建築

京都駅ビル【原広司】

京都駅ビルとは?

photo by 663highland/CC 表示-継承 4.0

京都駅ビルは、日本の文化観光都市「京都」の玄関口となる駅舎である。

内部には、駅、ホテル、商業施設、文化施設、広場などを備え、駅舎としては国内最大規模のターミナルビルとなっている。

設計を務めたのは、建築家原広司。

中央ガラス張りのコンコースと、その横に伸びる段数171段に及ぶ大階段が特徴的な建築になっている。

たけひこ
たけひこ

そんな、京都駅ビルの特徴を今回ご紹介します!!

原広司とは?

  • 1936 川崎市に生まれる
  • 1959 東京大学工学部建築学科卒業
  • 1961 RAS設計同人設立
  • 1964 東京大学大学院修了
  • 1982 東京大学生産技術研究所教授

原広司は、世界中のあらゆる集落を訪れ、調査、研究をしている建築家である。

代表作としては、「梅田スカイビル」「札幌ドーム」などが挙げられ、大規模なプロジェクトが多い。

建築の可能性を追究した著書「建築に何が可能か」や、集落調査の考察をした著書「集落への旅」などの書物を発表する文筆家としても知られる。

建築の特徴

京都駅ビルの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 国際指名方式によるコンペ
  2. 4代目の京都駅ビル
  3. 低く横に長い3棟構成
  4. 中央のガラスに覆われた吹き抜け空間
  5. 吹き抜け上部にある空中経路
  6. コンコースから横に伸びる大階段
  7. 京都駅ビル内に設けられた広場
  8. その他のユニークな構成

国際指名方式によるコンペ

京都駅ビルの設計者は、日本の鉄道駅舎としては異例の国際指名コンペ方式によって選ばれた。

指名されたのは、原広司、黒川紀章、安藤忠雄、池原義郎の著名な日本建築家4名と、ジェームス・スターリング、ベルナール・チュミ、ペーター・ブスマンと海外の建築家3名の計7名。

最終的に選ばれたの原広司案は、高さ120mまで建設可能な条件に対して、京都の景観の保護を考え、高さ60mまで抑えたことが高く評価された。

さらに、建物を南北方向宇野道路に合わせて分割し、視線を通した構成なども評価されている。

4代目の京都駅ビル

京都駅舎は、現在のものが4代目であり、古くからの伝統をもっている。

初代駅舎

初代駅舎は、1877年に建設され、赤レンガによる重厚感のあるつくりであった。

2代目駅舎

2代目の駅舎は、1914年に建設されるが、1950年に火事によって消失してしまう。

3代目の駅舎は、1952年に建設されたが、現代的な鉄筋コンクリート造の建物であった。

4代目駅舎
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そして現在の建物が4代目駅舎となる。

ガラスカーテンウォールに覆われた近代的なデザインとなっている。

低く横に長い3棟構成

京都駅ビルは、京都の景観を保護するために高さが60mに抑えられ、その分東西に470mもある3棟構成となっている。

  • 東側(左):ホテルグランヴィア京都
  • 西側(右):百貨店のジェイアール京都伊勢丹
  • 中央  :コンコース

中央のガラスに覆われたコンコース

2棟に挟まれた中央のコンコースは、前面と天井がガラス張りになった大きな吹き抜け空間になっている。

駅舎であるにも関わらず、まるで空港のような大空間は圧巻

ガラス張りは、外の光や景色を内部に取り入れつつ、外から見るとガラスに空が映り込み景色に溶け込むような構成を作り出している。

吹き抜け上部にある空中経路

photo by Zairon/CC 表示-継承 4.0

中央コンコースの上部には、全長45mに及ぶ空中経路が設けられている。

これは、東側のホテルグランヴィア京都7階部分と、西側の伊勢丹10階部分を繋ぐ通路。

まるでSFの世界のような空間には、2カ所に展望スペースが設けられ、正面にある京都タワーを含めた京都の街並みを眺めることができる。

たけひこ
たけひこ

夏場は日差しが強くかなり暑くなるようです、、

コンコースから横に伸びる大階段

photo by inunami/CC 表示 2.0

中央コンコースを「谷」左右に広がる大階段を「山」と見立てる

中央コンコースからは左右に大階段やエスカレーターが伸び、「山と谷」の関係性を作り出している。

写真にある伊勢丹側の大階段は、段数171段、高低差35m(11階建てビルに相当)に及び、屋上の空中庭園まで続いている。

この大階段では、コンサートや各種イベントが行われる他、人々の憩いの場ともなっている。

photo by Zairon/CC 表示-継承 4.0

上の写真は大階段を上から見たものである。

外部空間と繋がっており、テラスのような空間ともなっている。

京都駅ビル内に設けられた広場

京都駅ビルには、数多くの広場が設けられている。

上の写真は、東側の棟の屋上に設けられた広場であり、西洋の雰囲気が漂う空間となっている。

東側の大階段に続く広場は、竹取物語をモチーフとした竹藪が設置された空中庭園となっている。

その他のユニークな構成

凸凹した外壁

西棟の外壁

西側棟の外壁の一部は凸凹した形状になっている。

そこには、正面にある京都タワーや周囲の景色などが、見る角度によってばらばらに切り取られる、ユニークな構成となっている。

京都の碁盤の目を取り入れた構成

京都駅ビルは、平安京の都市の特徴である「碁盤の目」を随所に取り入れた構成となっている。

そういわれると、中央コンコースのガラスも普通の縦長のものより正方形に近く、碁盤の目のようである。

建築概要

  • 所在地:京都府京都市下京区
  • 竣工 :1997年
  • 用途 :駅舎・複合施設
  • 構造 :鉄骨造 SRC造
  • 高さ :60m
  • 階数 :地上16階、地下3階
  • 設計 :原広司+アトリエ・ファイ建築研究所
  • 施工 :大林・鉄建・大鉄などの共同

施設概要

最後に・・・

以上が京都駅ビルの特徴でした。

京都駅ビルは、高さが60mにまで抑えられているが、それでも京都の町には適さない大きな建築物は、批判もあるようです。

それでも、ガラス張りによって光のあふれるコンコースと、それに続く大階段が魅力的な建物だったと思います。

たけひこ
たけひこ

京都を訪れる際は、是非京都駅ビルにも注目してみてください!!

ご覧いただきありがとうございました。

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