せんだいメディアテークとは?

せんだいメディアテークは、図書館・メディアセンター・ギャラリーなどを内包する、宮城県仙台市の複合施設である。
しかし、この建築は単なる複合施設ではなく、21世紀になり今後さらに進化していく「メディア」に適合していくような空間構成が求められた。
そんな社会的な課題を考慮することも求められたせんだいメディアテークの設計は、建築家伊東豊雄であり、せんだいメディアテークは伊東氏の代表作ともなっている。
このように、特異な条件から完成した、せんだいメディアテークの特徴をご紹介します!!
伊東豊雄とは?
- 1941 京城(現・ソウル)に生まれる
- 1943 長野県諏訪郡下諏訪町に移住
- 1965 東京大学工学部建築学科卒業
- 1965 菊竹清訓設計事務所勤務
- 1971 アーバンロボット設立
- 1979 ↑伊東豊雄建築設計事務所改称
- 1986 日本建築学会賞作品賞
- 2013 プリツカー賞受賞
伊東豊雄は、日本を代表する建築家であり、代表作として「多摩美術大学図書館」「ぎふメディアコスモス」などが知られている。
建築家安藤忠雄氏と同年生まれで、長年ライバルとして両者ともに活躍されているが、安藤さんの一貫したコンクリートのスタイルとは異なり、伊東さんは特定のスタイルを持っていない。
そのため、同じ人物が設計したとは思えない、多種多様な建築作品が魅力的である。
建築の特徴

せんだいメディアテークの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 鋼管を網状に組んだ揺らめく柱
- 薄いフラットスラブ
- ガラス張りによる透明なファサード
- 部屋のないワンルーム空間
鋼管を網状に組んだ揺らめく柱

せんだいメディアテークが他の建物と違う点は構造体である。
鋼管を網状に組むことで、特徴的な揺らめく柱が形成されている。
さらにこの柱の内部は、エスカレーターシャフトや階段室、自然光や熱、風などを内外に通すフロースペースとなっており、建築・人・自然が一体となった空間を作り出している。

この新しい構造体は、誤差5㎜以下という極めて高い精度で施工されています。
薄いフラットスラブ
せんだいメディアテークの構造体は、柱と同様にスラブ(床)も特徴的である。
せんだいメディアテークの床の厚さは400㎜と、軽量でかなり薄いフラットスラブとなっている。
これにより、外部と内部の連続性が高まり、外の自然環境を内部に効果的に取り込んでいる。
さらに、各フロアの階高は、用途など合わせて微妙に高さが異なっている。
ガラス張りによる透明なファサード

せんだいメディアテークの外壁は、特徴的な鋼管による柱によって、ガラスのカーテンウォールとなっている。
そのため、内部空間と外部空間の関係性を作り出しつつ、内部へ日光や自然の景観などを効率的に取り込んでいる。
また、ガラス張りによる環境負荷への対策として、南側部分には二重ガラスを用いている。さらに、ガラス表面には小さな四角形がたくさん横に並んでいるが、これにより直射日光を緩和している。
部屋のないワンルーム空間

せんだいメディアテーク内部を一言で表すと「部屋という概念のない建築」と言うことができる。
部屋という概念をつくってしまうと、ある特定の用途が必然と決定し、これでは創造的な活動が妨げられてしまう。
そこで伊東氏は、各層から部屋や通路をほとんどなくし、フラットな床だけをつくるという、大胆な平面構成をとった。この構成により、フレキシブルなな空間となり、様々な活動に対応できるようになっている。
建築物概要
- 所在地:宮城県仙台市青葉区春日町
- 竣工 :2000年8月
- 用途 :図書館・美術館など
- 構造 :S造 一部RC造
- 階数 :地上7階 地下2階
- 高さ :36.49m
- 設計 :伊東豊雄建築設計事務所
- 構造 :佐々木睦朗構造計画研究所
- 施工 :熊谷組 竹中工務店など
- 設備 :イーエスアソシエーツなど
施設概要
- Tel :022-713-3171
- 休館日 :1~11月の第4木曜日、年末年始
- 料金 :無料
- 営業時間:9時から22時
- アクセス:南北線勾当台公園駅下車後「公園2」出口から徒歩6分
- URL :https://www.smt.jp/
最後に・・・
以上がせんだいメディアテークの特徴でした。
一見するとガラス張りや均質空間による、従来のモダニズム建築のようでありますが、詳細を見ると、鋼管の柱や薄いスラブなど特徴的な点がいくつかありました。
これらの前例のない構成などで、せんだいメディアテークは世界中から高い評価を受けています。
仙台を訪れる際は、是非伊東豊雄氏の代表作「せんだいメディアテーク」に立ち寄ってみてください!!
ご覧いただきありがとうございます!