みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」といいます。
今回紹介するのは、新潟県に建つ魅力的な美術館・博物館10選です。
新潟県には、現代美術作品を専門に取り扱う「現代美術館」から、新潟や縄文時代の歴史を取り扱う「歴史博物館」まで、多種多様な美術館・博物館施設が揃っています。
本記事では、それらの美術館・博物館の展示作品や建築の特徴などを解説しているので、新潟県で美術館巡りなどをする際には、是非本記事を参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
新潟県の美術館・博物館10選【現代美術館から歴史博物館まで】
1.越後妻有里山現代美術館MonET【原広司】
- 展示:国内外のアーティストの現代アート作品
- 設計:原広司+アトリエ・ファイ建築研究
- 竣工:2003年
- 用途:展示 集会 工房 店舗 温泉施設
- 住所:新潟県十日町市本町
- URL:公式ページ
越後妻有里山現代美術館MonETは、美術館・温泉・店舗など複数の機能を複合した、新潟県十日町市に建つ複合施設である。
設計は、札幌ドームや梅田スカイビルなど、数多くの大規模公共建築を手掛ける建築家「原広司」が担当。
上空写真を見るとわかるが、本施設は大きな中庭を持つ正方形型の建物となっており、外観はコンクリートの壁が立ち上がった非常にシンプルなものとなっている。
このような構成をとった理由は、この敷地の周辺が電車なども通る住宅街であり、あまりいい外環境とは言えない状況であったというのが要因として大きいらしく、外に期待できないなら内で豊かな空間を形成しようと考え「大きな池を持った中庭」を設けることにしたという。
2.蕗谷虹児記念館【内井昭蔵】




- 展示:挿絵画家・蕗谷虹児の作品など
- 設計:内井昭蔵建築設計事務所
- 竣工:1987年
- 用途:記念館
- 住所:新潟県新発田市中央町
- URL:公式ページ
蕗谷虹児記念館は、新潟県新発田出身の挿絵画家・蕗谷虹児(ふきやこうじ)の顕彰を目的として1987年に建設された施設である。
蕗谷虹児は、新聞連載小説の挿絵や『いっすんぼうし』『人魚姫』といった絵本の挿絵などを数多く手がけており、この記念館では、そういった蕗谷虹児作品の原画や遺品などを展示。
本施設の設計は、世田谷美術館や大分市美術館など、数多くの美術館建築を手がけたことで知られる建築家「内井昭蔵」が担当している。
そして、内井昭蔵はこの記念館を「蕗谷虹児の姿をした建築にしたい」と考えて設計の臨んだという。
具体的には、蕗谷虹児という人物、そして彼の作品に「トワイライトゾーン(不可思議な事象や超常現象などの怪異が起こる時間)」的なものを内井昭蔵は感じ取り、そのイメージを表すには「ロシア正教会」の形態を用いるしかないと考えたそう。
この思想に基づいて設計された記念館は、まさしくロシア正教会建築を思わせる、荘厳な作りになっている。
3.新潟市美術館【前川國男】




- 展示:近現代のすぐれた作品
- 設計:前川國男
- 開館:1985年
- 用途:美術館
- 住所:新潟県新潟市中央区西大畑町
- URL:公式ページ
新潟市美術館は、1985年に開館した、新潟市中央区西大畑町に建つ市立美術館である。
本施設の設計は、日本建築界の大巨匠「前川國男」が担当。
前川國男建築には「赤レンガ風タイル」を使用した作品が多いが、ここでは「オリーブ・グリーン色のタイル」が使用されており、あらゆる季節の風景に馴染みつつ、年を経るごとに味が出てくる魅力的な外観を形成している。
また、この建築は前川國男が亡くなる前年に開館しており、前川國男最晩年の作品としても知られている。
4.潟博物館(ビュー 福島潟)【青木淳】




- 展示:新潟の歴史や自然に関する展示など
- 設計:青木淳建築計画事務所
- 竣工:1997年
- 用途:博物館・歩道橋
- 住所:新潟県豊栄市前新田字新々囲
- URL:公式ページ
潟博物館(ビュー 福島潟)は、新潟市最大の潟「福島潟」のそばに建つ、博物館やカフェなどを備えた交流施設のことである。
設計は、ルイ・ヴィトンの店舗を数多く手がけることで知られる建築家「青木淳」が担当。
本施設のコンセプトは「動線体」であり、螺旋状のスロープという「動線」自体が空間として成立し、観光客に多様な活動をもたらす豊かな空間が形成されている。
潟博物館の詳細については、以下の記事をご覧ください。




5.上越市立水族博物館【日本設計】




- 展示:日本海に生息する生物の展示など
- 設計:日本設計
- 竣工:2018年
- 用途:水族博物館
- 住所:新潟県上越市五智
- URL:公式ページ
上越市立水族博物館は、新潟県上越市の日本海沿岸に建つ、80年以上の歴史を持った水族博物館である。
現在建つ建物は、2018年に建設されたもので、なんと6代目の施設となる。
本施設の設計は、日本の大手組織設計事務所「日本設計」が担当。
建築としては「ガラスの箱」とその上に浮く「大屋根」という構成が印象的な外観を作り出しており、箱と大屋根の間にはイルカショースペースやテラス、日本海大水槽といった要素が配置され、日本海を望みながら鑑賞もできる空間となっている。
このテラスから日本海側を見ると、水槽の水に日本海や大空の青が映り込み、まるで水族館・海・大空が接続したかのような不思議な体験ができる。
6.ゑしんの里記念館【池原義郎】




