みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」といいます。
今回は、富山県の美術館・博物館9選をご紹介したいと思います。
富山県には、ガラス美術品を取り扱う美術館から、絵本や日本刀を取り扱う美術館まで、多種多様な美術館・博物館施設が存在しており、本記事ではそれらの魅力的な施設の概要や建築の特徴などを解説しています。
富山県で美術館巡りをされる際には、是非本記事を参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
富山県の美術館・博物館9選【ガラス美術館~日本刀美術館まで】
1.高岡市美術館【内井昭蔵】

- 展示:高岡伝統の金工・漆芸など
- 設計:内井昭蔵建築設計事務所
- 竣工:1993年
- 用途:美術館
- 住所:富山県高岡市中川
- URL:公式ページ
高岡市美術館は、富山県高岡市・古城公園沿いに建つ公立美術館である。
高岡伝統の金工・漆芸の作品を中心に、様々な美術作品や工芸作品の収集・展示を行いつつ、積極的に美術家や研究者による講演を行うなど、幅広い活動を行っている。
本施設の設計は、世田谷美術館や大分市美術館など、数多くの美術館建築を手がけたことで知られる建築家「内井昭蔵」が担当している。
建築としては、円形平面を持った「アートホール」を中心に建物が展開されており、さらに前面広場と高岡市美術館の間には「パティオ」と呼ばれる、地下に設置された中庭空間が広がっている。
また、高岡市美術館のすぐそばには、同じく内井昭蔵が設計を務めた「青井記念館」が建設されており、高岡市美術館と青井記念館をつなぐようにして、ジグザグと折れ曲がる「アルミキャスト屋根」に覆われた回廊空間がつくられている。
2.射水市大島絵本館【長谷川逸子】




- 展示:世界の絵本
- 設計:長谷川逸子・建築計画工房
- 竣工:1994年
- 用途:文化施設
- 住所:富山県射水市鳥取
- URL:公式ページ
射水市大島絵本館は、1994年・富山県射水市に建てられた「世界の絵本」をテーマとする公立博物館である。
元々は、富山県射水郡大島町に建つ「大島町絵本館」として開館した博物館であるが、大島町が周辺市町村と合併して「射水市」となったため、名称を変更し、現在の「射水市大島絵本館」になった。
本施設の設計は、日本人女性として初めて大規模公共建築の設計を担当したとされる建築家「長谷川逸子」が担当。
建築としては「閉鎖的な壁」と「透明な壁」が交互に連続するファサードが印象的な外観を形成しており、そのファサードに対応するように内部でも「閉鎖的な空間」と「開放的な空間」が交互に連続した構成となっている。
また、この敷地には「3つの小さな丘」があり、その丘の一つに射水市大島絵本館が設置されているのだが、他の2つの丘と絵本館がある丘は「ゆるやかなスロープ」でつながれており、回遊的な動線が形成されている。
3.富山市ガラス美術館(TOYAMAキラリ)【隈研吾】
- 展示:ガラス美術品
- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:2015年
- 用途:美術館・図書館・銀行本店など
- 住所:富山県富山市西町
- URL:公式ページ
富山市ガラス美術館は、富山市に建つ文化複合施設「TOYAMAキラリ」の中に設置されている美術館施設であり、国内外のガラス美術作家の作品を数多く展示している。
建築の設計は、新国立競技場や浅草文化観光センターなど、木材を使用した和風建築を数多く手がけることで知られる建築家「隈研吾」が担当。
本施設には、美術館の他にも図書館やギャラリーといった機能が設置されており、それらの機能は、建物中央に設けられた斜めに伸びる吹き抜けを囲うようにして配置されている。
また、その斜めに伸びる吹き抜けには、隈研吾が設計の際によく用いる「木製ルーバー」が設置されており、木材のぬくもりを感じる豊かな空間を作り出している。




4.富山県美術館【内藤廣】
- 展示:20世紀~現代の美術作品
- 設計:内藤廣建築設計事務所
- 竣工:2017年
- 用途:美術館
- 住所:富山県富山市木場町
- URL:公式ページ
富山県美術館は、20世紀以降の優れた近現代美術作品を数多く展示している、富山県富山市木場町に建つ公立美術館である。
設計は、木材をふんだんに取り入れた建築作品を数多く手がけることで知られる建築家「内藤廣」が担当。
本施設は、富岩運河と神通川に挟まれたウォーターフロントの敷地に建てられており、その敷地と呼応するようなクリアなガラス面が印象的な外観を形成している。
また、建物の屋上には「オノマトペの屋上」と呼ばれる緑豊かな屋上庭園が設置されており、周囲の自然や街並みを眺めながら、子供たちが楽しく遊べる魅力的な空間がつくられている。
5.富山県水墨美術館【富山県建築設計監理協同組合】
- 展示:近代以降の水墨画
- 設計:富山県建築設計監理協同組合
- 竣工:1998年
- 用途:美術館
- 住所:富山県富山市五福
- URL:公式ページ
富山県水墨美術館は、近代以降の水墨画の保存・展示を目的として1998年に建てられた、富山県富山市に建つ公立美術館である。
建築の設計は、県内20社以上の設計事務所が集結して1965年に結成した「富山県建築設計監理協同組合」が担当。
本施設は、日本伝統の「寄棟屋根・瓦葺き・平屋建て」という要素を「鉄筋コンクリート造」という強固な構造体で形成した和風デザインの建物となっており、深い軒の下から太いコンクリートの柱が伸びる様子が斬新なデザインで面白い。
また、この和風の建物は、芝生で覆われた大きな中庭を囲うようにして「L字型」の平面形状となっており、常に自然を感じられるような内部構成も魅力の一となっている。
6.氷見市海浜植物園【長谷川逸子】




