みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」といいます。
今回は、長野県の美術館・博物館13選をご紹介したいと思います。
長野県には、浮世絵を専門的に扱う博物館から、絵本や灯火器具を扱う博物館まで、多種多様な美術館・博物館施設が揃っています。
本記事では、そのような魅力的な施設を13カ所紹介しているので、長野県で美術館巡りをする際には是非参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
長野県の美術館・博物館13選【浮世絵博物館~絵本美術館まで】
1.アンフォルメル中川村美術館【毛綱毅曠】

- 展示:アンフォルメルの作品
- 設計:毛綱毅曠建築事務所
- 竣工:1989年
- 用途:美術館 彫刻館
- 住所:長野県上伊那郡中川村
- URL:公式ページ
アンフォルメル中川村美術館は、1950年代にフランスを中心に興った「アンフォルメル」という抽象芸術を専門的に扱う施設として、1989年に建設された美術館である。
本施設の設計は、安藤忠雄・渡辺豊和らと共に「関西の三奇人」と呼ばれた建築家「毛綱毅曠」が担当。
平屋建てでできた本美術館は、入る機能ごとに建物が分節されており「美術館棟」「彫刻棟」「便所棟」「シンボルタワー」といった具合に4つの棟に分節され、構造も部分ごとに異なる構成となっている。
毛綱毅曠はこの建築で、機能や形態を最小単位まで分解し、その分解して生まれた単体にそれぞれ別の構造(鉄骨造・コンクリート造・木造など)を与えることによって「アート宇宙」という空間を作り出そうとしたらしい。
2.日本浮世絵博物館【篠原一男】




- 展示:浮世絵
- 設計:篠原一男
- 竣工:1982年
- 用途:博物館
- 住所:長野県松本市島立
- URL:公式ページ
日本浮世絵博物館は、浮世絵の収集・展示などを目的に、長野県松本市島立に建設された博物館である。
本施設の設計は、東北大学で数学を専攻後、建築に転向したことで知られる建築家「篠原一男」が担当。
上空写真を見るとわかるが、この建築は「直方体」と「複数の立方体」が組み合わされることで全体像が構成されており、篠原一男建築らしい幾何学が設計に用いられていることがわかる。
さらに、折れ曲がった壁面には、8×8m単位で幾何学的な形態を持った「コンクリート壁」が配置されており、この形態は、内側に入る機能に合わせた大きさや形状になっている。
篠原一男を象徴するかのような「幾何学を用いた建築」の代表的な作品である。
3.飯田市美術博物館【原広司】








- 展示:美術・人文・自然に関する資料や作品
- 設計:原広司+アトリエ・ファイ建築研究所
- 開館:1988年
- 用途:美術博物館
- 住所:長野県飯田市追手町
- URL:公式ページ
飯田市美術博物館は、長野県飯田市に建つ、美術館と博物館を併設した芸術施設である。
本施設の設計は、札幌ドームや梅田スカイビルなど、数多くの大規模公共建築を手掛ける建築家「原広司」が担当。
建築としては、ごつごつとした「集落の複雑性」を思わせるような大屋根が特徴的だが、原広司氏はこの大屋根を「南アルプス」をイメージして設計したという。
さらに、その南アルプスの大屋根の下には、たくさんの柱が林立するロビー空間が広がっており、トップライトと合わさり自然的な空間がつくられている。
4.神長官守矢史料館【藤森照信】




- 設計:諏訪大社上社の神長官・守矢家に関する資料
- 設計:藤森照信
- 竣工:1991年
- 用途:史料館
- 住所:長野県茅野市宮川高部
- URL:公式ページ
神長官守矢史料館は、明治初期まで諏訪大社上社の神長官を務めた「守矢家」の文書を保管・公開するために建設された博物館である。
本施設の設計も「藤森照信」行っており、彼のデビュー作にもなっている。
元々建築史家として活動していた藤森照信だったが、守矢家第78代当主「守矢早苗」が藤森照信と幼馴染であったことをきっかけに、藤森に本施設の設計を依頼し、藤森照信の建築家デビューが果たされたという経緯になっている。
建築としては、自然の素材や地元産の素材に覆われた外観が特徴的で、早くも藤森建築らしさが際立った建築作品が完成している。
5.安曇野ちひろ美術館【内藤廣】
- 展示:いわさきちひろの作品
- 設計:内藤廣建築設計事務所
- 竣工:1996年
- 用途:美術館
- 住所:長野県北安曇野郡
- URL:公式ページ
安曇野ちひろ美術館は、絵本画家「いわさきちひろ」の作品の保存・展示などを目的として、1996年長野県安曇野に建設された美術館建築である。
本施設の設計は、木材をふんだんに使用した建築作品を数多く手がけることで知られる建築家「内藤廣」が担当。
本施設は「1日滞在型の施設」というコンセプトを基に設計されており、長時間滞在したくなるような様々な工夫がなされた、魅力的な建築物となっている。
建築としては、背後に佇む北アルプスの山並みに呼応するかのような「切妻屋根」が象徴的な外観を形成しているが、その切妻屋根を木造架構によってつくり出すことによって、内部にも暖かみのある豊かな空間を形成している。




