建築

安曇野ちひろ美術館【内藤廣】

建築
photo by 663highland/CC 表示 2.5

安曇野ちひろ美術館とは?

photo by 663highland/CC 表示 2.5

安曇野ちひろ美術館は、長野県安曇野にある、絵本画家「いわさきちひろ」の作品などを展示する美術館である。

設計を務めたのは、日本を代表する建築家内藤廣

コンセプト「1日滞在型の施設」

このコンセプトを基に、北アルプスの山々が背景に見える、豊かな自然環境を生かした施設が建てられている。

たけひこ
たけひこ

そんな、安曇野ちひろ美術館の特徴をご紹介します!!

いわさきちひろ とは?

photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0

いわさきちひろは、「子どもの幸せと平和」をテーマに多くの絵本や挿絵、紙芝居などの作品を手掛けた絵本画家である。

代表作には、「おふろでちゃぷちゃぷ」「あめのひのおるすばん」などが挙げられる。

東京にもともとあった「ちひろ美術館」の分館として、いわさきちひろの両親の出身地「長野県安曇野」に安曇野ちひろ美術館が建設された。

内藤廣とは?

  • 1950 横浜市に生まれる
  • 1974 早稲田大学理工学部卒業
  • 1976 早稲田大学大学院修了
  • 1979 菊竹清訓建築設計事務所勤務
  • 1981 内藤廣建築設計事務所設立
  • 2003 東京大学教授

内藤廣ないとうひろしとは、多くの公共建築や文化施設などを手掛ける、日本を代表する建築家である。

代表作としては、「海の博物館」「とらや赤坂店」「島根県芸術文化センター」などが知られ、屋根天井などに木材をふんだんに使用した建築を多く手がける。

また、建築に関する著書も多く手がけており、文筆家・思想家としても知られている。

建築の特徴

photo by 掬茶/CC 表示-継承 3.0

安曇野ちひろ美術館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 1日滞在型の施設
  2. 周辺に広がる「安曇野ちひろ公園」
  3. 三角屋根が連なった建物形状
  4. 豊かな内部空間をつくる屋根架構
  5. 建物内に自然を取り込む中庭空間
  6. 多種多様な家具

1日滞在型の施設

photo by Snake Head 1995/CC 表示 2.5

長い時間展示品を見せられても訪れた人は飽きてしまう。子どものための絵本を展示する施設ならなおさらである。

そこで設計者の内藤廣氏は、次のような構成をとった。

  • 来館者がリラックスできるスペースの確保
  • 展示スペースの縮小
  • 建物を自由に出入り可能に

これらの構成によって、来館者は周辺に広がる公園や近くの温泉地と合わせて、1日を通して安曇野ちひろ美術館を楽しむことができるようになっている。

周辺に広がる「安曇野ちひろ公園」

photo by 663highland/CC 表示 2.5

周辺に広がる緑豊かな公園も内藤廣氏の設計である。

この公園には、芝生に覆われた広場に美術館や山荘、池と石で造られたオブジェなどが点在。

このように、建築家によるデザインならではの美しい公園がつくられている。

三角屋根が連なった建物形状

photo by 663highland/CC 表示 2.5

安曇野ちひろ美術館の建物は、山型の屋根(切妻屋根)が横に連なった形状が特徴的である。

まるで、この建物の背景に見える北アルプスの山々と呼応しているようだ。

しかし、このシンプルな屋根形状にも内藤廣氏の考えが隠れている。

「建物の形状が人々に与えるイメージは、時の経過とともに減衰する。建物の価値を増大するためには、内部空間がどれだけ豊かなものかが重要

このような考えを基に、シンプルな形状の建物に豊かな内部空間が形成されている。

豊かな内部空間をつくる屋根架構

photo by scarletgreen/CC BY 2.0

本美術館の豊かな内部空間を作り出しているのは、木材による屋根架構である。

これは、複数の板を接着剤でつなぎ合わせて作られる集成材を用いており、高強度で安定した架構が形成されている

屋根架構以外の部分には、コンクリートや鉄骨を使っている点も内藤建築の特徴である。

建物内に自然を取り込む中庭空間

本美術館は、山型が連なった建物形状ではあるが、平面的に見ると全体がつながり、一つの大きな建物になっている。

この大きな建物内部にも緑の豊かさや、風、光を取り入れる要素として中庭が設けられている。

この中庭の周りには、様々な椅子も設置されており、ゆっくり休憩することができる。

多種多様な家具

本美術館にある家具には、多種多様な特徴がある。

例えば、1枚目の写真の椅子はウサギのような形、2枚目の写真の椅子は大人と子供の中間のスケールで作られている。

これらの家具は、住宅設計を中心に活動する建築家中村好文氏がデザインしている。

建築概要

  • 所在地:長野県北安曇野郡
  • 竣工 :1996年6月
  • 用途 :美術館
  • 構造 :木造、RC造
  • 階数 :地上1階
  • 設計 :内藤廣建築設計事務所
  • 施工 :前田建設工業
  • 構造 :構造設計集団
  • 設備 :明野設備研究所

施設概要

  • Tel    :0261-62-0772
  • 営業時間:10:00~17:00
  • URL  :https://chihiro.jp/azumino/
  • アクセス:JR大糸線「信濃松川」駅より約2.5km
  • 料金  :
大人中高生小学生
800円500円300円

最後に・・・

以上が安曇野ちひろ美術館の特徴でした。

背景の山々と呼応した山型の屋根と、内部空間の豊かさを作り出す屋根架構が魅力的な建築だったと思います。

たけひこ
たけひこ

長野県を訪れる際は是非、安曇野ちひろ美術館に立ち寄ってみてください!!

ご覧いただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました