皆さんこんにちは、当サイト「建築LIFE」を運営しているたけと言います。
今回は、東北地方で唯一の政令指定都市「仙台市」を有する宮城県の有名建築物15選をご紹介します。
やはり、政令指定都市があるだけあって、宮城県内には有名建築家が設計したような魅力的な建築物がたくさん存在しています。
本記事では、そのような有名建築家の作品から、あまり知られていないっ隠れた観光スポットまで幅広くご紹介しているので、宮城観光をする際は是非参考にしてみてください。
では早速本題に移ります。
宮城県の有名建築物15選【隈研吾・伊東豊雄など】
1.せんだいメディアテーク【伊東豊雄】
- 設計:伊東豊雄建築設計事務所
- 竣工:2000年
- 用途:図書館 美術館 映画館
- 住所:宮城県仙台市青葉区春日町2-1
- URL:詳細ページ
せんだいメディアテークは、図書館・メディアセンター・ギャラリーなどの複数の機能を内包した、宮城県仙台市に建つ大型複合施設である。
設計を務めたのは、日本のみならず海外でも活躍する、現代日本を代表する建築家「伊東豊雄」である。
本施設は、外観を見ただけだと、どこにでもありそうなガラスのファサードを持った「箱もの建築」に見えてしまうかもしれないが、実は構造や空間構成などにおいて異例尽くしの建築物となっている。
特に特徴的なのが「チューブ状の柱」とその柱に支えられた「極薄のフラットスラブ」の組み合わせであり、この未だかつて見たこともなかった洗練された構造体は、建築界で高い評価を得ている。
2.南三陸311メモリアル【隈研吾】




- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:2022年
- 用途:文化施設
- 住所:宮城県本吉郡南三陸町志津川字五日町200番地1
- URL:公式ページ
南三陸311メモリアルは、東日本大震災の記憶や教訓を未来へ伝える「伝承館」として宮城県本吉郡南三陸町に建設された文化施設である。
設計を務めたのは新国立競技場や浅草文化観光センターなどの設計者であり、和風建築の名手としても知られる建築家「隈研吾」である。
隈研吾はこれまで、南三陸の復興計画として「さんさん商店街」と「中橋」の2つの建築作品をこの地で手掛けており、この南三陸311メモリアルは、一連の復興計画の集大成となる施設として設計された。
本施設は、建物の中央にあいた「孔」が鳥居のような神聖さを作り出した構成が特徴的で、そこに隈研吾お得意の「木製ルーバー」が孔に吸い込まれるような形で設置されており、奥に引き寄せられるような求心的な空間を作り出している。
3.登米町伝統芸能伝承館・森舞台【隈研吾】
- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:1996年
- 用途:能舞台・展示室
- 住所:宮城県登米郡登米町寺池上町42
- URL:公式ページ
登米町伝統芸能伝承館・森舞台は、「登米能」を始めとする伝統芸能の伝承を目的として、宮城県登米町に建設された「能舞台」と「展示室」からなる文化施設である。
設計を務めたのは、和風建築の名手として知られる建築家「隈研吾」である。
本施設は、本舞台と見所が正対する形で分棟化されており、本舞台の方には伝統の「入母屋屋根」、見所の方には無駄を排した「フラットルーフ」がかぶせられている。
また、両者の棟の間には「白洲」と呼ばれる砂利敷きのスペースが段状に立ち上げられており、上演中は外部見所として機能しつつ、舞台上演を行わないときは、人々が森と一緒に回遊できる空間として提供されている。
4.石ノ森萬画館【日本設計】




- 設計:日本設計
- 竣工:2001年
- 用途:博物館
- 住所:宮城県石巻市中瀬2番7号
- URL:公式ページ
石ノ森萬画館は、宮城県出身の漫画家「石ノ森章太郎」の顕彰を目的として、2001年に建設された博物館建築である。
本施設の設計原案は石ノ森章太郎自身が作成しており、その原案を基にして、日本の大手組織設計事務所「日本設計」が具体的な設計を行った形となっている。
建築としては、宇宙船をモチーフにした近未来的な形態が象徴的な外観を作り出しているが、これは「従来の政府が作る箱モノ建築ではなく、遊び心を前面に出したい!」という石ノ森章太郎の想いを反映した形態となっている。
本施設は2001年に竣工した建築物であるが、残念ながら石ノ森章太郎は1998年に亡くなっており、完成した石ノ森萬画館を実際に見ることはなかった。
5.宮城スタジアム【針生・阿部共同アトリエ】




