皆さんこんにちは、当サイト「建築LIFE」を運営しているたけと言います。
今回は、本州最北端の地「青森県」にある魅力的な美術館建築・博物館建築を10作品厳選してご紹介したいと思います。
実は青森県には、安藤忠雄や西沢立衛といった有名建築家が設計した芸術施設がたくさん存在しているので、青森を訪れる際は是非、本記事を参考に建築巡りを楽しんでみてください。
では早速本題に移ります。
青森県の魅力的な美術館建築・博物館建築10選
1.国際芸術センター青森【安藤忠雄】

- 設計:安藤忠雄
- 竣工:2001年
- 用途:集会場 旅館 作業場
- 住所:青森県青森市大字合子沢字山崎152-6
- URL:公式ページ
国際芸術センター青森は、アート作品の滞在制作・展覧会・教育普及などを目的として、青森県青森市・八甲田山の麓に建てられた芸術センターである。
設計を務めたのは、コンクリート建築で知られる世界的建築家・安藤忠雄だ。
本施設は、馬蹄型の「中央棟」と、直線型の「宿泊棟・アトリエ棟」という計3つの棟で構成されており、それらの幾何学的形態を組み合わせるといった構成は、安藤忠雄の真骨頂でもある。
また、安藤忠雄はこの建築のテーマとして「見えない建築」というのを掲げており、それぞれの棟は可能な限り高さを抑えることで、周辺の緑豊かな景観を破壊せずに、自然と建築の共生を実現している。
2.弘前れんが倉庫美術館【田根剛】




- 設計:田根剛
- 竣工:2020年
- 用途:美術館
- 住所:青森県弘前市吉野町2-1
- URL:公式ページ
弘前れんが倉庫美術館は、1907年に酒造倉庫として建てられた「吉野町煉瓦倉庫」を美術館として改修し、2020年に開館した美術館施設である。
設計を務めたのは「エストニア国立博物館」の国際コンペで最優秀賞を受賞し、建築界に名を轟かせた建築家・田根剛だ。
田根剛はこの施設の設計で、新築・改築・増築・減築のいずれかを実施するのではなく、過去から学び未来へと継承するための「延築(田根剛の造語)」を試みている。
具体的には、通常、煉瓦組積造の建物を耐震補強する際には、内側に鉄骨の骨組みを組み上げて、既存のレンガを化粧材にしてしまう場合が多いのだが、それだと延築にはならないと考え、この建築では、煉瓦の壁に上から長さ約9mの穴を貫通させ、そこにPC鋼棒とコンクリートを流しいれ、基礎と緊結することで耐震補強を行っている。
つまり、過去の構造体を未来へと継承しているわけだ。
3.青森県立美術館【青木淳】








- 設計:青木淳
- 竣工:2005年
- 用途:美術館
- 住所:青森県青森市大字安田字近野185
- URL:公式ページ
青森県立美術館は、2021年・世界文化遺産に登録された縄文時代の遺跡「三内丸山縄文遺跡」と隣接する位置に建つ美術館建築である。
設計を務めたのは、「潟博物館」や「ルイ・ヴィトン表参道ビル」など、数多くの公共建築を手掛ける建築家・青木淳だ。
コンセプト「三内丸山縄文遺跡との一体性」
このコンセプトを基に、「三内丸山縄文遺跡」の荒々しさを表現した「土の空間」と、その上にかぶさるように存在する「白い空間」の凹凸がかみ合うに組み合わされた建築物が完成している。
端的に説明するのが難しい建築であるため、詳細については以下の記事を参照いただきたい。




4.十和田市現代美術館【西沢立衛】








- 設計:西沢立衛
- 竣工:2008年
- 用途:美術館
- 住所:青森県十和田市西二番町
- URL:公式ページ
十和田市現代美術館は、22人のアーティストによるコミッションワーク(デザイナーがクライアントから依頼されて作成した作品)を中心に扱う、青森県十和田市に建つ現代美術館である。
設計を務めたのは、「豊島美術館」や「森山邸」など、特異な建築作品を数多く手がける建築家西沢立衛だ。
コンセプト「美術と街の融合」
このコンセプトを基に、作品ごとに分割された複数の展示棟が、街に投げ出されるかのように配置され、街に美術品が置かれたような風景を作り出している。