6.軽井沢千住博美術館【西沢立衛】




- 展示:日本画家・千住博の作品
- 設計:西沢立衛建築設計事務所
- 竣工:2011年
- 用途:美術館
- 住所:長野県軽井沢町長倉塩沢
- URL:公式ページ
軽井沢千住博美術館は、日本画家・千住博の作品を保存・展示することを目的として、2011年に建設された美術館建築である。
本施設の設計は、国内外で活躍する日本人建築家「西沢立衛」が担当。
この建築の特徴は、敷地の傾斜をそのままに残して床をつくったランドスケープのような構成である。
施設全体が大きなワンルーム空間として構成されており、丘を散策しながら千住博氏の作品を鑑賞したり、休憩したりすることができる豊かな展示空間が形成されている。
また、建物には4つの中庭が設けられており、自然光を中に取り入れることで、さらに自然的な体験できる空間を作り出している。
7.長野県立美術館・本館【宮崎浩】
- 展示:長野県にゆかりのある画家の作品
- 設計:宮崎浩/プランツアソシエイツ
- 竣工:2020年
- 用途:美術館
- 住所:長野県長野市箱清水
- URL:公式ページ
長野県立美術館は、長野市内で最も古い都市公園「城山公園」の中に建つ公立美術館である。
本美術館では、郷土にゆかりのある芸術家の作品や、信州の風景を描いた作品などを中心に、4,600点にも及ぶ美術作品の保存・展示を行っている。
本施設は「本館」と「東山魁夷館」の2棟で構成されており、それぞれ「宮崎浩」と「磯崎新」が設計を担当。
長野県立美術館は元々「長野県信濃美術館」という名称で1966年に開館した美術館なのだが、老朽化などの問題から、本館は改築、東山魁夷館は改修することが決定。その後、改築・改修を経て2021年にリニューアルオープンし、その際に名称も「長野県立美術館」に変更している。
ちなみに、長野県立美術館を構成する2つの棟の間には、水盤やテラスが設けられ、建物同士は連絡通路によって接続されている。
8.安曇野高橋節郎記念美術館【宮崎浩】
- 展示:漆芸術家・高橋節郎の作品
- 設計:宮崎浩/プランツアソシエイツ
- 竣工:2002年
- 用途:美術館
- 住所:長野県安曇野市
- URL:公式ページ
安曇野高橋節郎記念美術館は、日本の漆芸術家「高橋節郎」が手がけた作品の収蔵・展示などを目的として、長野県安曇野市に建てられた美術館建築である。
本施設の設計は、中原中也記念館や長野県立美術館など、数多くの公共施設を手掛ける建築家「宮崎浩」が担当。
本施設の対面には、江戸時代に創建されたとされる伝統建築物が複数棟立ち並んでいるが、宮崎浩は無理にこれらの伝統様式に合わせることはせず、むしろ真反対ともいえるような、水平ラインの際立ったスタイリッシュな美術館を作り出した。
そして、両者の間には庭園・石庭・水庭といった自然的要素を配置。
これによって、新旧の建物が適度な距離感を保ちながらも、豊かな自然を介して繋がりを持ち、過去と現在すらも接続してしまうような魅力的な空間が形成されている。
9.セゾン現代美術館【菊竹清訓】
- 展示:国内外の現代美術作品
- 設計:菊竹清訓建築設計事務所
- 竣工:1981年
- 用途:美術館
- 住所:長野県北佐久郡軽井沢町
- URL:公式ページ
セゾン現代美術館は、国内外の優れた現代美術作品の保存・展示などを行う、緑豊かな長野県・軽井沢の地に建つ現代美術館である。
本美術館は、1960年代に流行した建築運動「メタボリズム」の第一人者として知られる建築家「菊竹清訓」が設計を担当。
建築としては、日本建築特有の深い軒下空間を持つ大屋根が象徴的な外観を形成しているが、構造自体は木造ではなく主に鉄筋コンクリート造によって構成されており、和と洋を組み合わせたような建築物となっている。
また、本施設の内部空間は、ガラスによって覆われた「オープンスペース」と、壁で囲われた「クローズドスペース」の2つの空間で構成されており、オープンスペースには展示室、クローズドスペースにはロビーといった具合に、空間の質に合わせて適切な機能を設定できる構成になっている。
10.武石村ともしび博物館【宮本忠長】
- 展示:灯火器具など
- 設計:宮本忠長建築設計事務所
- 竣工:1989年
- 用途:博物館
- 住所:長野県上田市下武石
- URL:公式ページ
武石村ともしび博物館は、旧武石村の村制施行百周年を記念して1989年に開館した博物館であり、灯火器具の収集・展示などをメインに運営されている。
建築の設計は、長野県出身の建築家「宮本忠長」が担当。
本施設は、展示館・伝承館・茶室・体験館といった複数の独立した棟で全体が構成されており、それらの建物は敷地中央の大きな池を囲うように配置され、各棟は回遊通路によって結ばれている。
基本的に、どの棟も主要構造は鉄筋コンクリート造になっているが、回廊の柱や屋根、小屋といった部分には木造が採用されており、現代の技術で強固な建築物を作りつつ、外観は日本の伝統を踏襲した和風建築となっている。
11.長野市立博物館【宮本忠長】