- 設計:針生・阿部共同アトリエ
- 竣工:2000年
- 用途:競技場
- 住所:宮城県宮城郡利府町菅谷字舘40-1
- URL:公式ページ
宮城スタジアムは、陸上競技場兼サッカー球技場として整備された、宮城県総合運動公園内に建つスポーツ施設である。
設計は、宮城県出身・東北大学工学部卒業という共通点を持つ2人の建築家「針生承一」と「阿部 仁史」が共同設計で行った。
本施設は、丘から連続するように立ち上がるコンクリートの構造体と、その上にかけられた三日月形をした大屋根が象徴的な外観を作り出しており、コンクリートという硬い素材が有機的な曲線美を作り出す様子が、何とも言い難い美しい建築物となっている。
この周囲の自然環境と共鳴しつつ、シンボル性も持ち合わせたバランスの良さは、国内外からも高い評価を得ており、私個人としてはスタジアム建築の最高傑作だと思っている。
6.宮城県図書館【原広司】
- 設計:原広司+アトリエファイ建築研究所
- 竣工:1998年
- 用途:図書館
- 住所:宮城県仙台市泉区紫山一丁目1-1
- URL:公式ページ
宮城県図書館は、宮城県仙台市に建つ県立図書館である。
設計を務めたのは、梅田スカイビルや京都駅ビルなど、数多くの大規模公共施設を手掛けてきたに帆を代表する建築家「原広司」である。
本施設は、全長約200m・幅約30mのチューブ状のボリュームが、橋のように架けられた構成がシンボリックな外観を作り出しており、光沢のあるステンレスの屋根と合わさり異様な雰囲気を醸し出している。
また、チューブ状ボリュームの内部には、開架書庫と閲覧室が本屋街のように並んだ街路空間が形成されているのだが、曲面を持った屋根によって、まるで宇宙船内のような不思議な空間が作り出されている。
7.宮城県美術館【前川國男】
- 設計:前川国男建築設計事務所
- 竣工:1981年
- 用途:美術館
- 住所:宮城県仙台市青葉区川内元支倉34-1
- URL:公式ページ
宮城県美術館は、1981年に竣工した、宮城県仙台市青葉区川内元支倉に建つ県立美術館である。
設計を務めたのは、日本各地で数多くの美術館建築を手がけたことで知られる、日本建築界の巨匠「前川國男」である。
本施設は、建物中央に「大きな中庭」が設けられ、その中庭を取り囲うように列柱による「回廊空間」が設けられた平面構成が特徴的な建築物となっている。
このような、大きな中庭と回廊という組み合わせは、ヨーロッパの古代建築などによく見られる構成だが、日本でこのような空間を作り出している例はあまり多くないため、日常とは違う空間体験ができる施設となっている。
8.宮城県総合体育館【大成建設】
- 設計:大成建設一級建築士事務所
- 竣工:1997年
- 用途:体育館
- 住所:宮城県宮城郡利府町菅谷字舘40-1
- URL:公式ページ
宮城県総合体育館は、別名・セキスイハイムスーパーアリーナとして親しまれている、宮城県総合運動公園内に建つスポーツ施設である。
設計を務めたのは、スーパーゼネコンの一角をなす大成建設の設計部にあたる「大成建設一級建築士事務所」である。
施設全体としては、2枚の大屋根がお互いを支え合うかのような形態となった「メインアリーナ」と、1枚の大屋根でできた「サブアリーナ」の2棟によって構成されており、この象徴的な大屋根は「風に乗って飛んできた木の葉」をモチーフとしているらしい。
また、トレーニングルームやビジターセンターといったボリュームを必要としない機能は、地面の中に埋め込まれており、メインアリーナ前に設けられた「5つの箱型のトップライト」から光を取り入れている。
9.JR女川駅 女川町温泉温浴施設 ゆぽっぽ【坂茂】




- 設計:坂茂建築設計
- 竣工:2015年
- 用途:駅舎 公衆浴場
- 住所:宮城県牡鹿郡女川町女川浜字大原1-10
- URL:公式ページ
JR女川駅 女川町温泉温浴施設 ゆぽっぽは、東日本大震災で被災したJR女川駅舎の再建施設として、駅舎と公衆浴場を併設する形で建設された公共施設である。
設計を務めたのは、日本・パリ・ニューヨークの3カ所に事務所を構える世界的建築家「坂茂」である。
本施設は、背後の山並みを意識した「切妻型の大屋根」が象徴的な外観を作り出しているが、この大屋根は、格子状に組まれた木造架構の上に膜屋根をかぶせた2重構成となっており、この組み合わせは坂茂の代表作「ポンピドゥー・センター・メス」でも採用されている。
膜屋根は、直接的な日光は遮りつつ、適度に内部空間を明るく照らすことができる素材であるため、坂茂がよく用いる素材でもあり、木材と組み合わせることで、木のぬくもりも感じる魅力的な空間が形成される。
10.公立刈田綜合病院【芦原太郎・北山恒・堀池秀人】




- 設計:芦原太郎建築事務所・北山恒+architecture WORKSHOP・ 堀池秀人アトリエ
- 竣工:2002年
- 用途:病院
- 住所:宮城県白石市福岡蔵本字下原沖36番地
- URL:参考ページ
公立刈田綜合病院は、宮城県白石市という自然環境に恵まれた地域に建つ公立病院である。
設計は、芦原太郎・北山恒・堀池秀人という3名の有名建築家の共同設計で行われた。
コンセプト「病院建築のひとつの解を求めて」
当時、日本の病院建築は高層化される傾向が強くなっていたのだが、阪神淡路大震災などでエレベーターが使えなくなった途端に機能不全となっていた高層病院建築などを見て芦原太郎は「病院建築の別の解」を求めて本施設の設計に挑んだ。
その際に参考にしたのが、ル・コルビュジェの「ベネチア病院計画」などだったという。
その結果建設されたこの病院は、ル・コルビュジェの代表作「サヴォア邸」を彷彿とさせるような「ピロティ」や「水平連続窓」などで構成される低層建築となっている。
11.感覚ミュージアム【六角鬼丈】




