菊竹清訓とは?
- 1928 福岡県に生まれる
- 1950 早稲田大学建築学科入学
- 1950 竹中工務店勤務
- 1952 村野・森建築設計事務所勤務
- 1953 菊竹清訓建築設計事務所設立
- 2011 死去
菊竹清訓は、新陳代謝する建築・都市を目指す「メタボリズム」という、1960年代に起こった建築運動を主導した建築家である。
メタボリズムの代表作としては、下記のような建築がよく挙げられる。
- 菊竹清訓の「スカイハウス」
- 黒川紀章の「中銀カプセルタワービル」
- 丹下健三の「山梨文化会館」
また、菊竹清訓の著書『代謝建築論 か・かた・かたち』は、メタボリズムの概念を世に広めたとして、世界中から高い評価を得ている。
今回は、そんな日本建築界に多大なる影響を与えた建築家「菊竹清訓」の代表作13選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家菊竹清訓の建築作品13選
1.スカイハウス

- 住所:東京都文京区大塚
- 竣工:1958年
- 用途:住宅
スカイハウスとは、東京都文京区の傾斜地に建つ、菊竹清訓の自邸である。
コンセプト「代謝する建築」
このコンセプトを基に、人間が新陳代謝を繰り返して成長するように、建築も「増改築」という代謝を行うことで「機能や時代の変化に適応できるように」と考え設計されたのが、このスカイハウスである。
菊竹清訓の代表作であり、最高傑作でもあるスカイハウスは、建築的な概念を実際の建築に落とし込んだ見事な作品だが、シンプルに造形がかっこよすぎる。
詳しくは、以下の記事をご覧いただきたい。




2.江戸東京博物館




- 住所:東京都墨田区横網一丁目4番1号
- 竣工:1992年
- 用途:博物館
- URL:公式サイト
江戸東京博物館は、両国国技館のすぐ隣に建つ、超大型の博物館建築である。
テーマ「江戸と東京の歴史や文化を伝える博物館」
江戸東京博物館の上部にある展望台の高さは、かつてこの地に存在した「江戸城・天守閣」の高さとほぼ同じ約62mとなっている。
つまり、江戸城から見えた景色を復活させようと試みたわけである。




3.九州国立博物館








- 住所:福岡県太宰府市石坂4-7-2
- 竣工:2003年
- 用途:博物館
- URL:公式サイト
九州国立博物館は、日本に4つある国立博物館(東京・京都・奈良・九州)の中で唯一、歴史系博物館として2005年に開館した博物館である。(九州以外はすべて美術系博物館)
周囲の雄大な自然を写す大きなガラススキンと、その内部に構築される柱のがほとんどない超大空間が最大の特徴。
一見大胆な建築に見えるが、細部には木材が使用され和を感じられる工夫を施していたりなど、細かな部分にも魅力が詰まった建築となっている。




4.島根県立美術館








- 住所:島根県松江市袖師町
- 開館:1999年
- 用途:美術館
- URL:公式サイト
島根県立美術館は、島根県松江市と出雲市にまたがる湖「宍道湖(しんじこ)」沿いに建つ、山陰地方最大規模の美術館である。
テーマ「水と調和する美術館」
建築としては、宍道湖に沿うようにして曲率し、一面をガラス張りにすることによって、美術館内にいても松江市の雄大な自然を感じられるエントランスロビー空間が最大の魅力である。
一枚目の写真を見ると、大屋根の一部に大きな円形の開口が開いていることがわかるが、ここは展望テラスとなっている。
5.島根県立図書館








- 住所:島根県松江市内中原町52番地
- 開館:1946年
- 用途:島根県立図書館
- URL:公式サイト
島根県立図書館は、島根県松江市に建つ県立図書館である。
菊竹は島根県において、一つ前で初回した「島根県立美術館」をはじめ、そのほかにも「島根県立武道館」「島根県庁第三分庁舎」など、数多くの建築作品を手掛けている。
そんな中でもこの図書館は、建物中央を覆う「複雑な形態を持った大屋根」が特徴的で、その下に形成される魅力的なロビー空間を一目見ようと、国内外から多くの見学者が訪れるという。
6.アクアポリス(現存せず)




- 住所:沖縄県国頭郡本部町地先(現存せず)
- 竣工:1975年
- 用途:展示 居住 ユーティリティ用途
- URL:参考サイト
アクアポリスは、1975年に行われた「沖縄国際海洋博覧会」で日本が出展した、海上都市をイメージして建造された建造物である。
建築としては、「海上部分」「海面部分」「海中部分」に分かれており、それぞれ「居住・管理」「交通」「貯蔵・機械」といった機能が収められている。
世界にも類を見ない「アクアポリス」という海上都市モデルは、当時世界的に注目され、約200万人がアクアポリスに訪れたともいわれている。
現在は、老朽化などが原因で解体され、その痕跡はもう残っていない。
7.大分県マリンカルチャーセンター




