みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」といいます。
今回紹介するのは、福島県にある魅力的な美術館・博物館10選です。
福島県には、1000円札の肖像画にも採用されている細菌学者「野口英世」の記念館や、シュルレアリスムを代表する画家「サルバドール・ダリ」の作品を数多く所蔵する美術館まで、多種多様な美術館・博物館施設が揃っています。
本記事では、それら施設の展示品や建築の特徴などを解説しているので、福島県で美術館巡りなどをする際には、是非参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
福島県の美術館・博物館10選【野口英世記念館~ダリ所蔵美術館まで】
1.アクアマリンふくしま【日本設計】
- 展示:太平洋に関する展示
- 設計:日本設計
- 竣工:2000年
- 用途:水族館・海洋科学館
- 住所:福島県いわき市小名浜字辰巳町
- URL:公式サイト
アクアマリンふくしまは、福島県いわき市に建つ「水族館(観光施設)」と「海洋科学館(教育施設)」という二つの機能をあわせもった博物館建築である。
本施設の設計は、設計協議審査会で最優秀賞を受賞した大手組織設計事務所「日本設計」が担当。
生物のように緩やかな曲面を描いた「ガラスシェルター」が象徴的な外観を形成しつつ、前面に広がる太平洋と呼応するような開放性のある博物館となっている。
建築に詳しい人からすると、優れた水族館建築を聞かれてまず思いつくのは谷口吉生設計の「葛西臨海水族園」だと思うが、福島にもこれほど魅力的な水族館建築があることを忘れてはいけない。
2.福島県立美術館【大高正人】
- 展示:福島県にゆかりのある画家の作品等
- 設計:大高建築設計事務所
- 竣工:1984年
- 用途:美術館
- 住所:福島県福島市森合字西養山
- URL:公式サイト
福島県立美術館は、福島県福島市の市街地にポツリと佇む山「信夫山」の麓に、福島県立図書館と併置する形で建設された県立美術館である。
本施設の設計は、福島県出身の建築家「大高正人」が担当。
建築としては、大高正人の事務所が何年も前から挑戦していた「日本の伝統的な独自性の蘇生」というテーマを基に、切妻屋根・寄棟屋根・方形屋根といった日本伝統の屋根形式を付与した構成となっており、それにより落ち着きのある外観を作り出している。
また、併置する福島県立図書館とは「渡り廊下」で動線的に接続されているが、それだけではなく、外壁タイルなどの「素材」も統一することによって、視覚的な統一感も演出している。(設計者は別々だが、協議を行いながら設計を進めた)
3.福島県立博物館【佐藤武夫】




- 展示:旧石器時代から現代までの福島の歴史や文化の変遷を展示
- 設計:佐藤武夫設計事務所
- 竣工:1986年
- 用途:博物館
- 住所:福島県会津若松市城東町
- URL:公式サイト
福島県立博物館は、福島県会津若松市の「鶴ヶ城公園」内に建つ県立博物館で、福島県の歴史・民俗・自然に関する資料の収集・展示などを行っている。
設計は、日本の大手組織設計事務所「佐藤総合計画」の生みの親である建築家「佐藤武夫」が担当。
本施設は、この地方に伝わる伝統的な「蔵」の形式をモチーフとして設計されており、日本伝統の「切妻屋根」と「漆喰」をイメージさせる白タイルの外壁が、建物に重厚感を付加している。
また、この蔵をモチーフにした形態は、周辺に建つ「会津若松城」などの歴史のある建物との調和を成しており、周辺一帯の景観にも溶け込んだ優れた建築作品となっている。
4.泉崎資料館【湯澤正信】




- 展示:泉崎村の歴史・民俗に関する展示
- 設計:湯澤建築設計研究所
- 竣工:1993年
- 用途:歴史民俗資料館
- 住所:福島県西白河郡泉崎村大字泉崎字八丸
- URL:公式サイト
泉崎資料館は、JR東日本東北本線の駅「泉崎駅」に隣接する位置に建つ、泉崎村の歴史・民俗に関する展示などを行う資料館である。
設計を務めたのは、磯崎新のアトリエに勤務後、自身の設計事務所を設立して活動した建築家「湯澤正信」である。
本施設は、電車の通る線路側に展示室や収蔵庫といった閉鎖的な機能を配置し、その反対側にはロビーやイベントホールといった開放的な機能を配置。
そして、それら複数の機能を包み込むように軽やかな大屋根がコンクリートの建物全体にかぶせられており、施設全体として一体感を演出している。
5.郡山市立美術館【柳澤孝彦】
- 展示:郡山市にゆかりのあるアーティストの作品を展示
- 設計:TAK建築・都市計画研究所/柳澤孝彦
- 竣工:1992年
- 用途:美術館
- 住所:福島県郡山市安原町字大谷地
- URL:公式サイト
郡山市立美術館は、福島県郡山市にゆかりのあるアーティストの作品の保存・展示など目的として、緑豊かな「風土記の丘公園」内に建設された美術館建築である。
設計は「東京都現代美術館」や「新国立劇場」など、数多くの公共施設を手掛けたことで知られる建築家「柳澤孝彦」が担当。
上空写真を見るとわかりやすいのだが、本施設は、緩やかな傾斜を持った「石の広場」を囲うようにして「L字型の棟」が配置されており、そのL字型の棟には丘と呼応するかのような「大屋根」がかけられている。
また、建物の前面に設けられた池と石の広場の間には、約100mに及ぶキャノピー(庇)を持った回廊空間が設けられており、来館者をエントランスまで誘う役割を果たしている。
6.福島市古関裕而記念館【岡田新一】