- 設計:六角鬼丈計画工房
- 竣工:2000年
- 用途:美術館
- 住所:宮城県大崎市岩出山字下川原町100番地
- URL:公式ページ
感覚ミュージアムは、日本で初めて視覚・聴覚といった「感覚」をテーマとするミュージアムとして、宮城県大崎市に開館した芸術文化施設である。
設計を務めたのは、東京武道館や富山県立山博物館などの設計者として知られる、東京藝術大学出身の建築家「六角鬼丈」である。
上空写真を見るとわかりやすいのだが、本施設は、箱型の建物を楕円形にくり抜き、残った部分を内部空間に、くり抜いた楕円形の部分を広場にした全体構成となっている。
さらに、楕円形の広場の一部は外部に開かれた構成となっているのだが、その対面部分には保育所が設置されており、感覚的には周囲を建物に囲われた求心的中庭空間が作り出されている。
12.東北歴史博物館【荒井和征】
- 設計:荒井和征+空間設計
- 竣工:1999年
- 用途:博物館
- 住所:宮城県多賀城市高崎1-22-1
- URL:公式ページ
東北歴史博物館は、東北地方の歴史を中心に取り扱う、宮城県多賀城市に建つ歴史系博物館である。
設計を務めたのは、日本の建築家「荒井和征」である。
施設全体としては、建物と人工池が並列に配置された構成となっており、その間にはスロープや階段状になった広々としたアプローチ空間が展開されており、受け入れ間口の広い建築物となっている。
また、長いアプローチ空間の左手側は「研究棟」、正面の円筒型の棟は「エントランス」、その左が「展示棟」になっており、来館者は研究棟を横目に見ながら、エントランスに入り展示棟に向かうという一体的な動線計画がなされている。
13.仙台市富沢遺跡保存館【坂倉研究所】
- 設計:坂倉建築研究所東京事務所
- 竣工:1996年
- 用途:遺跡保存館
- 住所:宮城県仙台市太白区長町南4-3-1
- URL:公式ページ
仙台市富沢遺跡保存館は、宮城県仙台市にある富沢遺跡から発掘された、旧石器時代の遺跡面を保存・公開することなどを目的として、1996年に建設された博物館建築である。
設計を務めたのは、日本建築界の巨匠・坂倉準三が設立した設計事務所「坂倉建築研究所」である。
本施設は、楕円形平面をしたコンクリートの建築物が異様な雰囲気を作り出しているが、施設内では、地下2階部分に「2万年前の樹木群」を発掘当時の状態のまま展示しており、歴史の重みを感じられる空間となっている。
また、その上の地上階部分には、常設展示室や企画展示室などが設置されており、発掘された資料を基にした様々な展示会を開催している。
14.仙台市科学館【久米建築事務所】
- 設計:久米建築事務所
- 竣工:1990年
- 用途:科学館
- 住所:宮城県仙台市青葉区台原森林公園4番1号
- URL:公式ページ
仙台市科学館は、「スリーエム仙台市科学館」の愛称で親しまれている、宮城県仙台市の台原森林公園に建つ科学館である。
設計を務めたのは、日本の大手組織設計事務所「久米設計」の前身となる設計事務所「久米建築事務所」である。
本施設は、水平に長く伸びる形態と、トラスやラーメン構造で構成された鉄骨造の大架構がスタイリッシュな外観を形成しており、「科学館」という事を周囲に印象付けるようなシンボリックな建築物となっている。
さらに、本施設の内部空間では、メカニックや設備システムなどの科学的な要素を、あえて隠すことなく見せることで、建築そのものが科学の展示物となるような構成を採用している。
15.仙台市博物館【佐藤武夫】
- 設計:佐藤武夫設計事務所
- 竣工:1985年
- 用途:博物館
- 住所:宮城県仙台市青葉区川内26番地
- URL:公式ページ
仙台市博物館は、仙台の歴史・文化・美術などの研究や展示を目的として、宮城県仙台市の仙台城三の丸跡に建てられた博物館建築である。
設計を務めたのは、日本の大手組織設計事務所「佐藤総合計画」の生みの親である建築家・佐藤武夫だ。
本施設は、従来の博物館建築によく見られた「見せる」ための半強制的な空間設計ではなく、利用者が主体となった「見る」ための空間設計を行っており、利用者の自由な活動を引き出すような構成が採用されている。
具体的には、ミュージアムストリートという回遊性のある通路を設けて、その通路に沿う形で各展示空間を商店街に並ぶ店舗のように配置している。
つまり、来館者はミュージアムストリートを歩きながら、自由に自分の入りたい展示室(店舗)を選択することができるというわけである。
以上!
今回はこれで以上になります。
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