- 展示:恵信尼に関する資料を展示
- 設計:池原義郎・建築設計事務所
- 竣工:2005年
- 用途:資料館・廟所
- 住所:新潟県上越市板倉区米増
- URL:公式ページ
ゑしんの里記念館は、越後にゆかりのある浄土真宗の宗祖・親鸞の妻「恵信尼」に関する資料を展示することを目的として、2005年に建てられた資料館建築である。
本施設の設計は「西武遊園地」や「西武ドーム」など数多くの大型公共施設を設計したことで知られる建築家「池原義郎」が担当。
本施設は、低く水平性を強調した建物構成と、直線の中に一つまぎれる緩やかな曲面を描いた屋根によって、落ち着きつつも躍動感を感じる魅力的な外観が作り出されている。
また、建物前面には月見台のある水盤が設置されており、水盤に水平性のある建物が映り込む様子からは、谷口吉生の代表作「豊田市美術館」との共通点を感じる。
7.新潟県立自然科学館【石本建築事務所】
- 展示:自然・恐竜・宇宙に関する展示
- 設計:石本建築事務所
- 竣工:1981年
- 用途:博物館
- 住所:新潟県新潟市中央区女池南
- URL:公式ページ
新潟県立自然科学館は、宇宙・天体・自然など幅広い科学に関する展示を行う、新潟県新潟市に建つ県立科学館である。
本施設の設計は、日本の組織設計事務所「石本建築事務所」が担当。
建築はシンメトリーな形態を持った重厚感のある構成が特徴的だが、これは「科学の方舟」をイメージしてデザインされており、そういわれてみると所々に見られる曲面などからは、船の形態が想起される。
また、本施設の南側には、大階段と屋上広場が設置されているが、その空間展開は、もはや船上そのままである。
8.新潟県立近代美術館【日本設計】




- 展示:国内外の近代美術作品を展示
- 設計:日本設計
- 開館:1993年
- 用途:美術館
- 住所:新潟県長岡市千秋
- URL:公式ページ
新潟県立近代美術館は、緑や花に囲まれ、野外音楽堂やコンサートホールなど様々な施設を有する新潟県長岡市の公園「千秋が原ふるさとの森」の中に建つ県立美術館である。
本美術館は、国内外の優れた近代美術作品を専門的に取り扱っている。
本施設の設計は、日本の大手組織設計事務所「日本設計」がコンペを勝ち抜き担当することになった。
建築としては、赤レンガ調の外壁と、メタリックなシルバーの外壁を組み合わせた対比的なファサードが特徴的で、エントランス前に設置された美しい局面を描く庇からは、人々を惹きつける誘引力を感じる。
9.新潟県立歴史博物館【日本設計】
- 展示:縄文時代の文化、新潟県の歴史や民俗に関する資料
- 設計:日本設計
- 竣工:1999年
- 用途:博物館
- 住所:新潟県長岡市関原町
- URL:公式ページ
新潟県立歴史博物館は、新潟県の歴史や民俗に関する資料や、縄文時代の文化に関する資料の保存・展示を目的として、新潟県長岡市に建てられた歴史博物館である。
3枚目の写真を見てもらうとわかるが、本博物館では、縄文時代や新潟県に関する展示を、実物大の復元模型などを通してわかりやすく紹介している。
本施設の設計は、日本の最大手組織設計事務所「日本設計」が担当。
施設全体としては「管理棟」と「展示棟」の2棟によって構成されており、その2棟の上に乗っかる曲面を描くメタリックな大屋根が印象的な外観を作り出している。
10.新潟市新津美術館【横山正+アルセッド建築研究所】




- 展示:近現代美術作品・彫刻・写真など様々な展示を行っている
- 設計:横山正+アルセッド建築研究所
- 竣工:1997年
- 用途:美術館
- 住所:新潟県新潟市秋葉区蒲ケ沢
- URL:公式ページ
新潟市新津美術館は、市町村合併によって現在はなくなってしまった「新津市」に建つ施設として、1997年に建設された美術館建築である。
新潟県立植物園・古津八幡山古墳などが存在する「花と遺跡のふるさと公園」内に立地している。
設計は、建築学者の「横山正」と、建築設計業を行う「アルセッド建築研究所」の共同で行われた。
本施設の全体像としては、黄色の外壁が印象的な「2つの展示棟」の間に、アトリウムやその他の機能を内包する「ガラス張りの棟」が2棟の隙間を埋めるように配置された構成が特徴的。
また、2棟の展示棟にはジグザグと折れ曲がる「折板構造の屋根」が乗っかっており、施設全体の印象を引き締め、スタイリッシュを建築に付加している。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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