- 展示:作曲家・古関裕而に関する資料を展示
- 設計:岡田新一設計事務所
- 竣工:1988年
- 用途:記念館
- 住所:福島県福島市入江町
- URL:公式サイト
福島市古関裕而記念館は、福島市出身の作曲家・古関裕而の顕彰を目的として「ふくしん夢の音楽堂」に隣接する位置に建設された記念館建築物である。
建築の設計は「ふくしん夢の音楽堂」と同様に岡田新一が担当した。
本施設は、隣接するふくしん夢の音楽堂と同じ「アクリル系スタッコ吹き付けの外壁」となっており、音楽堂が作り出す集落的空間に溶け込むように設計されていることがわかる。
また、外観を印象付けている円筒型の塔は、「鐘」をモチーフとして設計しているそうだが、これは古関裕而の曲に「鐘」がつくタイトルが多いことがきっかけになっているらしい。
7.野口英世記念館【竹中工務店】
- 展示:野口英世に関する資料を展示
- 設計:竹中工務店
- 竣工:2015年(増築)
- 用途:博物館
- 住所:福島県耶麻郡猪苗代町
- URL:公式サイト
野口英世記念館は、福島県出身の細菌学者「野口英世」の顕彰を目的として、1939年に開館した博物館建築である。
本博物館は1939年に開館後、複数回に及ぶ増改築を経て現在の姿となっており、直近(2015年)の増築では、日本のスーパーゼネコンである「竹中工務店」が設計を担当した。
本施設は、野口英世が生まれ育った「生家」と、野口英世に関する資料などを展示する「展示棟」の2棟が横並びで立ち並んでおり、生家の上部には建物を風雪から保護するための上屋が設置されている。
野口英世の生家は、江戸時代後期(1823年)に建設されたもので、1981年に全面的な解体修復工事が行われ、現在の状態に復元されている。
8.諸橋近代美術館【清水公夫】




- 展示:サルバドール・ダリの作品など
- 設計:清水公夫研究所
- 竣工:1998年
- 用途:美術館
- 住所:福島県耶麻郡北塩原村桧原字剣ヶ峯
- URL:公式サイト
諸橋近代美術館は、福島県出身の実業家・諸橋廷蔵のコレクションを基に設立された美術館である。
20世紀初頭に起こった芸術運動・シュルレアリスムを牽引したとされる画家「サルバドール・ダリ」の作品を数多く収蔵しており、アジア随一のダリ所蔵美術館としても知られている。
本施設の設計は、福島県を中心に設計活動を行う建築家「清水公夫」が担当。
建物は、創設者の強い希望もあり「西洋中世の馬小屋」をイメージしたデザインとなっており、シンメトリーなファサードが前面に広がる池に映り込み、自然と一体となった魅力的な景観を作り出している。
9.いわき市石炭・化石館【設計者不明】
- 展示:市内で発掘された動植物化石など
- 設計:不明
- 竣工:1984年
- 用途:博物館
- 住所:福島県いわき市常磐湯本町字向田
- URL:公式サイト
いわき市石炭・化石館は、いわき市内で発掘された動植物の化石を中心に、あらゆる生物の化石資料の保存・展示を目的として、1984年福島県いわき市に建設された博物館である。
本博物館には、愛称として「ほるる」という名がつけられており、これは開館時に全国から愛称を募集して決定された。
本施設の設計者は不明であるが、施工に関しては、いわき市に本社を持つ「常磐開発株式会社」が担当したことはわかっている。
建築としては、屋上緑化され地形になじんだ構成と、常磐炭礦で実際に使われていた西部鉱竪坑櫓の赤色と共鳴するかのような「赤い片流れ屋根」が印象的な外観を形成している。
10.星の村天文台【設計者不明】
- 展示:天体観測等
- 設計:設計者不明
- 竣工:1991年
- 用途:天文台など
- 住所:福島県田村市滝根町神俣字糠塚
- URL:参考サイト
星の村天文台は、天文台・プラネタリウム・展示室・TAKINE浪漫館など複数の機能を内包する、福島県田村市に建つ博物館である。
滝根町には昔から「あぶくま洞」と呼ばれる鍾乳洞が存在しており、日本でも有数の鍾乳洞スポットとして観光客が多く訪れていたのだが、当時の町長が「地底を探索する鍾乳洞があるなら、反対に天を探索するものもあって良いだろう」と考え、この地に天文台が設立される運びになったという。
また、本施設は直径6.5mのドームをもつ天文台自体も魅力的な建築となっているのだが、それ以上に、高台にある天文台と高台の下にある駐車場をつなぐ「天地人橋」という歩道橋が人気の観光スポットとなっている。
天地人橋は、「円」と「のの字」を描く歩道橋が複雑に混ざり合った構成となっており、その回遊性は天文台に向かう人々の好奇心を刺激する効果がある。
福島県の関連書籍
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント