みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」です。
今回は、奈良県の有名建築物9選をご紹介したいと思います。
日本文化発祥の地なだけあって、奈良県には、様々な魅力的な建築物が数多く存在しています。
本記事では、それらの建築物の特徴や概要をわかりやすく解説しているので、奈良県で建築巡りをする際には是非参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
奈良県の有名建築物9選【磯崎新・黒川紀章など】
1.なら100年会館【磯崎新】

なら100年会館は、1999年に奈良市制100周年を記念して建設された、大中小3つのホールからなる大型文化施設である。
本施設は、建築界の巨匠「磯崎新」が設計を担当。
磯崎新はこの建築を「文化の船」をイメージして設計しており、楕円形平面によって立ち上げられた緩やかなカーブを描く曲面壁が、まさに「文化の船」のような象徴的な外観を呈している。
また、この漆黒の外皮は「燻し瓦風タイル」によって仕上げがなされており、奈良の伝統的な街並みを形成する「瓦屋根」と共鳴するような落ち着きのある外観を作り出している。
2.大和文華館【吉田五十八】
大和文華館は、東洋古美術を中心に取り扱う、奈良県奈良市に建つ私立美術館である。
本施設は、昭和期の日本建築界をリードしたと言われる建築家「吉田五十八」が設計を担当。
建築としては、城郭や蔵によく見られる「なまこ壁」をイメージした外壁が日本伝統の外観を作り出している一方で、水平ラインの強調やピロティ空間などからは、近代的要素も感じられる建築物となっている。
この「日本伝統×近代建築」といった構成は、吉田五十八が得意とした設計スタイルである。
また本施設は、2枚目の写真の展示棟の中心に「竹が植えられた小さな中庭」が存在することから、「竹の庭の美術館」という愛称が付けられている。
3.橿原神宮【伊東忠太】

橿原神宮は、初代天皇である「神武天皇」とその皇后「媛蹈鞴五十鈴媛命」を祀るために建設された、奈良県橿原市久米町に建つ神社建築である。
橿原神宮の本殿は、1855年に建てられた京都御所賢所の建物を移築したもので、重要文化財に登録されている。
また、この建築は1890年に建築家「伊東忠太」の設計で建設された神社だが、設計当時伊東忠太は23歳であった。その若さでこれほど大きな仕事をしているとは驚愕だ。
さらに、橿原神宮への玄関口「橿原神宮前駅舎」は、昭和期を代表する建築家「村野藤吾」が設計しており、建築好きの方はこちらの建築にも注目しておきたい。(次項で解説)
4.橿原神宮前駅【村野藤吾】

橿原神宮前駅は、その名の通り、奈良県橿原市久米町の神社「橿原神宮」の玄関口として建設された駅舎建築物である。
本施設の設計は、商業建築の礎を築いたと言われる建築家「村野藤吾」によって行われた。
本施設は、駅舎なのにまるで神社建築を思わせるような「荘厳な大屋根」を持ったファサードが象徴的な建築物となっており、周辺の街並みに溶け込みつつ、橿原神宮の玄関口としてふさわしい見事な外観を作り出している。
また、全体像としては、日本の伝統を思わせる構成となっているが、よく見ると駅舎入り口部分には白くて太いコンクリートの柱が並んでおり、村野藤吾建築でよく見られる「古典主義」的な構成もみられる。
5.奈良ホテル本館【辰野金吾】
奈良ホテルは、明治時代に「国家の迎賓館」として建設されたホテル施設である。
本施設は、東京駅や日本銀行本店などの設計者として知られる「辰野金吾」が設計を担当。
建築としては、寺社の多い奈良という街の景観に対して、木造2階建ての瓦葺き・白漆喰仕上げという日本伝統の様式を採用することで、景観に配慮。
一方で、内装は「日本文化」と「西洋文化」を混合した『和洋折衷』の構成となっており、周辺環境に配慮しつつ当時の時代の流れ(近代化の流れ)を取り入れた作品として、国内外から高い評価を得ている。
6.奈良国立博物館・西新館【吉村順三】

奈良国立博物館・西新館は、仏教美術を中心とした文化財の展示・保管などを目的とする「奈良国立博物館」の新館として、1972年に建設された施設である。
本施設は、モダニズム建築の名手として知られる建築家「吉村順三」が設計を担当。
建築としては、1階のピロティ空間、その前面に広がる池や庭園、そして水平ラインを強調した外観などが象徴的な構成となっている。
吉村順三は「モダニズム建築」と「日本伝統」を融合したかのような作品を数多く手掛けたことで知られており、奈良国立博物館・西新館もその一種として時代背景を映し出したような建築物となっている。
7.奈良県コンベンションセンター【大林組・梓設計】

奈良県コンベンションセンターは、2000人程度を収容できるコンベンションホール・飲食店舗・小会議室など、複数の機能を内包した、奈良県奈良市に建つ複合施設である。
本施設は、スーパーゼネコン「大林組」と大手組織設計事務所「梓設計」が共同で設計を行った。
建築全体は、飲食店舗が入る「観光復興施設棟」とコンベンションホールなどが入る「コンベンション施設棟」の2棟で構成されており、その2棟の間には「天平広場」という屋外広場が設けられている。
この「天平広場」には、高さが約13mもある巨大な大屋根が架けられており、奈良が誇る吉野杉を使用した「格子梁」が印象的な外観を形成している。
また、この天平広場は、隣接する「NHK奈良放送会館」と共有する形で展開されており、周辺敷地を巻き込んで賑やかな空間を作り出すような建築計画が行われていることがわかる。
8.奈良市写真美術館【黒川紀章】
奈良市写真美術館は、写真家「入江泰吉」の作品を保存・展示することを主目的として、1991年奈良県奈良市に建設された写真専門美術館である。
本施設は、国立新美術館や豊田スタジアムなど、数多くの公共施設を手掛けた建築家「黒川紀章」が設計を担当。
低く深く伸びる「本瓦葺きの大屋根」が象徴的な外観を作り出しており、奈良県という伝統のある街並みと呼応するかのような、格式高い美術館建築物となっている。
また、2枚目の写真を見て分かる通り、建物の前面には池が設置されており、低く深く伸びる軒と共鳴して豊かなアプローチ空間を形成している。
9.奈良県立民俗博物館【建築研究所アーキヴィジョン】
- 設計:建築研究所アーキヴィジョン
- 竣工:1974年
- 用途:博物館
- 住所:奈良県大和郡山市矢田町
- URL:公式ページ
奈良県立民俗博物館は、奈良県の民俗に関する資料を展示する施設として、奈良県大和郡山市の「大和民俗公園」内に建設された北物館建築物である。
大和民俗公園内には民俗博物館の他にも、江戸時代に建てられた民家が15棟も移築復元されており、公園全体が奈良の民俗歴史を物語る展示空間のようになっている。
本施設の設計は、建築研究所アーキヴィジョン(現・アーキヴィジョン広谷スタジオ)によって行われた。
建築全体は基本的に、コンクリート打ち放しの仕上げがモダニズム建築の様相を示しているが、そのコンクリート壁にはくっきりと木材の質感が転写されており、コンクリートなのにどこか木材のぬくもりを感じる不思議な空間が作り出されている。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。