坂倉準三とは?
- 1901 岐阜県に生まれる
- 1927 東京帝国大学文学部美学美術史学科美術史卒業
- 1931 ル・コルビュジエの建築設計事務所入所
- 1940 坂倉準三建築研究所設立
- 1969 心筋梗塞により死去
「1901年 – 1969年」の明治から昭和期にかけて活躍した建築家である。
モダニズム建築の巨匠「ル・コルビュジェ」の弟子としても有名で、その思想を引き継いだかのような彼が手がけるモダニズム建築は、国内外で高い評価を得ている。
代表作としては「国際文化会館」「旧・神奈川県立近代美術館」などが挙げられるが、近年では坂倉準三が手がけた建築の老朽化が進み、現存している作品はかなり少なくなってきている。
今回は、そんな中でもまだ現存している作品を中心に、坂倉準三の建築作品8選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家坂倉準三の建築作品8選
1.パリ万博日本館

- 住所:フランス・パリ
- 竣工:1937年
- 用途:パヴィリオン
- URL:参考サイト
パリ万博日本館は、1937年に開催されたパリ万国博覧会で、坂倉準三が設計を担当した建築である。
「日本の伝統様式」と「モダニズム様式」を掛け合わせたような構成が特徴的で、パリ万博の建築部門ではグランプリを受賞している。
今この建築を見ても、洗練されたかっこいいデザインだと感じるが、これを1937年という時期につくり上げているのは驚きだ。
2.岡本太郎記念館(旧・岡本太郎邸)




- 住所:東京都港区南青山6—1—19
- 竣工:1953年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
岡本太郎記念館は、「太陽の塔」で知られる岡本太郎が、42年間にわたって住んだアトリエ兼住宅を「記念館」として公開した施設である。
建築としては、凸レンズ形をした大屋根が乗る形態が特徴的であるが、この独特な構成は岡本太郎が坂倉準三に対して要望したものだと言われている。
さらに、建物の壁面には岡本太郎が描いた「顔の絵」と、「TARO」という自身のサインが書かれている。
3.国際文化会館




- 住所:東京都港区六本木5丁目11番16号
- 竣工:1955年
- 用途:国際文化交流施設
- URL:公式ページ
国際文化会館は、東京都港区六本木という「夜の街」というイメージを持ちつつ、美術館や緑も混在した特異な街に建つ文化交流施設である。
この建築は、坂倉準三・前川國男・吉村順三という、日本建築界の巨匠3人によって設計された。
建築としては、モダニズム建築を象徴するようなスタイリッシュな構成の建物と、その前面に広がる池を持った庭園が特徴的で、「日本の伝統×モダニズム」がここでも実現している。
国際文化会館は、2006年に「登録有形文化財」に指定されており、その価値は国からも正式に認められているというわけである。
4.鎌倉文華館鶴岡ミュージアム(旧・神奈川県立近代美術館)




- 住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53
- 開館:1951年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
鎌倉文華館鶴岡ミュージアムは、日本最古の公立近代美術館「神奈川県立近代美術館」として1951年に開館した建物である。
現在は、神奈川県立近代美術館としての機能は隣接する「葉山館」「鎌倉別館」に譲渡され、本施設は「鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」として、鎌倉の歴史や文化を紹介する施設に。
建築としては、池に飛び出すかのように建つ、重厚感と軽快さをあわせもった構成が特徴的で、ここでも「日本×モダニズム」の特徴がよく見られる。
これらの特徴から、日本のモダニズムを象徴する建築として、国内外で高い評価を得ている。
5.市村記念体育館(旧・佐賀県体育館)








- 住所:佐賀県佐賀市城内2-1-35
- 開館:1963年
- 用途:文化施設(旧・体育館)
- URL:公式ページ
市村記念体育館は、元々「佐賀県体育館」として1963年に開館し、現在は老朽化などの原因から文化施設に用途変更された建築物である。
この建築は「吊り屋根構造」が採用されており、周囲のギザギザした折板状の壁などで、滑らかな曲線を持った「HPシェル構造の屋根」を吊る構造となっている。
この構造によって、内部では柱のない大空間が生まれ、従来の用途である「体育館」という機能を果たしつつ、人々の好奇心を刺激するような魅力的な空間を作り出している。
1960年代は、吊り屋根構造の建築物が日本各地でいくつも建設されており、1964年に建設された「国立代々木体育館」などもそのいい例であろう。
6.宮崎県総合博物館




- 住所:宮崎県宮崎市神宮2丁目4番4号
- 開館:1971年
- 用途:博物館
- URL:公式ページ
宮崎県総合博物館は、歴史・民俗・自然科学の総合博物館として、宮崎県内の資料の展示・保存を主目的に建設された施設である。
建築としては、大きな上部ボリュームを、軽快なピロティで持ち上げた、モダニズムらしい構成が特徴的。
その上で、外壁は特徴的なタイル張りになっており、県立博物館としての象徴性も持ち合わせた建築となっている。
7.旧・羽島市役所




- 住所:岐阜県羽島市竹鼻町55番地
- 竣工:1959年
- 用途:市役所
- URL:公式ページ
旧・羽島市役所は、市役所としての機能だけではなく、小公民館・市立図書館・消防用事務所など、複数の機能が入る複合施設として建設された、岐阜県羽島市の市役所である。
建築としては、モダニズムらしい重量感のあるコンクリート柱や、その先のピロティ空間、2階部分まで伸びる大きなスロープ空間などが特徴的。
残念ながらこの建築は、耐震不足などの理由から2022年に解体が決定している。
8.新宿駅西口地下広場




- 住所:東京都新宿区
- 竣工:1966年
- 用途:駅前広場
建築家であれば、新宿駅西口地下広場が、坂倉準三によって設計されているということは、周知の事実である。
もちろん、建築としての魅力も理由の一つではあるが、それ以外に大きな理由がもう一つある。
それはこの地が、1960年代に起こった学生運動「フォークゲリラ」などの中心地となったからだ。
1960~70年代は、東京オリンピック・大阪万博・学生運動など、様々なことが起きた時代である。
そんな時代を象徴する場所が「国立代々木競技場」であり「太陽の塔」であり「新宿駅西口地下広場」なのである。
坂倉準三の関連書籍








今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、坂倉準三が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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