- 住所:大分県南海部郡蒲江町大字竹
- 竣工:1980年
- 用途:宿泊室 研修室 多目的ホール 展示室 体育館
- URL:公式サイト
大分県マリンカルチャーセンターは、「海への関心を高める場を作ること」を目的に1980年に建設された複合施設である。
建築としては、敷地前面の「元猿湾」に沿うように配置された、曲面屋根を持った構成が特徴的。
この構成は、元猿湾と周辺の山々が作り出す自然景観に合わせて、屋根シルエットを湾曲させることで、建物と周辺環境の調和を目指したという。
残念ながらこの施設は、老朽化などを原因として2021年に解体が決定している。
8.北九州メディアドーム




- 住所:福岡県北九州市小倉北区三萩野3丁目
- 竣工:1998年
- 用途:観覧場多目的展示場
- URL:公式サイト
北九州メディアドームは、「競輪場」「イベント施設」としての利用を目的として北九州市に建設された全天候型ドームである。
建築の外観は、ロードレースなどで使用されるヘルメットに似ていると言われるが、菊竹いわく、競輪の持つスピード感を流体力学的なフォルムで象徴的に表現したという。
さらにドーム内は、競輪場とイベント施設という機能を共存させるために、競輪コースとアリーナを2層構造とすることで、競輪開催に支障のないイベント動線を確保している。
9.ホテル COSIMA(現存せず)




- 住所:東京都台東区池之端2-1-48(現存せず)
- 竣工:1994年
- 用途:ホテル
ホテル COSIMAは、1994年、東京都台東区に建設された超高層ホテル施設である。
この建築は「樹木」をイメージして設計されている。
確かにそういわれると、中心に大きな幹のような構造体があり、その周りに枝葉のような客室が並ぶ構成は、まさに樹木のようであり、どんどん周囲に広がっていきそうな予感を覚える。
残念ながらこの建築は、2007年に経営などの問題で解体されており、高さ100mを超えるビルとしては、当時日本で初めての解体されたそう。
10.松見タワー




- 住所:茨城県つくば市天久保1-4
- 開館:1976年
- 用途:展望施設
- URL:公式サイト
松見タワーは、茨城県つくば市の「松見公園」内に建つ、高さ45mの展望施設。
展望塔の形状が栓抜きにも見えることから「栓抜き塔」の愛称で親しまれている。
さらに、松見タワーの下で池に張り出すように建っている「レストハウス棟」は、展望塔の垂直性と対比しているのだろうか、水平ラインをかなり強調しており、スタイリッシュでかっこいい。
11.都城市民会館(現存せず)




- 住所:宮崎県都城市八幡町3
- 開館:1966年
- 用途:文化ホール
- URL:公式サイト
都城市民会館は、宮崎県都城市に存在した、モダニズムの代表作である。
建築としては、鉄骨梁が扇状に突き出した構成が象徴的で、個人的には『風の谷のナウシカ』にでてくるオームに見えしょうがない。
モダニズムの代表作と言われるのは、低層部が強固な「鉄筋コンクリート造」、上層部が交換がしやすい「鉄骨造」でできており、新陳代謝することを想定した構成となっているためである。
12.昭和館




- 住所:東京都千代田区九段南1-6-1
- 竣工:1999年
- 用途:博物館
- URL:公式サイト
昭和館は、戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世に伝えていくことを目的として建設された、博物館である。
建築としては、建物内部で保管・展示される貴重な資料を守るために、外周部にはほとんど開口部が設けられていない。
その代わりに、折板状にしたチタン材のパネルで外装を仕上げることによって、中の資料はしっかりと守りつつ、建築としての象徴性や落ち着い佇まいを作り出している。
13.エキスポタワー(現存せず)




- 住所:大阪府吹田市千里万博公園
- 竣工:1970年
- 用途:展望台
エキスポタワーは、1970年に大阪で開催された「日本万国博覧会」のランドマーク塔として建設された展望台である。
建築としては、3本の支柱を中心に伸びるトラス構造の塔と、その中間部に取り付けられた多面体キャビンが特徴的。
このキャビンは大小合わせて7個設置されており、それぞれに「エレベーターホール」「展示室」「展望台」などの機能が入っていた。
残念ながらこの棟は、老朽化などを原因に2003年に解体されている。
菊竹清訓の関連書籍




今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、菊竹清訓が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
コメント