5.八戸市美術館【西澤徹夫・浅子佳英・森純平】




- 設計:西澤徹夫・浅子佳英・森純平
- 竣工:2020年
- 用途:美術館
- 住所:青森県八戸市番町10-4
- URL:公式ページ
八戸市美術館は、1986年に旧八戸税務署ビルを利用する形で開館し、2021年に現施設に建て替えられた、青森県八戸市に建つ美術館である。
設計は、西澤徹夫・浅子佳英・森純平という3人の建築家の共同設計で行われた。
本施設は内部構成が特徴的であり、上部部分がガラス張りになった巨大な一室空間「ジャイアントルーム」と、そのジャイアントルームと対面するように並べられた「個室群」の2つの要素で構成されている。
この2つの質の異なる空間を並列に配置することによって、多様な活動が交じり合い、様々な偶然の出会いが生まれる魅力的な空間を作り出している。
6.縄文時遊館【梓設計】








- 設計:梓設計
- 開館:2002年
- 用途:展示場
- 住所:青森県青森市大字三内字丸山305
- URL:公式ページ
縄文時遊館は、日本最大の縄文集落跡「三内丸山遺跡」のビジターセンターとして、2002年に建設された施設である。
設計を務めたのは、「埼玉スタジアム」や「山梨県立博物館」など数多くの公共施設を手掛ける、大手建築設計事務所「梓設計」だ。
本施設は、緑豊かな周辺環境との調和を図るために、低層&屋上緑化という構成を採用しており、まるで地形に埋め込まれ、自然と一体になったような建築物となっている。
また、施設中央には大きな広場が設けられており、その広場を囲うようにして回廊状の内部空間を作り出しているため、どこにいても常に自然を感じることのできる空間構成となっている。
7.弘前市立博物館【前川國男】




- 設計:前川國男
- 開館:1977年
- 用途:博物館
- 住所:青森県弘前市下白銀町1−6
- URL:公式ページ
弘前市立博物館は、青森県弘前市にある「弘前公園」内に建設された市立美術館である。
設計を務めたのは、日本建築界の巨匠・前川國男である。
弘前公園内には「弘前城」や同じく前川國男が設計した「弘前市民会館」などが建っており、それらの建築物との関係性などを配慮して本施設は設計された。
建築としては、ピロティや赤レンガ風タイル、広いロビー空間など、前川國男らしさが存分に発揮された作品となっている。
8.是川縄文館【岡設計】




- 設計:岡設計
- 竣工:2010年
- 用途:博物館
- 住所:青森県八戸市大字是川字横山1
- URL:公式ページ
是川縄文館は、縄文文化の研究・展示・保存などを目的に、青森市にある縄文時代の遺跡「是川遺跡」に隣接する位置に建設された博物館である。
設計を務めたのは、公共施設を数多く手がける建築設計事務所・岡設計である。
本施設は、三角形の形態が特徴的な「縄文時代の竪穴住居」や、縄文時代から使用され始めたとされる「漆」の色味をイメージして設計されている。
また、施設中央には、広いアトリウム空間が存在しており、複数の諸室に一体性をもたらす重要な役割を果たしている。
9.三沢市寺山修司記念館【粟津潔】




- 設計:粟津潔
- 開館:1997年
- 用途:博物館
- 住所:青森県三沢市三沢早稲田116−2955
- URL:公式ページ
三沢市寺山修司記念館は、青森県三沢市ゆかりの芸術家・寺山修司の顕彰を目的として、1997年に建設された博物館建築だ。
本施設は、寺山修司と親交のあったデザイナー「粟津潔」のデザインを基に建設されている。
施設全体としては、「展示棟」と「ホワイエ棟」の2棟で構成されており、その2棟の間には渡り廊下が架けられており、一体的な利用が可能となっている。
また、この2棟の外壁には「ピエロの顔」や「寺山氏と交流のあった約30人のメッセージ陶板」などが取り付けられており、異様な雰囲気を作り出している。
10.青森県立三沢航空科学館【梓設計】








- 設計:梓設計
- 竣工:2003年
- 用途:博物館
- 住所:青森県三沢市三沢北山158
- URL:公式ページ
青森県立三沢航空科学館は、「航空史」と「科学」を専門的に取り扱う、青森県三沢市に建つ博物館施設である。
設計を務めたのは、「埼玉スタジアム」や「山梨県立博物館」など数多くの公共施設を手掛ける、大手建築設計事務所「梓設計」だ。
本州最東端の空港として知られる「三沢空港」のすぐそばに建つ本施設は、建物の前面に大きな「円形広場」をもっており、その広場には航空自衛隊やアメリカ空軍などによる協力の下で「実物の航空機」が設置されている。
また、建築としては、ガラスの壁でできたシンプルな箱型形態をしているが、その内部には柱のない大空間が広がっており、そこには航空機の実物大模型などが展示されている。
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