- 展示:海浜植物を展示
- 設計:長谷川逸子・建築計画工房
- 竣工:1995年
- 用途:植物園
- 住所:富山県氷見市柳田
- URL:公式ページ
氷見市海浜植物園は、日本各地の海浜植物を中心的に取り扱う植物園として、1996年に開館した植物展示施設である。
建築の設計は、日本人女性として初めて大規模公共建築の設計を行ったとされる建築家「長谷川逸子」が担当。
本施設は、楕円形の「中庭・展示園」を囲うようにして、サークルを描く細長いボリュームの「展示棟」「温室棟」「管理棟」などが配置された全体構成となっている。
このサークル状の平面形態は、人間と植物の間に存在する「食物連鎖」をイメージしたデザインとなっており、植物への感謝の気持ちをサークルという形態によって表現しているらしい。
7.富山県立山博物館・展示館【磯崎新】




- 展示:立山の歴史・自然・文化に関する資料
- 設計:磯崎新アトリエ
- 竣工:1991年
- 用途:博物館
- 住所:富山県中新川郡立山町
- URL:公式ページ
富山県立山博物館は、総面積約13ヘクタールの広大な敷地の中に、展示館・遙望館・まんだら遊苑といった複数の施設が分散配置された「広域分散型博物館」である。
ここで紹介する「展示館」は、富山県立山博物館の中でも常設展示室や企画展示室を有する中核施設となっており、日本を代表する山「立山」の歴史・自然・文化に関する展示などを執り行っている。
展示館の設計は、長年にわたり日本建築界を牽引してきた建築家「磯崎新」が担当。
建築としては、立山を象徴するかのような山型のボリュームに、緩やかな曲面を持つボリュームが貫入した全体構成となっており、来館者はこの曲面壁に沿うように設けられた内部階段を介して、各展示空間を回っていく動線計画となっている。
また、建物の中央には外周部の階段とは別に「螺旋階段」が設置されており、山型建築の頂点にあるピラミッド型のトップライトはこの螺旋階段の位置と対応している。
8. 秋水美術館【三四五建築研究所】
- 展示:日本刀・工芸品など
- 設計:三四五建築研究所
- 竣工:2016年
- 用途:美術館
- 住所:富山県富山市千石町
- URL:公式ページ
秋水美術館は、全国でも数少ない日本刀を所蔵・展示する施設として、2016年富山県富山市千石町に建設された美術館建築である。
「秋水」と聞くと、ワンピースのゾロが扱う日本刀をイメージする人も多いかもしれないが、実は秋水は「日本刀自体のこと」を指しており、その日本刀を数多く取り扱う美術館という事で「秋水美術館」という名称がつけられている。
建築の設計は、富山県を拠点に設計活動を行う「三四五建築研究所」が担当。
本施設は、日本の美意識を伝える美術館として、鉄・木・石・和紙といった「和の素材」がいたるところに用いられており、自然と心が落ち着くような、魅力的な美術館となっている。
9.南砺市立福光美術館【誉建築設計事務所】




- 展示:版画家「棟方志功」と日本画家「石崎光瑤」の作品
- 設計:誉建築設計事務所
- 開館:1996年
- 用途:美術館
- 住所:富山県南砺市福光
- URL:公式ページ
南砺市立福光美術館は、1994年に「福光町立福光美術館」として開館した美術館で、福光町が周辺市町村と合併し「南砺市」になったことから、2004年に現在の名前に改称して再オープンを果たしている。
本美術館では、郷土ゆかりの版画家「棟方志功」と日本画家「石崎光瑤」の作品を中心に取り扱っている。
建築は、南砺市を中心に設計活動を行う「誉建築設計事務所」が設計を担当。
建築としては、入母屋造りの大屋根が日本らしさを醸し出しながらも、太いコンクリートの柱が建築に力強さを付加しており、重厚感と軽快さが共存したかのような建築物になっている。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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