篠原一男とは?
- 1925 静岡県に生まれる
- 1947 東京物理学校卒業
- 1947 東北大学で数学を専攻
- 1953 東京工業大学建築学科卒業
- 1970 東京工業大学教授に就任
- 1986 篠原一男アトリエ設立
- 2006 死去
篠原一男は、住宅を中心として前衛的な建築作品を数多く手がけたことで知られる建築家である。
東北大学で「数学科」を専攻したものの、後に建築に転向し、東京工業大学建築学科を卒業して建築家の道を選んだという、特異な経歴の持ち主だ。
そんな経歴が影響してか、篠原一男が設計する建築は「幾何学的な形態を用いた抽象空間」が特徴的で、抽象空間を作ることで知られる建築家「安藤忠雄」に直接的な影響を与えた人物であるともいわれている。
代表作としては「白の家」「日本浮世絵博物館」「谷川さんの住宅」などが知られており、今見ても前衛的だと感じるような作品を数多く手がけている。
今回は、そんな前衛的な建築を数多く手がけてきた建築家「篠原一男」の建築作品5選をご紹介します。
【代表作】建築家篠原一男の建築作品5選
1.日本浮世絵博物館

- 住所:長野県松本市島立
- 竣工:1982年
- 用途:博物館
- URL:公式ページ
日本浮世絵博物館は、浮世絵の収集・展示などを目的に、長野県松本市島立に建設された博物館である。
上空写真を見るとわかるが、この建築は「直方体」と「複数の立方体」が組み合わされることで全体像が構成されており、篠原一男建築らしい幾何学が設計に用いられていることがわかる。
さらに、折れ曲がった壁面には、8×8m単位で幾何学的な形態を持った「コンクリート壁」が配置されており、この形態は、内側に入る機能に合わせた大きさや形状になっている。
篠原一男を象徴するかのような「幾何学を用いた建築」の代表的な作品である。
2.東京工業大学百年記念館




- 住所:東京都目黒区大岡山
- 竣工:1987年
- 用途:学校
- URL:公式ページ
東京工業大学百年記念館は、東京工業大学創立100周年を記念して建設された、展示室・会議室・レストランなどからなる学校施設である。
建築としては、複数の幾何学的形態を持った立体構造物が組み合わされた構成が特徴的だが、特に上空に浮かぶように設置された「かまぼこ形のシリンダー」が象徴的だ。
このシリンダーの中は、レストラン・ラウンジとして使用されており、宇宙空間を感じるような不思議な空間となっている。
3.熊本北警察署(現・熊本中央警察署)




- 住所:熊本県熊本市草葉町5-13
- 竣工:1990年
- 用途:警察署
- URL:公式ページ
熊本北警察署は、1990年・くまもとアートポリス(熊本の都市・建築文化の向上を目的に実施された事業)」の一環として建設された警察署施設である。
建築としては、上層になるほど幅が広くなる「逆ピラミッド型の立面」が特徴的であり、篠原一男らしい幾何学がこの建築でも採用されているようだ。
また、この逆ピラミッド型の立面には「ハーフミラー」が使用されており、昼間は街並みや空を映し出しつつ、夜間は内部の活動が透けて見えるような工夫がなされている。
4.白の家
- 住所:東京都杉並区
- 竣工:1966年
- 用途:住宅
- URL:公式ページ
白の家は、児童書を中心とした出版社「福音館書店」の今日を築いたことで知られる「松居直」の住宅として建設された建築物である。
松居直が篠原一男に求めたのは「そこに住むことで何か新しいイメージが得られるような空間」だった。
この要求に対して篠原一男は、10m四方の平面形状を持ち、ピラミッド型の大屋根に覆われた、単純明快な建築物を作り出した。
一方で、内部空間は床以外の3面が真っ白に塗りつぶされた抽象的な空間がつくられており、その中で力強く佇む「木の大黒柱」が圧倒的な存在感を放つ。
篠原一男、初期の代表作として知られる一作である。
5.谷川さんの住宅
- 住所:群馬県吾妻郡
- 竣工:1974年
- 用途:住宅
- URL:公式ページ
谷川さんの住宅は、日本の詩人「谷川俊太郎」の別荘として1974年に建設された建築物である。
周辺の「傾斜を持つ地面」がそのまま住宅内部に取り込まれてような「落差を持つ土間空間」が特徴的で、まるで森の一部に屋根だけをかけたかのような自然と一体になった空間がつくられている。
一方で、地形という自然を取り込みつつ、内部の壁面は真っ白に塗装されており「抽象的な空間」を作り出しているあたりは、いかにも篠原一男建築らしい。
現在この建築は、基本的には個人の別荘として使用されていますが、年に2,3回程、朗読会やお茶会といったイベントが開催されている。
篠原一男の関連書籍




今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、篠原一男が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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