エストニア国立博物館とは?

エストニア国立博物館は、ヨーロッパ北東部に存在する国「エストニア」内に建つ国立博物館である。
1940年~1991年の間、エストニアはソ連に占領されていたという過去を持つ。
コンセプト「記憶をつなぐ国立博物館」
このコンセプトを基に、軍用滑走路というソ連占領時代を象徴するような場所をあえて敷地とすることで負の記憶すらも未来へとつなぐような国立博物館が完成している。
田根剛とは?
- 1979 東京都杉並区に生まれる
- 2000 シャルマス工科大学留学
- 2002 北海道東海大学卒業
- 2003 ヘニング・ラーセン事務所所属
- 2005 アジャエ・アソシエイツ
- 2006 DGT設立
- 2017 Atelier Tsuyoshi Tane Architects 設立
田根剛は、フランス・パリを拠点に世界で活躍する建築家である。
代表作としては、「エストニア国立博物館」「とらやパリ店」「弘前れんが倉庫美術館」などが挙げられる。
2005年に行われたエストニア国立博物館の国際コンペを26歳という若さで優勝し、鮮烈な建築家デビューを飾った。
建築の特徴




エストニア国立博物館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 滑走路を延長するように建つ博物館
- 徐々に高くなる屋根勾配
- 収束するエントランス空間
- 民族衣装をモチーフにしたガラス
滑走路を延長するように建つ博物館




エストニア国立博物館は、ソ連占領時代に建設された軍用滑走路を延長するような形で建てられている。
このように、負遺産である軍用滑走路をあえて利用することで、過去の記憶を抹消するのではなく未来へつなぐことを目指したという。
この敷地選定や建物の配置は批判ももちろんあったが、国の歴史を継承する国立博物館という用途にとっては最適な構成ではないだろうか。
徐々に高くなる屋根勾配




エストニア国立博物館の屋根はエントランスのある南西側に行くほど高くなっており、最高高さは約14mもある。
この屋根勾配によって、滑走路から離陸するようなイメージを人々に想起させる。
つまり、滑走路という負の遺産・記憶から未来に向けて離陸するという思いが込められれているのではないだろうか。
収束するエントランス空間




南西端に位置するエントランス部分は、壁と屋根が中央の入口に向けて収束している。
この構成によって強烈なパースペクティブ効果が生まれ、人々は内部空間に吸い込まれるような感覚に陥るだろう。
民族衣装をモチーフにしたガラス




エストニア国立博物館を覆う外壁のガラスには、民族衣装をモチーフにしたパターンをプリントしたガラスが使用されている。
様々な時代を人々と共に経験してきた民族衣装。
この民族衣装をモチーフとして用いることで、親しみやすく記憶に包まれるような内部空間がつくり出される。
建築概要
- 所在地:エストニア・タルトゥ市
- 竣工 :2016年2月
- 用途 :博物館
- 構造 :RC造 S造
- 階数 :地下1階 地上2階
- 設計 :DGT
- 施工 :OÜ Fund Ehitus
- 構造 :EA Reng AS Tallinn
- 設備 :IB AKSIAAL OÜ Tallinn
最後に・・・
以上がエストニア国立博物館の建築的特徴でした。
軍用滑走路という負の遺産をあえて利用することで、過去の記憶を未来につなぐような新しい国立博物館になっていたと思います。
是非一度、エストニア国立博物館を訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。
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