
さらにこのドーム屋根には、風化した際に自然素材と上手く共鳴する「銅板」が使用されている。藤森照信の神器である。
藤森照信の作品集など
![](https://takearch1894.com/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)
今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、藤森照信が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。