- 展示:長野盆地の歴史や民俗に関する資料
- 設計:宮本忠長建築設計事務所
- 竣工:1981年
- 用途:博物館
- 住所:長野県長野市小島田町
- URL:公式ページ
長野市立博物館は、長野盆地の歴史や民俗に関する資料の展示などを行う、長野市・川中島古戦場史跡公園内に建つ公立博物館である。
建築の設計は、長野県出身の建築家「宮本忠長」が担当。
本施設は、背後に佇む山々と呼応するかのような形態を持った「大屋根」と、その大屋根を持ち上げる「コンクリート柱の連なり」が対比を成した、和洋折衷型の建築物となっている。
ちなみに大屋根には「コルテン鋼」という、表面にあえて錆の層を持たせることで本体がさびるのを防ぐことができる素材を使用しており、赤みがかった屋根が周囲の自然になじみ、いい味を出している。
12.軽井沢ニューアートミュージアム【西森陸雄】




- 展示:国内外の現代アート作品
- 設計:西森事務所
- 竣工:2007年
- 用途:美術館
- 住所:長野県北佐久郡軽井沢町
- URL:公式ページ
軽井沢ニューアートミュージアムは、戦後から現在までに制作された現代アートを始めとして、国内外の様々な作品を収蔵・展示している美術館施設である。
本美術館は、2007年に商業施設として建設された建物の内装を、美術館として利用できるようにリニューアルして開館。
元々の商業施設を設計したのは、工学院大学建築学部で教授を務める建築家「西森陸雄」である。
建築としては、軽井沢のカラ松林をイメージしてデザインされた、林立する細い柱群が象徴的な外観を形成しており、林の中で美術作品を鑑賞するかのような、魅力的な体験ができる施設となっている。
13.軽井沢町歴史民俗資料館【三輪正弘】




- 展示:軽井沢の歴史や民俗に関する資料
- 設計:三輪正弘環境造形研究所
- 竣工:1980年
- 用途:博物館
- 住所:長野県北佐久郡軽井沢町
- URL:公式ページ
軽井沢町歴史民俗資料館は、別荘地として発展した軽井沢の歴史や民俗に関する資料を保存・公開している歴史民俗博物館である。
建築の設計は、東京造形大学や武蔵野美術大学などの教授を歴任した建築家「三輪正弘」が担当。
建築は、博物館というよりも「まさに資料館」といった雰囲気を醸し出す「倉」のような構成が落ち着きのある外観を作り出しており、周囲の自然と共鳴するかのように軽井沢の地にひっそりと佇んでいる。
また、外壁はコンクリート打ち放しで仕上げられているのだが、型枠に杉縁甲板を使用しているため、コンクリートに木材の木目や質感が転写され、質感の良い外観を作り出している。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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